~仙台発 弁護士による個人再生に関する質問に対する回答~個人再生の専門サイト<個人再生仙台.xyz>
【相談内容】個人再生のカット率と偏頗弁済について
友人にお金を貸しておりますが、その友人が他からもたくさん借金をしているということで、借金の整理をするために弁護士に相談に行ったそうです。
ただし、彼は、免責に問題があるかもしれないということで、相談に行った弁護士から、個人再生という手続きを勧められたそうです。
私の方としては、
「借金を全額返してくれればよい」
「だけど、返してくれなければ、縁を切る」
「仕事も含めて、もう、一切面倒をみることはしない」
と言ったら、
「(私にだけは)絶対に、迷惑はかけないし、借金も全額返すから」
と言われています。
あんまり、信用がならないですが、具体的に、彼が個人再生という手続きをすると、私が貸した、あるいは、もし返してもらったお金はどうなってしまうのでしょうか?
~仙台発 弁護士による個人再生に関する質問に対する回答~個人再生の専門サイト<個人再生仙台.xyz>
【相談に対する回答】
個人再生の効果~再生債権のカット
そのお金を貸した友人の彼が個人再生をしたとなると、あなたも債権者の一人となりますので、基本的には、再生債権として、債権額の大幅なカットを受けることになります。
もちろん、友人の彼が他に資産を持っているとかいうことであれば清算価値があがって、返済額(返済率)もそれに比例してあがるでしょうが、お話を聞く限りでは、あまりその点は期待できなさそうです。
ですので、例えば、彼が借りた金の総額が200万であるならば、個人再生により、債権カットを受ければ、彼の返済額は、総額100万円になります。
そして、
残りは免責(つまり、今後は請求できなくなる)
ということになります。
ちなみに、個人再生における債権のカット率(債務免除率、圧縮率)は、個人再生の申立人が抱えている借金の総額により決まります。
個人再生のカット率(圧縮率・減縮率)
具体的には、次のようになります。
総債務額が100万円未満
→債務全額(債権カットなし)
総債務額が100万円以上500万円未満
→100万円を返済
総債務額が500万円以上1500万円未満
→債権8割カット(残り2割を返済)
基準債権額が1500万円以上3000万円以下
→300万円を返済
無異議債権等が3000万円超5000万円以下
→債権9割カット(残り1割を返済)
個人再生における偏頗弁済の取扱い
他方、逆に、個人再生を申し立てる直前とか、個人再生を申し立てているにも関わらず、あなたが、彼から借金の返済を受けたとすると、それは偏頗(へんぱ)弁済となります。
偏頗(へんぱ)弁済というのは、要するに、他の債権者が返済を受けられていない中で、あなただけが返済を受けたということです。
そして、彼が破産する場合には、あなたは、おそらく破産管財人から、受領した返済金を返せと言われることになります。
ですが、 彼が(自己)破産する場合と違って、個人再生の場合には、そもそも、破産管財人というのがつきません(破産でないので当たり前ですが)。
そうすると、どうなるかというと、返済した彼自身がペナルティをくらうことになります。
つまり、彼が偏頗弁済した額については、清算価値に組み込まれて計算されるのです。
個人再生における偏頗弁済の取扱いの具体例
どういうことかと言いますと、例えば、個人再生の内容として、彼の負債額が、500万円であるとします。
すると、原則としては、彼の返済額は100万円です。
ただし、あなたに200万円を返済したとします。
その200万円は、本来は、彼の資産として彼自身が保有し続けているべき金額ということになるのです。
彼は、200万円の資産を持っていると判断されます(みなされます)。
すると、彼の返済額は、債務額だけから計算すると100万円だけど、他方で、彼は200万の資産を持っている計算になります(みなされます)ので、
200万円を返済しなければならない、
ということになるのです。
あなたに200万円支払って、尚且つ、個人再生としても200万円支払わなければならない。
500万円の負債額から比べると、100万円分返済の負担は軽くなってはいますが、彼にとっては厳しいかもしれません。