兄に代わって私が個人再生等の借金整理を代理できます?車と保険は?

~少子化なのか、親に余裕があるのか、子供の不始末は親の責任と責任感が強い親が多いのか、どうせ相続するから同じだと考えるのか、老後の面倒を見てもらいたいからなのか、子供の借金のために親が一肌脱ぐというケースは少なくありません。もちろん、それを契機に心を入れ替えて、一生懸命、働きだして、最後に恩返しをする、ということもあるので、一概に、放っておいた方がいいですよ、とは言えないのですが、それによって、余計、金銭感覚がおかしくなるということも、またリスクとしてはある(どうせ親が最後は何とかしてくれると子供本人が思ってしまう)ので、よくよく考えてみてください。今回は、あんまり乗り気でない本人に代わって債務整理ができるのか?ということについて、弁護士(仙台・宮城)から解説させていただきます~

【ご相談内容】個人再生手続きの親族の代理について

兄が借金を作ってしまって、今、実家は大騒ぎです。

両親がずっと、長男だから、一人息子だからと甘やかしすぎたのが原因であると思っているのですが、やはり、今回も父が借金の立て替え払いをするそうです。

別に、私自身が、女だからとか、妹だからと両親から冷たくされたわけではないのですが、兄に対する態度の甘さは本当に目に余るものがあります。

「さすがに、今回はあいつも懲りただろうから・・・」

などと言っておりますが、そんなはずはないんです。

今は、塩らしくしていますが、喉元過ぎれば熱さを忘れる、でまた、お金にだらしない生活をすると思います。

なので、私は、母に

「お兄ちゃんに自分で借金の整理をさせないとだめ」

「個人整理っていうのがあるからそれをやらせて」

と言って、母から父に伝えてもらいました。

ですが、父が兄から聞いた話によると、

「実は、個人債務整理をやろうとして、弁護士に相談に行ったところ、生命保険と車があるからできない」

と言われてしまったそうです。

そんなことをあるのでしょうか?

個人整理は、車や生命保険を持っているとできないものなのでしょうか?

それなら、車や生命保険の名義を変更してしまえばできるものなのでしょうか?

なんか、兄はやるやると言って信用できないので、私が兄に代わって遣ることはできないのでしょうか?

あるいは、私が兄の代理人になって、司法書士や弁護士に依頼するということはできないでしょうか?

その場合に、個人整理の費用はいくらぐらいになるのでしょうか?

個人整理をすると返済額はどれくらい減るかも知りたいです。

【ご回答】

「個人整理」とはあまり言わないが個人が行う債務整理には4つある

借金をこしらえた張本人は、のほほん、としているのに、その周囲がやきもきする。

よくある光景です。

ではまず、言葉の整理からですが、「個人整理」というものはあまり言葉として聞いたことがございません。

おそらく、債務整理と個人再生がごっちゃになったのかな?と思います。

債務整理というのは、要するに、借金の整理をするいくつかの手続きの総称として使われています。

そして、

(1)債権者と個別に交渉して、なるべく返済期間を延ばして月々の返済額の負担を減らそうという任意整理

(2)負債総額の何割かをカットしてもらい、残額を3年等の一定期間で返済する個人再生

(3)保有する財産を原則としてすべて失う代わりに負債全額の免責をうける破産(自己破産)

(4)裁判所に仲介してもらって債権者と協議の上、返済条件の合意をする特定調停(裁判所における任意整理のようなものですが書類準備がかなり必要)

などが債務整理の方法としてございます。

破産の場合は原則、車は処分・保険は解約

それで、車とか生命保険等の財産を有していることが問題になる債務整理の方法としては、破産(自己破産)があります。

別に、車を持っているから駄目とか保険に加入しているから拒絶されるとか、そういうわけでありません。

ですが、自己破産を選択しますと、原則として、持っている資産(財産)は、すべて売却して、お金に換えて、破産管財人に渡さないといけなくなります。

(あるいは破産管財人が売却・解約をして換金する)

ですので、例えば、

「車は失いたくない!」、

「生命保険を解約されると困る!」

などと、お兄さんが言ったのだとすると、その弁護士も

「じゃあ、破産はできないですよね」

という回答をすると思います。

財産を手放さずに債務整理する方法

ですが、およそ債務整理ができないと言うわけではありません。

例えば、任意整理というのは、すでに述べました通り、

「債権者と個別に交渉して、なるべく返済期間を延ばして月々の返済額の負担を減らす手続き」

ですから、別に、資産を持っていても、債権者と交渉できないというものではありません。

また、個人再生については、生命保険に加入していても、個人再生手続きを利用できない、ということはありません。

(ただし、 その解約返戻金の額を下回らないような返済額にしなければならないという制限はあります。 )

ただ、車については、もし、自動車ローンを組んでいるような場合ですと問題があるかもしれません。

個人再生の申し立てと同時に弁済禁止、つまり自動車ローンの返済はしてはいけないことになり、そうすると、自動車ローン会社としては、

「ローンを返済することができないのなら車を引き揚げさせていただきます」

と車を引き揚げてしまうのです。

(別除権の協定というちょっと難しいお話がありますが割愛します)

ということで、いろいろ方法を検討すれば、債務整理自体はできるはずです。

債務整理において親族が代理で行うことはできない

それから、妹であるご相談者様がお兄様の代理人になって手続きを行うということはできません。

強いて言うなら、お兄様に付き添って、弁護士ないしは司法書士との打ち合わせや相談に出向くことはできます。

また、必要な書類の作成や手続きのサポートをしてあげることもできます。

債務整理の費用~司法書士か弁護士か

費用については、司法書士だからいくら、弁護士だからいくら、とは決まっておりません。

事務所ごとにバラバラです。

相場的にはどうなんでしょうか。

調べたことはないですが、

債務整理なら、1社あたり5万前後×債権者数で、

破産なら、40~50万ぐらい

個人再生なら、40~60万ぐらい

というあたりではないでしょうか?

調べれば、もっと激安事務所とかもあるかもしれませんが、最初にお見積もりを取るようにしてください。

債務整理をすれば借金の額は減るのか?

それから最後に、債務整理をしたら、借金が減るのか?どれくらい減るのか?ということについてですが、

任意整理の場合には、サラ金(消費者金融)やカード会社のキャッシングの場合でかなり昔から借りたり返したりしていたということですと、利息の払い過ぎ部分があるため、結構、減るかもしれません。

ですが、銀行系からの借り入れだとか、最近の借り入れですと、ほとんど支払額は減らないでしょう。

個人再生ですと、総債務額の8割程度はカットされるでしょう。

ですが、手続きは大変ですので、そのお兄様にできるのかどうかは微妙ですよ。

自己破産ですと、免責されれば、結果としては、最後に負債は返済しなくてもよくなります。

ですが、これもそれなりに手続きが大変なうえに、あれは残したい、これは失いたくない、などと言っているようだとこれまた難しい、ということになりますね。

~いかがでしょうか?なんとか、代わりにやってあげようという気持ちは本当によくわかりますが、一番いいのは、本人が「これではまずいので何とかしなきゃ」と危機感を感じて、債務整理をやろうと思うまで放っておくことです。
いくら、周りが、本人のことを考えたうえで、こうすべき、ああすべき、と言っても、本人にやらされている感があるのであれば、どの手続きをとっても、おそらく、難しいと思います。
ちなみに、弁護士(仙台・宮城)的には、やる気があっても、書類を準備したりするのが苦手という人もいるにはいるので、そういう方のサポートをしてくれる人がいるというのは大変ありがたい話ではあります~