【ご質問】個人再生の手続き全般(流れ・期間)について
先日、借金の無料診断というのを申し込んだら、いきなり、
「○○法律事務所です」
って、電話がかかってきて、借金の状況を伝えました。
そしたら、
「お客様の状況ですと、過払いはなさそうですし、大幅な減額は難しそうですね」
「任意整理をご希望ですか?」
と聞かれてましたが、
「任意整理が分からない」
と言ったら、その任意整理というのは、1件5万円で、借金の相手方と交渉してもらって、今の借金を5年で返済するようにリスケするという内容でした。
ただ、私が、
「任意整理と言っても、その金額では月々の返済ができそうにない」
と言ったら、
「でしたら、破産とか個人再生等をご検討されたほうがいいと思いますけど、残念ながら、うちは事務所が東京しかないのです」、
「どこか、仙台とか、宮城県の別の事務所にご相談されることをお勧めします」
と言われて終わってしまいました。
そもそも、その事務所は何のために
「借金無料診断」
をしているのか分かりませんでしたが、急に突き放された気持ちです。
それは、ともかく、破産はなんとなく、分かるのですが、個人再生というのは、どういう手続きなのか全くわかりません。
個人再生とはどのような手続きなのでしょうか?
申し立てをしてからの流れや終了するまでの期間を教えて欲しいです。
【回答】
個人再生とはどのような手続きなのか?
簡単にいうと、今ある借金の総額の原則として5分の1まで債務を圧縮して、
その額を3年で分割して返済するという手続きです。
ただし、細かく言うといろいろあります。
個人再生の種類としては、小規模事業者個人再生と給与所得者個人再生というのがあったり、
個人再生の返済額については、清算価値というものによって変動があったり、
個人再生の場合には、住宅ローンだけは特別扱いして、
住宅ローンだけ支払いながら、他の債権を圧縮したりできるんですが、
それも住宅ローン会社(銀行)との協議が必要であったり、
債権者の一定数が異議を出すと再生計画案が認めらない場合があったり、
などなど、手続き上の留意点は、本当に、いろいろあります。
個人再生の申立てをしてからの流れ及び終了するまでの期間
個人再生委員の選出
各裁判所によって個人再生委員が選出されるか否かは異なります。
ちなみに、東京地裁(東京地方裁判所)は全件再生委員がつきます。
逆に、仙台地裁(仙台地方裁判所)の場合には、弁護士がついている場合には、原則として、再生委員がつきません。
再生委員の仕事としては、再生計画の前提となる申立人の収支をみたり、清算価値の算定のための財産調査をしたり、再生計画案の作成に当たって意見を述べたりします。
再生手続きの開始決定
よく、申立てをすると、それで、裁判所における再生手続きが始まったと思う方がいらっしゃいますが、
正確には、裁判所における「開始決定」が出ないとその後の手続きが進まないのです。
仙台地裁の場合には、申し立てをしても、書記官から、様々な補正要請が出て、なかなか、開始決定が出ないということもあり得ます。
再生債権の届け出
申立の段階で、申立人が、債権者一覧表といって、債権者名・債権額等を書いた紙を提出するのですが、
その内容で問題ない(合っている)という債権者は何も提出しません。
他方、「申立人が言っているうちの債権の金額は違うよ」
という債権者は、改めて債権額を記載した債権届、つまり、
「うちの債権額は本当はこの金額ですよ」
という書面を提出してきます。
再生計画案の提出
確定した債権額と清算価値に基づいて計算した再生計画案を作成します。
再生計画案の認可
小規模個人再生の場合は債権者の一定数の同意が必要です。
というより、一定数の反対が出ないこと、という要件があります。
ちなみに、給与所得者等再生の場合、再生計画案に対する同意は要件となっていません。
ただし、給与所得者等再生の場合、返済総額が高くなる傾向があります。
そして、裁判所は再生計画案を認可します。
認可までの期間は大体、半年程度
もちろん、そもそも、開始決定が出るまでにまごついたり、
途中で、新たな事情が判明して、手続きが遅れたりすることもありますが、
大体、半年程度とみてもらえればいいでしょう。
認可がおりたら、後は、その再生(返済)計画に従い、返済をしていくことになります。