宮城で債務整理(個人再生)をしたら税理士の夫や娘の結婚はどうなる?

~宮城で個人再生をしようとしているものの旦那が税理士をしていたり、娘が結婚しようとしている点が気になる方からのご相談について弁護士(宮城・仙台)が回答します~

【ご相談内容】個人再生と (税理士) 資格制限及び結婚の制約について

個人再生に関して質問です。

娘がもうすぐ結婚するのと、借金がきついので個人再生を宮城ですることを考えています。

そこで、個人再生の相談をできるところ宮城で探していたのですが、

旦那 (夫) が税理士であるため、宮城で債務整理したら、旦那にばれないか、

何か迷惑をかけてしまうのではないかと不安になってきました。

個人再生は官報に載るというのは知っていますが、旦那が個人再生の官報検索をするとは思えませんが気にはなります。

もう1つの問題は、旦那がもうすぐ車を買い替えるので、

私が個人再生をしたことにより、旦那がローンを組めないとか、

あるいは、クレジットカードの審査を落とされはしないかということです。

借金がきついので、借金地獄を抜け出すのが最優先ですが、

旦那に内緒で作った借金なので、個人再生も内緒でやりたいです。

ちなみに、娘の結婚の関係で、私の借金や個人再生のせいで結婚できないとか、

結婚に際して結婚相手に借金がばれるということはないですよね?

【ご回答】

配偶者が個人再生する場合の影響(税理士法)

まずもって、別に、ご主人(旦那・夫)が個人再生ないしは債務整理を宮城をするわけではないので、

あなたが個人再生をしたからって、ご主人が税理士として ペナルティを受けたりしません。

もっと言うと、仮に、ご主人が個人再生をしても、個人再生の場合には、資格制限にひっかかるということがありません。

念のため、税理士法を見てみますと、

(登録の抹消)
第26条 日本税理士会連合会は、税理士が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なくその登録を抹消しなければならない。
1 その業務を廃止したとき。
2 死亡したとき。
3 前条第一項の規定による登録の取消しの処分を受けたとき。
4 前号に規定するもののほか、第4条第2号から第10号までのいずれかに該当するに至つたことその他の事由により税理士たる資格を有しないこととなつたとき。

とあって、さらに、

税理士法第4条第2号から第10号までを見ると、

2 成年被後見人又は被保佐人

3 破産者で復権を得ないもの

4 国税若しくは地方税に関する法令又はこの法律の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しないもの

5 国税若しくは地方税に関する法令及びこの法律の規定により罰金の刑に処せられた者又は国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)(地方税法において準用する場合を含む。)若しくは関税法(昭和二十九年法律第六十一号)(とん税法(昭和三十二年法律第三十七号)及び特別とん税法(昭和三十二年法律第三十八号)において準用する場合を含む。)の規定により通告処分(科料に相当する金額に係る通告処分を除く。)を受けた者で、それぞれその刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から三年を経過しないもの

6 国税又は地方税に関する法令、この法律及び旧税務代理士法以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの

7 懲戒処分により税理士業務を行うことが禁止された者で、当該処分を受けた日から三年を経過しないもの

8 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分を受けた日から三年を経過しない者

9 国家公務員法若しくは国会職員法の規定による懲戒免職の処分を受けるべき行為をしたと認められたことにより退職手当支給制限等処分(国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十四条第一項第三号に該当することにより同項の規定による一般の退職手当等(同法第五条の二第二項に規定する一般の退職手当等をいう。以下この号において同じ。)の全部若しくは一部を支給しないこととする処分又は同法第十五条第一項第三号に該当することにより同項の規定による一般の退職手当等の額の全部若しくは一部の返納を命ずる処分をいう。以下この号において同じ。)を受けた者又は地方公務員法の規定による懲戒免職の処分を受けるべき行為をしたと認められたことにより退職手当支給制限等処分に相当する処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から三年を経過しないもの

