~弁護士と言い合いになった、司法書士と連絡がとれない、事務所の事務員の対応が横柄だ、等々、個人再生の手続きを進める上では、どうしても、一定の期間がかかりますし、書類をください、これをご説明ください、費用をご準備ください、とやりとりに関するトラブルや感情のもつれが発生しがちです。
その場合でも、まずは、相手の意図を考えてみて、冷静に落ち着いて話し合いましょう、というのが弁護士(仙台・宮城)から第一義的なアドバイスにはなりますが、個別の事例ではなかなか複雑な経緯があるものです~
【ご相談内容】手持財産と自己破産の管財手続き及び個人再生の清算価値について
弁護士に個人再生の手続きを依頼しているのですが、その弁護士に不満というか、不安というか、不信というか、なんとも言えない感情を抱いております。
個人再生の費用を一括では払えないので、分割の積み立てでお願いします、ということで、毎月、指定された金額をこつこつと積み上げてきたのですが、先日、突然、残金を一括で支払え、支払わないと契約を解除する、と言われました。
いくら、
「それでは話が違う」、
「どうしてそんなことを突然、言い出すのか?」
と聞いても、逆に、弁護士からは
「『分割で払うがなるべく早めに積み立てるようにする』とあなたは言ったでしょ?」、
「通帳にそこそこお金がたまってきているじゃないですか!」
と言われました。
たしかに、再生手続きの準備として、通帳のコピーを出すように言われたので、それを弁護士に提出しました。
そして、その中には、30万円ぐらい残高があるにはあります。
ですが、もうすぐ、子供の入学準備を控えているので、具体的には言えませんが、何かと購入しなければならないものがあるんです。
どうして、こんなことになるのか、弁護士がおかしいのか、この弁護士は詐欺とか横領しようとしているのか、こういうのは警察に行った方がいいのでしょうか。
それから、弁護士はやはり怖いので、司法書士に依頼しなおすことも真剣に考えております。
ただ、弁護士と司法書士の違いとかメリット・デメリットがよく分からないので、アドバイスがあれば頂きたいです。
【ご回答】
破産が管財事件になるかどうかは手持ち資産の額による
なんだか、こじれているのはよくわかりましたが、ポイントというか核心部分が分からないですね。
これが、(自己)破産だったら何となく分かる気がします。
というのも、結局、破産手続きの場合には、およそ手持ちの資産は、破産財団への引き継ぎと言って、破産管財人ないしは裁判所の管理に委ねなければならなくなります。
そして、破産の場合の現預金の取り扱いに関して言うと、一定の金額を超える金額を有している場合には、
【破産管財手続き】
と言って、要するに、破産管財人をつける大がかりな手続きに回されてしまいます。
別にそれならそれでいいじゃないか、
と思われる方もいるかもしれません。
ですが、破産管財手続きに回されると破産管財人の報酬は、その破産を申し立てる人が負担しなければならないとされております。
ですので、ご相談者様の事例の場合、もし、今ある現預金を破産申し立て費用に充当すれば、結果として、現預金が少なくなります。
破産管財手続きではない手続き、これを、
【同時廃止】
というのですが、破産管財手続きと比べると手続き負担が少なく、かつ、破産管財費用を別途、準備する必要がなくなるので、それはそれでよいことです。
ですので、破産手続きなら、
「預金が積みあがっているのであれば、それを早めに破産費用に充当しませんか?」
というのは分かる気がします。
それが、依頼者さんの負担減のためにも結果としてはつながりますので。
手持ち資産と個人再生の返済額の関係
ただ、破産ではなく、再生なんですよね?
さらにさらに、考えてみると、再生、個人再生の場合には、原則として、個人再生の返済額は総負債額によるのですが、
【清算価値基準】
というのがあり、【 清算価値】つまり、今ある財産の価値を最低限としてそれ以上に支払額を定めなければならないという決まりがあるのです。
その30万円があると、総負債額から計算される返済額よりも、清算価値の方が多くなって支払額が多くなるとかいう事情があるのかとも考えたのですが。
いずれにせよ、なんか言い方がきつかったというのがあるのかもしれないですが、もう一度、よく、説明を求めた方がいいと思いますよ。
せっかく、これまで、時間と手間をかけてきて、積み立ても順調に進んでいるのなら、一時の感情ですべてをご破算にしてしまうのはもったいない気がします。
それに警察に相談してもおそらく、取り合ってもらえないと思います。
まあ、それでも、司法書士の方に切り替えるというのであれば、もちろん、最終的な選択権は、ご相談者様にあるので、それはそれでもよいですが。
司法書士と弁護士の違い~個人再生の場合
ちなみに、個人再生手続きに絞って、司法書士と弁護士との違いを言いますと、大きいポイントは2つです。
その1
弁護士は代理人としてあなたに代わってすべての手続きの代理をしますが、司法書士は書面作成を補助するのであなたの代理人にはなれません。
裁判所tの関係においても、あなたが窓口にならざるを得ません。
その2
弁護士が申立代理人になると、再生委員という再生手続きを監督する裁判所のお目付け役のような人(裁判所から選ばれた弁護士)がつかない、あるいは、ついても、再生委員の費用が安く済みます。
ですので、たとえ、司法書士に依頼しても、基本的にはご自身が弁護士をつけないで申し立てたのと同じですから、再生委員がつきます。
また、再生委員の費用を安く抑えるということはできません。
事務所選べびのポイント
費用が安いかどうか、とか、優しい(威張っている)かどうか、とかは、その司法書士ないし弁護士の性格、ないしは、その事務所のカラーによります。
一概には言えません。
司法書士がいいとか、弁護士がいいとか、いう選択の目安もありますが、
●この事務所はちゃんと最後まで手続きをやり通せるのか(いくら、愛想はよくて腰が低くても仕事ができないのではお話にならない)、
と、
●この事務所ときちんとやりとりしながらできるのだろうか(いくら、頭がよくても何を言っているのかよくわからないとコミュニケーションができない)、
という点をポイントに見て行った方がいいと思いますよ。
以上、弁護士(仙台・宮城)の立場としては、弁護士を選んでください、と言いたいところですが、本質はそういうところです~