小規模個人再生とは?~個人再生手続きの種類とその申し立てについて

【ご相談内容】小規模個人再生について

小規模個人再生を裁判所に申し立てる

小規模個人再生とは、どのような個人再生なのでしょうか?

小規模個人再生の申し立ては、サラリーマンでも可能でしょうか?

【ご回答】~弁護士(仙台・宮城)から~

小規模個人再生とは

小規模個人再生とは、個人再生の1つの類型で、民事再生法に規定されているものです。

本来は、民事再生手続きは、ある程度の規模感のある企業を対象として規定されておりましたが、例えば、住宅ローンを抱えた個人や個人事業主で債務もさほど大きくないけれども債務超過に陥った個人の救済手続きが必要とされていたところ、平成12年に、民事再生法が改正され、個人でも自己破産ではなく、再生手続きによって、生活の再建ができるようになりました。

これを法人(会社・企業)との比較において、「個人再生」といいますが、個人再生は、さらに2つの類型に分かれ、1つは、お問い合わせの「小規模個人再生」というものになります。

こちらは、本来、個人商店主や小規模の事業を営んでいる人等を想定した手続となっておりまして、負債(借金)総額が、住宅ローンを除いて、が5000万円以下であること、将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること、がその申し立ての要件として定められております。

小規模個人再生の特徴~給与所得者等再生との比較において

最大の特徴は、書面決議があることです。

一定数あるいは一定債権額を有する債権者から積極的に決議に対する反対がなされますと、再生手続きはそこで頓挫してしまいます。

もう1つの類型は、「給与所得者等再生」と言って、給料収入等(個人事業主と比較した場合に)安定している収入を得ているサラリーマン等を想定した手続きとなっております。

最大の特徴は、書面決議がない代わりに、『可処分所得』の2年分を最低弁済額として弁済しなければならないことです。

『可処分所得』とは、給与等収入から公租公課(税金等)及び最低限度の生活を維持するのに必要な費用(住居費等)を控除した額です。

ただし、ポイントは、「最低限度の生活を維持するのに必要な費用」というのは、机上の計算であり、現実の支出ではないことです。

つまり、現実には、子供の学費、食費、日用雑貨等、例えば、家計の支出が15万円だったとしても、可処分所得の計算においては、必要な生活費が10万円と計算されることがあります。

どういうことかと言うと、給与20万円で、支出が15万円だから、5万円しか余剰がないのが現実であったとしても、計算上は、月10万円の余剰が『でるはず』だから、その2年間(24か月)分である240万円を返済しなさい、ということがあり得るわけです。

実際、個人再生を申し立てるたびに可処分所得の計算をするのですが、その計算結果を見ていても、多くの家計では、可処分所得は高額になりがちです。

ですので、小規模個人再生で算出される返済額なら、毎月なんとか払っていけるけど、給与所得者等個人再生で算出される返済額になると、毎月払えないので、自己破産するしかない、というケースがあるのです。

ただ、小規模個人再生について言いますと、想定している利用者は、個人事業主等ですが、サラリーマン等の給与所得者が利用できないわけではありません。

そこで、サラリーマン等であっても、書面決議が通る見込みがあるのであれば、小規模個人再生を利用するというケースも多数あります。
といいますか、原則、小規模個人再生という形になっているのが実情です。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(仙台・宮城)から、小規模個人再生とは?小規模個人再生をサラリーマンが申立できるか?についてご説明いたしました~