【ご質問】家計を妻に委ねたら借金だらけになったことについて
結婚15年、給与の管理はすべて、妻にゆだねて、これまで、毎月の小遣い5万円でやってきました。
子供は2人で、2人とも私立です。
とくに、切りつめて生活をしてきたというわけではありませんが、特に、贅沢したという覚えもありません。
ところが、先月、妻から衝撃の告白を受けてしまいました。
実は、カードローンやら消費者金融で借金が600万円もある上に、さらに深刻なのは、住宅ローンと自動車ローンがそれぞれ、3カ月滞納しているということらしいんです。
「一体、何をしていたんだ!」
と問い詰めましたが、
・子供の教育費(塾代・学費)
・夏休み・冬休みの旅行代
・家族での外出・外食費
・エアコンが壊れたので修理代
・そもそも、日々の食費も高い
・ペットの病院代
と、個別に、かかった費用を述べるだけで、なんでこんなになるまで、放置しておいたのかを聞いても、ただ泣くばかりで、話になりません。
妻が家計の管理責任者なのですから、この杜撰な管理行為を理由として、妻に損害賠償請求することができるでしょうか?
あるいは、妻は、私名義のクレジットカードを使ってキャッシングしたのですから、詐欺とか横領で損害賠償請求することができるでしょうか?
もっと言えば、妻が、私名義のクレジットカードを使ってキャッシングしたのであり、私が借りたわけではありませんから、私が借りたわけではない、とクレジット会社に言うことはできるでしょうか?
あとは、根本的な問題として、債務の整理はどうしたらよいのでしょうか?
家の問題があるので、個人再生をしないといけないと思うのですが、どこから、何を手を付ければいいのか分かりません。
【回答】
夫婦の一方が負った債務の責任
この手の問題は、非常に難しいでしょうね。
形式的には、おっしゃる通りで、あなたのクレジットカードで実際に引き出しをしたのが、奥さんだとすると、あなたは、カードを使ってませんので、使っていない人がその引き出したお金の返済義務を負うことは原則ないはずです。
ですが、そのお金があなたの家族の生活費に使われていたのだとすると、
家事連帯債務(家事に関する債務は夫婦の連帯責任)
ということになります。
債権者(クレジットカード会社)との関係では、
カードの利用規約(カードを他人に預けてはいけない)
の問題もあります。
カードの管理や暗証番号を任せていたということですと、
表見代理(ある者に一定の権限を与えていた場合には、それに関連する行為についても責任を負う)
が成立することもあります。
夫婦関係の問題が債務整理に与える影響
それより何より夫婦関係をどうされるおつもりですか?
もし、離婚するとかは考えないで、今後も生活を一緒にしていくのであれば、結局、家計は同じですから、仮に、あなたの債務ではなくて、奥さんの債務ということになっても、結局、負債を整理しなければなりません。
個人再生と住宅・車の問題
それに、住宅ローンや車のローンがあなたの名義で組まれているのだとしたら、早くしないと、住宅が競売手続きに進むとか、車の引きあげ手続きに進む可能性があります。
家を手放したくないということであれば、個人再生を検討してください。
ただし、車に関していいますと、住宅ローンと異なり、特別条項を定める手続きがありません。
どういうことかというと、結局、車のローンは返済してはならないというか、車のローンも他の債権(借金)と同じように債権カットの対象になりますので、結局のところ、車のローン会社としては、車を引きあげにくると思われるのです。
もちろん、これは、ある意味、車のローン会社の意向次第ということではあります。
まれに、
「連帯保証人が支払い続けてくれるんだったら車はそのままでいいですよ」
って言ってくれるところもあります。
ただ、個人再生手続きを進めるにしても、おそらく、ご相談者の方は何もしらないでしょうから、
・具体的にどこに借金があって、
・家計の支出はどれだけで、
・保険はどこで、
・銀行の通帳は何があって、
ということは全部、奥さんに協力してもらわないと、申し立てに必要な資料が揃えられないと思われます。
今は、奥さんに対する複雑な感情と現実の問題を整理して考えられないのかもしれませんが、よく整理して話し合った方がよろしいかと存じます。