10 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)若しくは外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)、公認会計士法、弁理士法(平成十二年法律第四十九号)、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)、行政書士法(昭和二十六年法律第四号)、社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)又は不動産の鑑定評価に関する法律(昭和三十八年法律第百五十二号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名、公認会計士の登録の抹消、弁理士、司法書士若しくは行政書士の業務の禁止、社会保険労務士の失格処分又は不動産鑑定士の登録の消除の処分を受けた者でこれらの処分を受けた日から三年を経過しないもの(これらの法律の規定により再び業務を営むことができることとなつた者を除く。)

とあって、どこをくまなく見渡しても、個人再生(民事再生法)に関するものは見当たらないです。

つまり、破産の場合には、

4条3号に、「破産者で復権を得ないもの」とありますが、

個人再生は、大丈夫なんです。

個人再生をすると配偶者に知られるか?

次に、ご主人に知られるかどうかについては、あなた次第ではないですか?

よくあるのは、個人再生に関する書類をどこかに置きっぱなしにしてそれを見られたとか、

いつまでも債権者の対応をしないでいたら、債権者から督促状、ひいては裁判を起こされたりして、

ばれるということです。

弁護士事務所や司法書士事務所に、

きちんと「家族に内緒なんで」と言って対応してもらい、

しかも、ご自身も気を付けていれば、大は大丈夫です。

配偶者がいる場合に 個人再生をする際の問題点

ただし、問題があります。

それは、個人再生をするには、

配偶者の

所得関係の資料(源泉徴収票、確定申告書控え、課税証明書)

ないしは

財産関係の資料(預金通帳の写し、車検証、保険関係の資料)

が必要な場合があります。

ですので、それをどこかから見つけてこないといけないんですが、

まれに、

旦那の資料は旦那が管理しているとか、

はたまた、

旦那が家計の管理をしているのが旦那なので、

旦那自身の資料はおろか、

自分の所得関係の資料や財産関係の資料もどこにあるのか分からない、

という方がいます。

これですと、個人再生の申し立てができません。

そこで、正直に旦那に言うか言わないかの決断を迫られることになります。

配偶者が個人再生する場合の影響(他の配偶者のローン等)

旦那が車を買い替えるとか、クレジットカードを作る際に、あなたが個人再生をしたことが問題になるか?、

ということですが、問題になりません。

少なくとも、旦那さん個人の信用情報については、

あなたが債務整理をしようが、個人再生をしようが、

それを情報として反映させる項目がありませんし、

そんなことしたら、たとえ、夫婦とはいえ、

あなたの個人情報を旦那に提供することにもつながる

(旦那自身も自分の信用情報を見れますから)ので、できるはずはないのです。

配偶者が個人再生する場合の影響(子供の結婚等)

最後に、娘さんの結婚の関係で、

あなたの借金や個人再生のせいで結婚できないとか、

結婚に際して結婚相手に借金がばれるということはないか、

ということですが、

もちろん、

結婚相手の親が個人再生したから結婚できないという法律はありません。

あとは、娘さんの結婚相手がなんかの拍子にあなたが個人再生を知ったことを知って、

「君のお母さんが個人再生をしたなんて信じられない!」って言うとか、

結婚相手の親御さんが騒ぎ出すとか、

を心配されているようですが、

普通に考えれば、あなたが個人再生をしたことを、あなたの娘の結婚相手が知る術はないでしょう。

娘の結婚相手がすごく慎重な方で、結婚相手の親についてまで、破産や個人再生をしたかどうかを

官報検索か何かで調べるということが考えられますか?

というわけで、本件での問題点としては、個人再生の申し立て書類の関係をあなたがご主人に告げないまま収集できるか、という点になります。

~以上、たしかに、配偶者が何か特殊なお仕事をしていると、漠然と個人再生や破産をするにあたって気になると思いますが、その点については、さほど問題になる点はないというのが、弁護士(宮城・仙台)からのご回答になります~