~借金の返済は大変だけど、将来、ローンを組めなくなるのはちょっと・・・、個人再生?不動産担保ローン?そういう相談に、弁護士(宮城・仙台)が回答します。~
【ご相談内容】不動産を所有している場合の債務の整理の方法について
多数のキャッシングやカードローンで負債が750万ぐらいに膨らんでしまいました。
さすがに、借りて返しても限度額一杯でできなくなってしまいました。
いよいよ、なんらかの借金整理をしなければならなくなりました。
友人・知人は、みな、
「破産は絶対やめた方がいい」、
「個人再生をしたらいい」、
と言います。
ただ、唯一その中で、ある友人だけが、
「私が相続した不動産の価値は1000万円を下ることはないだろう」
「だから、その不動産を担保にローンを借りられる」
「それで、今のキャッシングやカードローンの借金を完済しなさい」
「その後、不動産担保ローンをコツコツ返していく方がいい」
と言ってくれました。
たしかに、破産でなくても、個人再生をしてしまえば、将来的に、住宅ローンや車のローンを組むことができなくなってしまうんですよね?
なので、今のところは気持ち的に、不動産担保ローンに傾いています。
ただ、返済額の問題もあるので、日々、気持ちが揺れ動いているのも事実です。
ほとんどの友人・知人が、個人再生を勧める点も気になっています。
どちらが良いのでしょう?
真剣に悩んでおります。
【ご回答】
個人再生を利用できる前提条件
どちらが良いのか、という前に、あなたが、そもそも、個人再生の手続きを開始できる況にあるのかが、気になります。
個人再生手続きを開始するためには、
【破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれ】
があると認められなければなりません。
民事再生法の第21条第1項にも、
”債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは,債務者は,裁判所に対し,再生手続開始の申立てをすることができる。”
と規定されております。
それで、「破産手続開始の原因となる事実」
「破産手続開始の原因となる事実」
というのは、
「支払不能である」
ということです。
そして、
「支払不能である」
というのは、
「弁済能力が欠乏していること」
「それにより,弁済期の到来した債務を,一般的かつ継続的に弁済することができないと判断される客観的状態にあること」
を言います。
なにやら、このように説明すると難しそうですが、
要は、支払いする能力・資産がないということです。
資産所有の場合の個人再生の可否
ですが、お話によると、不動産をお持ちなんですよね?
そして、その価値が、1000万円を下ることはないということなんですよね?
だとすると、今ある借金を返済する能力・資産があるということになりませんか?
現実問題として、その不動産を売却して、その売却金をもって借金を返済することができますよね?
それとも、何か売却することができない理由があるのでしょうか?
例えば、
土地の値段は、そこそこするけれども、上に工場か何かが建っていて、それを解体するのが大変
とか、
異常に安い地代で貸し出されてしまっており、賃料の増額にも応じてもらえない
とか、
土地の共有者の一人が行方不明
とか、
そういう理由で、不動産がなかなか換金しずらい状況であるというのであれば、
結果として、不動産の市場価値としての評価が下がることになります。
そして、個人再生においても、不動産を所有しているものの、その評価額では、弁済するに足る価値に満たないと判断されます。
そのため、
「債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがある」
と判断されて、個人再生手続きの開始決定をもらえるかもしれません。
資産価値>借金(債務)の場合の個人再生の可否
他方で、金融機関(不動産担保ローン会社)の評価では、不動産の価値が高く評価されて、多額の貸し出しが得られるのだとします。
つまり、債務の弁済額にたりるローンの融資を受けられるのだとすると、それで、借金(「多数のキャッシングやカードローン」)を返すことができます。
そして、その不動産担保ローンの会社に返済することも可能でしょう。
ただ、これって、要するに、おまとめローンで債務を一本化するのと同じですよね?
そのために、わざわざ、不動産担保ローンにする必要があるのかちょっと微妙ですよね。
利息が下がるとかのメリットがあれば話は別ですが。
おまとめ(一本化)ローンか債務整理か
いずれにせよ、今回のご相談内容は、おまとめローンか債務整理かというお悩みと共通するものがあります。
そういう際には、アドバイスとしては、
・信用情報に傷をつけたくないということであれば、おまとめローン
・返済額を少なくして、債務を整理できるようにしたいということであれば、債務整理
ということで、ご説明しております。
それで、大概の場合には、その時点では決断できなくて、
「うーむ。ちょっと検討してみます。」
となり、実際には、ただ、月日が流れるだけで、だんだん、約定の日にちにおける返済ができなっていきます。
そして、信用情報も遅延の情報が載ってしまい(いわゆるブラックリストにのるという状況)、債務整理をするしかなくなります。
(もはや、おまとめローンや借り換え、不動産担保ローンの審査に通らない)
そういうパターンが多いので、おまとめローンや借り換え、不動産担保ローンをするのなら、早く決断した方がよいと思います。
~以上、個人再生か?不動産担保ローンか?悩めるご相談者に対する、弁護士(宮城・仙台)からの回答でございました。~