生きていれば、借金の返済がどうにもならず、自己破産をするしかない、という状況に陥る人がいます。
ですが、自己破産の手続きをしたら自分はどうなってしまうのだろう、と皆さん不安に思います。
実例も含めて、自己破産をしたら、その後どうなるのかについてご説明します。
自己破産は、マイナスをゼロにするための手続き
自己破産を申し立てて、なんとか裁判所から免責許可が出た場合には、その後は借金の支払う義務がなくなります。
以上です。
その後は、債権者から返済を迫られて、督促状を送られたり、電話を掛けてこられて、債権者から怒られたりすることはありません。
ですが、逆に言えば、それ以上ではありません。
その後も、働いてお金を稼いで経済的にやりくりしながら生きていかないといけません。
自己破産手続きと官報公告と信用情報
（１）官報公告
自己破産手続きを行うと「官報」という国の広報紙のようなものにその旨が載りますが、そもそもこの「官報」を見たことがある人は、普通はいないでしょう。
（２）信用情報機関への登録
自己破産をした場合、信用情報機関にその情報が登録されます。
ですので、その登録がなされるがために、クレジットカードやローンの審査が通らないのです。
信用情報機関というのは３つありますが、それぞれに加盟している金融機関は、その信用情報を照会することができます。
そして、どの程度の期間、自己破産をした情報が掲載され続けるのかというと、
株式会社シー・アイ・シー（ＣＩＣ）
及び
株式会社日本信用情報機構（ＪＩＣＣ）
という機関には、５年間掲載されます。
また、全国銀行個人信用情報センター（全銀協）
という機関には、１０年間掲載されます。
逆に言えば、５年とか１０年経つと、その自己破産の履歴は消されることになっているのですが、消えていない場合もあります。
ですので、気になる方は、自分の信用情報の開示を請求して確認してください。
そして、消えるはずなのに消えていない等のことがあれば、訂正（削除）を求めることができます。
自己破産後は、自己破産前比べて何か生活において変わることがあるのか？
（１）クレジット・ローンの話
基本的には、クレジットカードを新規で作ったり、住宅ローン・自動車ローンを組むことは出来なくなります。
その意味での不便はありますが、クレジットカードについては、現金払いにしたり、デビットカードを代用したりしてなんとか皆さんやりくりしております。
自動車については、配偶者（妻・夫）名義や家族（親・子）名義でローンを組んでもらって、ローンの代金は実際には自分が支払うなどしております。
（２）税金・社会保険料の話
自己破産で免責がおりたとしても、税金や健康保険料等の支払い義務は免除されないので、一度に支払えないとしても、分割などでコツコツと返済していく必要があります。
（３）会社等にお勤めの場合の話
勤め人の人は、自己破産があったとしても、別に勤め先を首になったりはしません。
そもそも、勤務先の会社等に自己破産をしたことがバレることがないですが、万が一、バレたとしても、そのことを理由に会社を首になったりはしません。
頑張って、お仕事をしましょう。
なお、保険の外交員ないしは警備員のお仕事をしている方は、自己破産をするとその職業資格を失ってしまいますが、少なくとも、自己破産で免責を得た後は、そのお仕事に就くことができます。
（４）事業ないし会社立ち上げの話
自己破産をしても、個人で事業を営んだり、会社を作って取締役になることは何の支障もありません。
会社の取締役であった人が取締役である間に、自己破産を申し立てた場合には、一旦は、取締役はその資格を失いますが、自己破産の手続きが終わった場合の話としては、また取締役になれます。
（期間制限もありませんので、翌日からでも取締役になれます。）
（５）海外旅行（渡航）の話
自己破産をすると海外旅行に行けなくなるとか、パスポートがなくなるとか、たまに、そのような話をする人がいますが、おそらく、自己破産の手続き中に海外旅行に行くためには、裁判所の許可が必要であるという話が間違えて伝えられているのかと思います。
自己破産をしたからと言っても、パスポートは失効しないし、海外に行こうとして出国カウンターで止められたりはしません。
（６）戸籍・選挙権の話
自己破産をすると、自己破産をしたことが戸籍に載ったり、選挙権をはく奪されるなどという根拠のない噂を信じている人がたまにいますが、そういうことはありません。
戸籍にも載らないですし、選挙権も失われないので、普通に投票用紙が送られてきます。
闇（ヤミ）金に手を出さない
一度、自己破産をすると、通常の金融機関からのローンが組めなくなり、お金が借りれない状況になります。
そこで、まともでない金貸し、闇（ヤミ）金に手を出してしまう人がいますが、それで狂ったような金利の請求をされて、逃げ出す人がいます。
絶対に、闇（ヤミ）金には手を出さないようにしてください。
～いかがでしたでしょうか。以上、弁護士（仙台・宮城）から、自己破産後のお話でしたが、基本的には、自己破産を終えれば、普通に生活していくことが大丈夫です！気になることがあったら弁護士に無料相談で聞いてみましょう！～