個人再生をしたらブラックリストに載る?いつまで載り続ける?

個人再生に関するご相談に対する後藤東京多摩本川越法律事務所の仙台(宮城)事務所がお答えします!

【ご相談内容】個人再生とブラックリストについて

個人再生をした場合に、ブラックリストにのりますか?

ブラックリストにはいつまでのり続けますか?

そもそも、ブラックリストって官報のことなんでしょうか?

【ご相談内容に対する回答】

ブラックリストって何のこと?

借金・債務の整理の問題となると、

真っ先に、「ブラックリスト」、「ブラックリスト」って、いう言葉が飛び交いますが、

逆に、こちらから、

「じゃあ、ブラックリスト、って何のことだと理解されてますか?」

と聞くと、正確に答えられる人はあまりいません。

よく分かっていないのに、

「ブラックリストの方は大丈夫かな?」とか、

「ブラックリストにのるからやばいよ。」

などと友人同士で話して合っていても、理解の前提が違うから、話がかみ合わないんです。

「ブラックリスト」というリストはない

そもそも、「ブラックリスト」などというリストはありません!

CICなどの信用情報機関に登録されている信用情報において、

その方の与信(経済的な意味での「信用」)について、

ネガティブな情報がのっている状態を、

世間一般では、「ブラックリストにのる」と言っているだけなんです。

いきなり、「CIC」とか使ってしまいましたが、

「CIC」とは、「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」のことで、

主に、信販会社、クレジット会社、リース会社、銀行、消費者金融、携帯電話会社などが会員となっています。

それで、その会員がそれぞれの支払いの状況とかの情報を出し合って、CICのデータベースに登録し、

逆に、会員が消費者に金を貸したり、カードを発行したり、携帯電話を新規契約する際に、

「この人(借入等の申込者)は、現在、他社への支払いに関して事故とか起こしていないか?」

「過去に破産等した経歴等はないのか?」

「他社からいくら借りているのか?」

などを参照して、

実際に金を貸すかどうか、

クレジットカードを発行するかどうか、

クレジットカードを発行するとして、

携帯電話を新規契約するかどうか、

などを判断するのです。

ただし、信用情報が全てではありません。

極端な話、

信用情報が悪くてもカードの発行を受けられた、

という人もいますし、

信用情報上は問題ないはずなのにカードの発行を受けられなかった

という人もいます。

信用情報は一つの参考資料であり、それに、会社独自の審査基準が加わります。

また、信用情報機関には、ほかにも

JICC(株式会社日本信用情報機構)

全国銀行個人信用情報センター(一般社団法人全国銀行協会)

というのもあります。

これらの3つの信用情報機関の違いは、

どういう金融業者(その他の業者)が会員として所属しているかによる違いです。

ですが、こういう考え方は通りません。

つまり、

「自分はA社からお金を借りて延滞事故を起こしているが、B社は別の信用情報機関の会員企業だから、

B社に借り入れを申し込めば、A社の延滞事故はバレないですむだろう」

という考えです。これは無理です。

なぜなら、これら3つの機関は、

CRIN(Credit Information Network)という、信用情報の相互交流ネットワークを通じて、

延滞などの情報を交換しているからです。

ただし、各信用機関によって、信用情報の登録のフォーマットは異なります。

個人再生を行ったことは信用情報に登録されるか?

ご相談内容の「個人再生を行ったことが信用情報に登録されるか(ブラックリストにのるか)」についても、

各信用情報機関によって、取り扱いが違うことになります。

CICの場合

上記は、CICのサイト(ホームページ)上の「よくあるご質問」に掲載されているのですが、

【民事再生(個人再生)を申請したという事実については、コメントされない】旨が記載されています。

JICCの場合

上記は、JICCのサイト(ホームページ)上の

「登録内容と登録期間(会員会社から提供を受ける個人に関する信用情報)」

に掲載されているのですが、

【債務整理・破産申立等取引事実に関する情報が掲載される】旨が記載されています。

そして、実際の信用情報のフォーマット【信用情報記録開示書(ファイルD)】には、【債権情報】の欄があり、その中の「異参サ内容」(「異動情報」、「参考情報」、「サービス情報」)には、「参考情報」として、

  • 「オ 債権回収」
  • 「カ 債務整理」
  • 「キ 破産申立」
  • 「ク 特定調停」
  • 「ケ 民事再生」
  • 「コ 保証履行」

が記録されることになっております。

「ケ 民事再生」・・・「お客さまが民事再生法の適用を申請、または個人に適用される小規模個人再生、給与所得者等再生手続を申立てた情報」

とされており、「民事再生」には、個人再生が含まれることもばっちり記載されております。

掲載の期間は、5年間になります。

なお、CICの方では、「個人再生」、「民事再生」という言葉そのものはありませんでしたが、個人再生をする以前に、債務の支払い(返済)を延滞していた場合には、当然、延滞が解消されるまで、その情報は載り続けることになります。

加えて、CICとJICCは重複して加盟している金融機関が多く、かつ相互に情報交換するので、CICには個人再生の情報が掲載されないと言っても、JICCにばっちり掲載されるのであまり意味はないとも言えます。

全銀協の場合

上記は、全銀協のサイト(ホームページ)上の「登録情報開示報告書の見方」に掲載されているのですが、

【官報情報が掲載される(←個人再生は官報に掲載される)】旨が記載されています。

また、同様に「登録情報開示報告書の見方」「よくあるご質問について」に、

「当センターに登録されている官報情報は、破産・民事再生手続開始決定となります」

とありますので、個人再生の開始決定があった時点で、全銀協の信用情報に登録されることになります。


そして、その期間は、

「破産・民事再生手続開始決定の日(官報情報の官報公告区分発生日)から10年を超えない期間」

とされています。

ブラックリストって官報のこと?

それで、「そもそも、ブラックリストって官報のことなんでしょうか?」というのは、

全銀協が「官報情報」を信用情報の一部として登録しているという意味では、その通りですが、

あくまでも、官報は官報で、信用情報は、その内容を取り込んでいるだけです。

くどいようですが、「ブラックリスト」なるリストはないですからね。

個人再生に関してのご相談に対する後藤東京多摩本川越法律事務所の仙台(宮城)事務所の回答でした!