ギャンブル依存症による借金~自己破産・個人再生と免責不許可事由

~ギャンブルって面白いですが、はまってしまうとまともな理性が吹っ飛ぶという恐ろしいところがあります。なんといってもお金が掛かっていますからね。今ある手持ちの金だけではなく、借金までして、お金をつぎ込み始めるともう、お終いです。今回は、ギャンブル依存症で借金をこさえてしまった方のご相談に弁護士(宮城・仙台)がお答えします。~

【ご相談内容】ギャンブル依存症と自己破産・個人再生について

ギャンブル依存症です。

パチンコ、競馬、ボート(競艇)、何かやっていないと、落ち着きません。

もちろん、こんなことを正々堂々と言えるものではないのですが、一旦、始まってしまうと、頭がカッーとなったり、アドレナリンが出てくる感じで、財布の金がそこをついても、すぐに、ATMにむかってキャッシングしてしまいます。

借金がどんどん増えてきており、こんなの即刻断ち切らないといけない、というのは頭では分かっています。

でも、なんというか、借金がストレスになり、そのストレスから逃避するために、また、ギャンブルをしてしまいます。

ギャンブルをしている間だけは、すべてを忘れられるんです。

ただ、いずれにせよ、クレジットカード、サラ金(消費者金融)、銀行系カードローン、どこのキャッシング枠も限度額いっぱいになってしまい、借金自体もできなくなってしまいました。

ギャンブルでできた借金では、破産できないということも分かっています。

そんな私に、友人が個人再生法というものを教えてくれました。

借金が350万円なのですが、仕事をしていれさえいれば、あとは何も条件をつけられることなく、借金を5分の1程度に縮小してくれるとのことですが、本当でしょうか?

仮にですが、ギャンブルが原因でできた借金であることを債権者に言わずに、個人再生を申し立てて、後でばれたら罰金に科せられるのでしょうか?

もちろん、私は、こうして正直にお話ししております。

悪いことをするつもりはありません。

【ご回答】

ギャンブル依存症と自己破産の免責

「ギャンブル依存症なんだから仕方ないだろ!」、

「これは病気だ!」、

「病気でできた借金をとがめる気か!」、

などと開き直られると困りますが、本当に克服しようとする意志があるのであれば、この際、債務整理をすることをお勧めします。

ただ、任意整理は、収入とか経済的に無理なんですよね?

だから、自己破産だとか、個人再生だとか、言っているんですよね。?

それで、まず、自己破産についてですが、ギャンブルはたしかに、

免責不許可事由(破産しても裁判所が借金の支払い義務を免除しないこと)

に該当しますので、原則的には、自己破産は難しいと言われています。

ですが、先ほども述べた通り、本当に克服しようとする意志があれば、

自己破産も検討してみてはいかがでしょうか?

免責不許可事由に該当したとしても、

「裁量免責」

と言って、そのほかの事情も考慮して、裁判所が特別に免責を認めるという制度があります。

その際には、

反省して、ギャンブル依存症を克服する(克服しようとしている)

ということが重要です。

ギャンブルやめるつもりはないけど、反省してます

では話にならないですからね。

ギャンブル依存症だと逆切れしないこと

以前、債権者からの督促に耐えきれずに、相談にいらっしゃって、

「もう、ギャンブルはやめます」

「むしろ、やりたくないです」

って反省しているようでしたので、自己破産の申し立て準備をしていましたところ、預金通帳の控えをみたら、「ジェーアールエー」っていう履歴がびっしり。

(「ジェーアールエー」→「JRA」、つまり競馬)

「これって競馬ですよね?」

と聞いたら、冒頭のあの言葉、

「ギャンブル依存症なんだから仕方ないだろ!」

「これは病気だ!」

「病気でできた借金をとがめる気か!」

とまるで人が違ったように逆切れされました。

なので、

「別にとがめませんよ。ですけど、自己破産の準備はこれで中止とします。」

「債権者には、うちの事務所はもう代理人をやめるんで、あとは直接話してくださいって連絡します。」

「それではさようなら。」

ってお答えしました。

そのときは、向こうから、電話をブチって切られました。

しかし、翌日、電話がかかってきて、事務員の女性が、

「○○さんが、先生に直接お詫びしたいって言ってます。」

と電話を回そうとしましたが、

「お詫びしていただくことは何もないですから」

と事務員にそう伝えるように言って、

電話にでようとしませんでした。

しかし、何度もかかってきて、ついに電話に出たところ、

「先日は、本当にすいませんでした。自分はどうかしてました。」

「もう、今度こそ、本当に、すっぱりとやめるんで、なんとか借金の件手続きしてもらえませんでしょうか。」

とのことでしたが、私は、

「要するに、頭ではやめるつもりがあっても、つい、やってしまうのがギャンブル依存症なんですね。」

「また、同じことの繰り返しになると、お互い不幸だからやめましょう。」

と返答したのですが、

「本当に、今度は、絶対にやりませんので。」(←前もそう言っていた・・・)

「天に誓って、やりません。」(←「天」に誓われても・・・)

「今度やったら、自分、何されてもいいんで。」(←何をするっていうんだ・・・)

と言われ、結局、継続してやることにしました。

ギャンブルをまたやる可能性があるなら個人再生

「ただし、継続するなら、免責不許可事由の問題もあるんで個人再生の手続きに切り替えた方がいいと思う」

「なので破産と違い、借金の支払い義務が全部免除にならないですよ」

と伝えました。

まあ、それでもいいと言いましたんで、結局、個人再生を申し立てて、認可決定まで行きました。

自己破産ではないので、債務全額とはいきませんでしたが、100万円を3年間で36回の分割で支払うことになりました。

ちなみに、個人再生の場合の最低弁済額というのは、債務の額によって原則として決まります。

①100万円未満の場合          ・・・その全額

②100万円以上500万円未満の場合   ・・・100万円

③500万円以上1500万円未満の場合  ・・・債務額の5分の1

④1500万円以上3000万円未満の場合 ・・・300万円

⑤3000万円を超え5000万円以下の場合・・・債務額の10分の1

ですので、350万円の債務の場合には、弁済額は、債務額の5分の1ではなくて、100万です。

その以前逆切れした方は、たしか、負債額は500万近くありましたが、その場合でも、100万円が最低弁済額になります。

また、個人再生の場合には、免責不許可事由というのはないので、ギャンブルをしていたから、どうだっていうのはないのですが、申立書類に、債務(借金)が膨れあがった理由を書く欄があります。

ですが、この申立書類を債権者に見せるわけではありませんので、

「ここに書いてあるギャンブルが原因とは何だ!怪しからん!」

と債権者から怒られるということはありません。

~弁護士は心療内科の医者ではないので、ギャンブル依存症を治せません。それを治せる医者がいるのかも分かりませんが、こういう債務整理は、むしろ、一つの機会だと捉えて、克服にむかって頑張ってほしいものです。わざわざ、お金払ってドキドキハラハラしなくても、人生自体がギャンブルみたいなもんじゃないですか!以上、弁護士(宮城・仙台)からのギャンブル依存症の方からの債務整理に対するご相談に対する回答でした。~