個人再生をするとローン支払い中の車は引きあげられますか?

【ご質問】個人再生と自動車ローンによる車引上げについて

個人再生をしたいのですが自動車ローンも抱えているのです。

6年前に、かなり無理をして住宅ローンを組んだのですが、妻がその直後に妊娠し、仕事をやめざるを得なくなってしまったので、想定していた世帯の年収が250万円ほど、少なくなってしまいました。

加えて、子供が生まれても、当初は、さほど、お金もかからなかったのですが、だんだん、幼稚園、小学校とお金がかかるようになってきて、生活費支出も当初と比べて、多くなってきました。

ですが、住宅を取得するために、かなりの初期費用を突っ込んでしまっていましたので、売却すれば確実に赤字になる上に、そもそも、売ったらどこに住むかという問題があります。

どこかアパートを借りて、引っ越しするにも、まとまった金はありません。

なんとか、家だけは守りたい、今の借金を整理したい、ということで調べていると、住宅ローン条項付き個人再生というのがあるというのが分かりました。

住宅ローンは滞納していません。

それが、もう一つ、問題があり、住宅ローンのほかに、実は、自動車ローンも抱えているのです。

私の地域は、仙台ではなく、多賀城市というところで、車がなくては、とても生活できない場所なんです。

たしかに、駅はあります。「多賀城駅」とか「国府多賀城駅」とか。

ですが、電車だけでは、仕事に通うのも難しいのです。

【ご回答】

所有権留保がついていると車は引きあげられる?

原則としては、ローンを支払っていない=債務不履行となり、通常は、その場合、自動車に所有権留保がついているでしょうから、車は引きあげられてしまう可能性が高いです。

「所有権留保」というのは、車のローンが支払い終わるまでは、所有権は渡さないでおいて、ローンが完済になって初めて、所有権を購入者(あなた)に移しますよ(名義変更しますよ)というものです。

なので、まずは、お手元に、車検証をご準備ください。

車検証の「所有者」欄が重要

車検証の「所有者」欄を確認してください。

ここで、もし、所有者があなたの名義になっているとすると(たまに、そういうことがあります)、車は引きあげられません。

なぜなら、あなたの物ですから。

つまり、自動車ローンと言いつつも、単に、お金を借りて、車を買ったのと同じ状況であるため、車は手元に置いたまま、個人再生の手続きにおいて、自動車ローン債権は、再生債権として扱う(他の債権と同じように、何割かを免除してもらって、残りを分割支払する)ということになります。

次に、もし、所有者が車の販売店(ディーラー)の場合であって、債権者が信販会社の場合には、信販会社から車の引きあげを要求されても、それに対しては、引きあげには応じられないと答えることになります(むしろ、応じないでください)。

根拠がないのに車を引きあげさせてはいけない

なぜなら、所有者でない人(会社)に車を渡すのは、むしろ、偏頗(へんぱ)弁済となるからです。

偏頗(へんぱ)弁済というのは、ほかにも債権者がいるのに、その特定の債権者だけに弁済したり、弁済できないけど何か代わりになるものを渡したり(代物弁済)することです。

ですので、結論として、所有者欄にディーラーが記載されている場合にも、手元に車は残ります。

「所有者名義」が「自分」でもなく、「ディーラー」のいずれでもない場合、すなわち、所有権留保で、「債権者(信販会社)」が所有者名義になっている場合には、やはり、車は引きあげられてしまいます。

ですが、過去には、債務者(個人再生の申立人)の親族(実父)が連帯保証人になっていて、債権者である信販会社が、「保証人が同じように支払い続けてくれるのならそれでいいよ」と言ってくれたケースもあります。

また、同じく、債務者(個人再生の申立人)の親族(実母)が連帯保証人になっていて、一括で弁済してくれたので、所有権留保が外れたケースもあります。

個人再生では車の清算価値を計上

なお、仮に、車が手元に置いておけたとしても、車という資産を保有しているのですから、それに価値があれば、その価値相当分の金額を清算価値(仮に、破産したとしたら「資産」として認定される価値)に組み込まなければなりません。

個人再生においては、清算価値以上の弁済義務があります。

清算価値分だけ払えばよいというのではなく、あくまで、それが最低額の基準ということです。

また、連帯保証人が支払った分については、それも、求償権(連帯保証人にしてみれば、立て替えたので、支払ってくれ、ということができます)として、再生債権(つまり、減額対象となる債権)となるわけです。

もちろん、その連帯保証人が親族の場合には、あえて債権者として請求しないと言ってくれる方も多いです。