~最近は、詐欺と言っても、露骨な詐欺ではなく、一見、きちんとした契約とか投資の形をとっております。そこをかいくぐって、担当者が強引に契約を勧めてきます。何か言っても、契約書に書いてありますから、と言い張られて、泣き寝入りしなければ弁護士頼んで裁判しますか?と言っても、今度は費用の問題があるため、そこで躊躇して、結局、最後は泣き寝入りする方もいるようです。現実問題としては、なかなか難しい壁がいくつもあるという点を、弁護士(仙台、宮城)から解説させていただきます~
【ご相談内容】投資の失敗(詐欺)とそれによる個人再生・自己破産について
ひょっとしたら、詐欺にあったかもしれないです。
電話営業で、何度も、何度も勧誘を受け、いいサイドビジネスになりますと言われて、青森の無農薬りんごの木のオーナー権を購入しました。
もちろん、購入する際には、青森バスツアーというのもあり、膨大なりんご畑を見せてもらいましたが、今となっては、本当に、あのりんご畑が相手の会社の提携農家なのかも疑わしくなってきています。
オーナー権を購入すると、毎年25%の配当がなされ、しかも、それは、どんどん希少価値が出てくるので、高値で売却することも可能で、 しかも、どうしても嫌なら解約すれば買った値段で買い戻してくれるという、どう考えてもリスクのない商品でした。
ところが、約束の配当期日になっても、通帳に配当金が振り込まれていないので、会社に問い合わせたところ、すでに私を勧誘した担当者は辞めており、配当がどうなっているのか確認しても、当初は、
「今年はリンゴの栽培が遅れており、少し、お時間を頂戴している」
という説明だったのに、説明が二転三転して、いまだに配当金が入ってきておりません。
そして、
「もう解約するから、元本返してくれ」、
と言ったところ、元本は返すが、会社の仲介手数料を差し引くと、1割程度しか戻らないという信じがたいことを答えてきました。
それで、
「そんなこと聞いていない」
と言ったところ、
「ちゃんと契約書の重要事項説明書に書いてある」
と言われ、たしかに、見てみると、
【仲介手数料が契約期間に応じてかかる】
とは書いてありました。
ですが、そんなの読まずに、どんどん、サインさせられましたし、重要事項として説明も受けておりません。
それも相手に言いましたが、
「そんなはずはない」、
「担当者には重要事項は説明するように会社として徹底している」、
と言うのです。
私としても確かめようにも、当時の担当者が辞めており、それすらできません。
居場所も個人的な連絡先も全く分かりません。
私は、このオーナー権は、銀行のカードローンを借りて買ってます。
カードローンの利息は年10%ですが、それを差し引いても、配当金の利率がよかったからです。
そもそも、担当者が、
「配当金の利率があまりにいいので、皆さん、銀行から借り入れして購入される方もいる」
と聞いたので、私もたしかにそうだと思って、借入してまで購入したのです。
ですが、毎月の支払いがきつくてどうしようもありません。
もし、事情を話せば、銀行の人も待ってくれるでしょうか?
それとも、個人再生や自己破産するしかないでしょうか?
お金が返ってくる見込みはあるのでしょうか?
【ご回答】
詐欺に遭っても債権者は待ってくれない
詐欺でしょう。
ひどい話です。
リンゴの木の実態もないんじゃないでしょうか。
被害者の数が、そこそこいるのであれば、そのうちネット上とかでも問題になってくるかもしれません。
ですので、配当はおろか、投資金が返ってくる見込みもどこまであるのか分からない感じですね。
参りましたね。
結論的な話を先にして気の毒ですが、仮に、お金が返ってこないとして、銀行にその話をしたとしても、銀行も絶対に支払いを免除も猶予さえもしてくれないでしょう。
理由が何でも返済ができない場合には債務整理が必要
ですので、支払えなければ、債務整理をするしかありません。
任意整理、すなわち、長期の分割払いで支払えそうな額でしょうか?
それも難しいということですと、それこそ、破産ですとか、個人再生を検討しなければならないかもしれません。
破産・個人再生と被害額の回収
ただ、個人再生を依頼した際にその依頼した弁護士に相談して、被害にあった額の回収ないし損害賠償請求も検討してみてもらってください。
あるいは、破産を選択のうえで、破産管財人にその旨の経緯を説明すれば、破産管財人もその会社からの回収に向けて一通りの動きは見せてくれると思います。
ですが、仮に、依頼した弁護士や管財人の尽力で回収できたとしても、それが丸ごとあなたの手元には返ってきません。
弁護士なしいは管財人の報酬ないしは債権者への配当に回ります。
しかも、大前提として、債務整理、破産、個人再生いずれをするにも、それらの手続きについても、弁護士や司法書士に依頼すればお金がかかります。
金額の多寡にもよりますが、まずは、回収の可能性も視野に入れて弁護士に依頼するというのはいかがでしょうか?
つまり、弁護士に対して、第一段階としては、被害額回収に向けての交渉なり、督促なり、なんらかの措置をとってもらい、回収が難しい場合には、債務整理も引き続きお願いするのです。
相手も、契約書の重要事項にその旨を入れている以上、かなり用意周到に、巧妙なやり口で、騙してきたと思われます。
今のような感じで、ご自身で請求をし続けても、相手から回収するのは、なかなか厳しいと思われます。
~弁護士に相談に行った場合、どうして契約書をよく読まなかったの?どうしてそんな話をうのみにしちゃったの?と言われることもひょっとしたらあるかもしれません。ですが、渦中にあると、ついつい、そんな話でも乗ってしまうこともありますよね。ですが、たしかに、費用対効果の問題は現実問題としてはありますし、人情論が通じない世界があるのもまた事実ですので、それも踏まえて、最終どうするかは決断しないといけません。厳しい事態ですが。以上が弁護士(仙台、宮城)からの解説となります~