1 債務整理をすると、今後、新規のクレジットカードは作れなくなるのか?

「債務整理とクレジットカード~その1」で述べた通りで、債務整理をしたとしても、即、その債務整理の対象となっている以外のクレジットカードが使えなくなるわけではありません。


しかし、新規にクレジットカードを作成するとなると、かなりハードルは高くなります。

なぜかというと、クレジットカードの新規作成の場合には、必ず、信用情報機関にそのカード申込者の信用情報の照会をかけるからです。

そして、その信用情報機関に照会をかけた結果、その人の信用情報に、支払い事故の記録や自己破産の記録が載っていると、まず、新規ではクレジットカードを作らせてもらえません。

そこで、よくある質問が、

「何年経ったらクレジットカードを作れますか?」

というものですが、

結論から言うと、

個人再生とか自己破産をした場合、

銀行系カードなら10年

それ以外なら5年

というのが1つの目安です。

(1)銀行系クレジットカードと債務整理

銀行系の場合には、一般社団法人全国銀行協会が設置、運営している個人信用情報機関である「全国銀行個人信用情報センター」が、相互に個人の信用情報を交換しており、その交換する信用情報には、『官報情報』が含まれているのです。

そして、『官報情報』には、「破産手続きの開始決定」や「民事再生の開始決定」が含まれているのです。

ですので、銀行系の新規クレジットカードを作成するときに、審査担当は、信用情報により、
「ああ、この人は、自己破産歴があるんだなあ」

と分かるわけです。

この「全国銀行個人信用情報センター」において、官報情報が掲載されている期間が10年ですので、

「銀行系カードなら10年」

というのが1つの目安とされているのです。

ですが、あくまでも目安です。

というのも、10年経って、官報情報が掲載されなくなったから必ずクレジットカードが作れるというものでもありませんし、逆に、10年経っていなくてもクレジットカードを作れた人もいるからです。

(2)非銀行系クレジットカードと債務整理

ただ、

「クレジットカードが作れるようになるまで10年もじっと待っていられない」

という方もいらっしゃるでしょう。

クレジットカードは何も銀行でだけ発行しているわけではありません。

消費者金融(サラ金)会社、流通デパート系・自動車等メーカー系クレジット会社、信販会社なども、クレジットカードを発行しています。

そういう業態が集まった信用情報機関があります。

「JICC」と言います。

正式名は、「株式会社 日本信用情報機構」といいます。

こちらも、「全国銀行個人信用情報センター」と同様に信用情報機関ですので、加盟企業が相互に支払い事故の情報を交換し合っているのです。

どういう情報を交換し合っているかというと、次のような情報です。

債権回収

債務整理

・保証履行

強制解約

破産申立

債権譲渡

等です。

これらの事実については、「当該事実の発生日から5年を超えない期間」は登録されます。

ですので、

債務整理

破産申立

については、5年間その事実があったことがJICCに照会をかけることで分かってしまうわけです。

ちなみに「個人再生」は入っていません。

また、ここの加盟企業には、「群銀カード」という群馬銀行系、「静銀セゾンカード」という静岡銀行系、「ちば興銀カードサービス」という、ちば興業銀行系、「宮銀カード」という宮崎銀行系、など銀行系カード会社も含まれておりますので、これらの銀行系クレジットカード会社も、銀行そのものではないので、信用情報としてはJICCに加盟できます

ただ、銀行系という意味では、

「親会社の銀行から情報をもらって、それをクレジットカードの審査に使うんではないだろうか?」

「だとすると、銀行系は官報情報が10年間消えないから、5年を超えてJICCから情報が消えても、クレジットカードが作れない可能性もあるんじゃないだろうか。」

と心配される方もいらっしゃると思いますが、クレジットカードの審査でさすがにそこまでの手間・コストをかけないでしょう。

2 債務整理をしても、デビットカードなら作れる?

デビッドカードとは、そのカードの加盟店で、デビットカードで商品を買ったり、サービスの料金を支払ったりすると、その代金分だけ銀行口座から引き落としされるというカードです。
本来は、銀行のキャッシュカードで一旦、お金を引き出して、そのお金で支払いをすればいいのですが、その過程を省くわけです。

合理的ですよね?

これはクレジットカードとは大きく違います。

クレジットカードは、一旦、クレジットカード会社が立て替えて支払いをしてくれるので、極端な話として、銀行口座に1円もお金が入っていなくても支払いができてしまうのです。

銀行口座に入っている金額以内で支払いができるだけということでは、チャージした分だけ支払いができるICカード(SUICAやPASMO)のようなものです。

ですので、デビットカードを作るには審査はいりません。

見た目についても、{VISA}か{JCB}ブランドで作れば、クレジットカードと何ら変わりがありません。

支払いの際も「クレジットカードで」と言わなくても、「VISAで」とか「JCBで」と言えばいいんです。

{VISA}か{JCB}が使えるお店であれば、VISAデビットカードやJCBデビットカードが使えます。

ネットショッピングだってできます。

海外でだって使えます。

何も5年も10年も

「早く、自分の信用情報から支払い事故の履歴が消えないかなあ」

と待つ必要はないのです。