主婦が自己破産すると、何か会社員やパートの場合と比べて違いがあるのか?自己破産手続きにおいて特別・特殊なことがあるのか?について、ご説明いたします。

主婦だからと言って、自己破産手続き上、特別なことは何もない

主婦の場合と、会社員等のお勤めをしたりして自分名義の収入がある場合とで何が違うかと言いますと、自己破産の手続きにおいて、提出書類がちょっと異なるというのはあります。

会社員等の場合には、自分の給与明細や源泉徴収票があるので、それを提出しなければなりませんが、主婦の場合には、そういうものはないので、結局、【非課税証明書】というものを出す必要があります。

あとは、例えば、保険の契約とか、スマホ(携帯)とか、契約の名義は自分でも、支払い口座は旦那名義ということが多いので、旦那名義の預金口座の通帳写しとか、旦那名義の書類の写しの提出が必要になることが多いかもしれません。

主婦であることと、免責の問題は区別して考える

例えば、高額な美顔器やエステ商品、ダイエット商品を買って、そのローンが返せなくなったということで、浪費が問題にされることがあります。

ですが、それは主婦だからというよりかは、家計から考えて、相当でない高額な買い物をしたということが問題になっているわけですので、これで、浪費と判断されるおそれがあると言われても、

「ああ、やはり主婦にとっては自己破産は難しいんだ!」

と判断しないでください。

もちろん、あなたが主婦でなくて、パートに出て、例えば、年間60万円を稼いでいたら、ローンを払えていけたはずだから、というのは考え方としてはなくはないですが、そういうのは、破産後の生活のプランとして実行しましょう。

今、目の前の借金が返せないのですから、タラればの話をしても始まりません。

その他は、大半が気分的なもの、とか、内輪の事情

(1)主婦で自己破産して責められないか気になる

「自分名義の収入がないのに何故、借金だけあるんですか?」

などと、裁判所や破産管財人から責められるんではないかという不安がおありでしょうか?

ですが、そりゃあ、主婦だって、いろいろな事情で借金をせざるを得ない場合もあります。

特別に、主婦である点を気にしなくてよいですし、今時、そんなことを言う破産管財人や裁判所裁判官がいたら、主婦を馬鹿にした問題発言であると抗議を入れましょう。

(2)働かずに自己破産することを責められないか気になる

「働いてみてもいないのにすぐに破産するんですか?」

などと、働かないまま自己破産することを非難されないかと気になりますでしょうか?

働こうにも働けないという事情がある場合もありますし、働いても到底、債権者が待ってくれそうもない場合もありますので、こちらも、支払いができない事情をもし聞かれれば、淡々と説明するだけです。

そんなことは、まず聞かれないです。

(3)旦那に怒鳴られたり、離婚されないかと不安

こればかりは、分からないです。

その破産の状態と普段からの夫婦関係、旦那の気性等、いろいろな要素があるので、

「大丈夫!」

「怒鳴られたりしないですよ!」

「離婚はあり得ないでしょう」

等々、あんまり簡単には言えないですね。

そればかりは、弁護士事務所にご相談されてもよく分かりません。

ただ、借金がある以上は、それを放置するよりは、きちんと整理する方がいいわけですので、だからと言って、自己破産するのをやめておこう、と考えるのは、あまり根本的な解決にならない気がします。

余計なお世話なら良いですが

たまに、旦那が生活費をくれない、とか、くれてもそれだけではとても生活できない、という事情から、独身時代に作ったクレジットカードでやむなくキャッシングしたというケースがあります。

このような事情があるケースについては、借金の相談に来られてはいるのですが、

「また生活費が足りなくなったら今度は借り入れもできないし、どうするおつもりですか?」

と聞くことにしています。

それに、裁判所や破産管財人もそれを聞いてくる可能性が高いです。

今ある借金は、自己破産でなくなったとしても、今後の生活の中でまた行き詰まる可能性が高いということですと、ひいては、根本的な夫婦関係の問題に踏み込まなければいけない可能性が出てきます。

もちろん、旦那に事情を話して、

「えっ?足りなかったの?」

「言ってくれれば渡したのに。」

で話がつけばよいですが。

~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(仙台・宮城)から、基本としては、主婦であることは、手続き上の細かな違いを生むかもしれませんが、主婦であることによって、自己破産手続きが認められないとか、難しくなる、とかそういうことではありません。その他、気になることは、弁護士や弁護士事務所スタッフ(主婦経験者あり)に相談の際に聞いてみてください~