【借金返済 仙台】任意整理の減額と解雇
自己破産だけはどうしてもできません。
自己破産ができないというのは、私の会社は社員の規律に大変、厳しい社風だからです。
プライベートな事情であっても、例えば、
・刑事事件を起こした、
というのはもとより、
・自己破産をしたとか、
・社内不倫をしたとか、
これらの事情はすべて、懲戒解雇の理由になると、きっちりと就業規則にも書いてあるのです。
ですが、知り合いから、
「任意整理あるいは調停整理で元本を3割程度に圧縮できる」
と聞きました。
そちらの手段でできないでしょうか。
【回答】
【仙台の個人再生弁護士より】 「任意整理(調停整理)で元本圧縮
「調停整理」というのは、特定調停のことを多分、おっしゃっているのではないかと思いますが、
まず、
「任意整理あるいは調停整理で元本を3割程度に圧縮できると聞きました。」
という点について、お答えしますと、
「元本を3割程度に圧縮できる」
というのは、借入の取引履歴を取り寄せた上で、そのようにおっしゃっているのでしょうか?
まずは取引履歴を取り寄せることから
基本的に、任意整理あるいは特定調停を行う場合には、その前提として、過去の借り入れについて引き直し計算を行います。
「引き直し計算」というのは、過去の取引(借りたり返したり)において、利息制限法を超える利息を支払っていた場合には、その「利息制限法を超える利息」を元本の返済に充当することを言います。
そうすると、「利息制限法を超える利息」の額によって、元本が減ることになるわけです。
ですので、人によっては、
・元本が半分になったり、
・3割になったり、
場合によっては、
・全部元本がなくなったりするわけです。
さらには、この元本がなくなるどころか、利息を払い過ぎていた場合には、払い過ぎた利息を返してもらうことができます。
これを「過払い金」といいます。
それで、本題にもどって、ご質問者の方、あるいはどなたか親切な友人が、実際に、ご自身の取引履歴を取り寄せて計算したところ、元本が3割程度になるということであれば、
「任意整理あるいは調停整理で元本を3割程度に圧縮できる」
わけですが、必ず、
「任意整理あるいは調停整理で元本を3割程度に圧縮できる」
わけではありません。
極端な話、利息制限法を超える利息を支払っていなかった場合には、元本は1円も減りません。
宮城でこんな広告を見たことある?
最近、いろいろな宣伝があって、
『○○さんの場合、任意整理で借金600万円が200万円になりました』
などというキャッチフレーズとともに、ニコニコした笑顔の○○さんの写真ないし似顔絵が載っていたりします。
ただし、それは、たまたま、『○○さんの場合』、過去の支払った利息の関係でそうなっただけです。
任意整理をすれば、確実にそうなるというものではないのです。
債権者も減らす理由がないのに元本を減らすことに同意などしません。
たしかに、稀に、債権がサービサーに回って(譲渡されて)、それなりに時間が経過して、それでも、サービサーもどうしても回収できないような場合に、
「先生、もう1割でもいいから和解してよ」
と言ってくる業者はいます。
でも、稀です。
ですが、大体、サービサーがそこまで音をあげるような状況の場合、債務者側としては、破産以外にあまり選択肢がないのがほとんどです。
自己破産と解雇(懲戒)
それで、さらにご質問者の方の問題としては、お勤めの会社においては、
従業員が自己破産することが懲戒解雇事由になっているということのようですが、
就業規則でそのように定めてあったとしても、それは無効です。
特段、
・会社に損害を与えたとか、
・会社の従業員としての業務遂行が困難になったとか、
の事由がないのに、自己破産をしたということ自体が合理的な解雇事由になるはずがありません。
ですが、どうしても、気になるというのであれば、個人再生をお勧めします。
個人再生は、元本債務がその額により、2割程度にまで圧縮されます(清算価値や可処分所得の問題は今は考えないものとします。)。
明らかに、自己破産とは異なる手続きです。
実際、保険の外交員さんとか警備員のお仕事をされていて、資格の関係で自己破産できないという方であっても個人再生なら問題がありませんでしたよ。