まずは車検証の「所有者」欄を確認
車検証をご確認ください。
車検証には、「所有者」欄と「使用者」欄があります。
多くの場合、車をローンで購入した場合には、その所有者欄に、トヨタファイナンスとかの信販会社の名前が入っています。
これを「所有権留保」と言います。
つまり、車のローンを返済し終えるまでは、車の所有者は、そのトヨタファイナンス等の信販会社としておくということです。
普段は、自動車保険も、自分の名前で書けているし、車検の自分でしているので、なんとなく、自分のものになったような錯覚に陥りますが、現実には、自分は「使用者」でしかないのです。
ですので、車のローンを支払っている間は、その所有者である信販会社も何も言わないけれども、一旦、車のローンの返済が滞った場合には、
「当社が所有している車なので、引き揚げます」
と言われてしまうと、もう、どうしようも無くなるのです。
ただし、あくまでも、「所有権留保」というのは、車の売掛金を担保するための便宜的なもので、住宅ローンにおける抵当権のようなものです。
ですので、車のローンを支払っているのに、信販会社が、
「気が変わったし、自分が所有者だからやっぱり引き揚げる」
などということはできません。
また、信販会社ではなくて、車のディーラーそのものが「所有者」になっている場合があります。
この場合には、約款によるのですが、
売掛債権を持っている=信販会社
なのに、
所有者=ディーラー
といういことになり、ずれが生じておりますので、所有者でもない信販会社が車を引き揚げることができるのか?
という問題があります。
これは、最高裁でも争われるなど、かなり難しい問題なのですが、さすがに、ディーラーないし信販会社側も、スムーズに車の引き揚げができるように、最近は、ほとんど信販会社を所有者にしてきております。
車のローンがあっても車検証の「所有者」欄が自分(買主)である場合もある
銀行や信用金庫でマイカーローンを組んだ場合などには、所有権留保がつかないことがあります。
「そんなことがあるの?」
と驚く方もいらっしゃいますが、結構あります。
例として、以下に、ある銀行のマイカーローンの商品概要説明書を抜粋します。
◆ご利用になれる方
・お借入時点の年齢が満20歳以上で、最終ご返済時の年齢が満70歳未満の方
・安定継続した収入のある個人の方
・保証会社の保証が受けられる方
◆お使いみち
・新車・中古車(乗用車、オートバイ)の購入資金等
ただし、事業用のお車の購入と個人間売買にはご利用になれません
・他社自動車購入資金ローンのお借り換え資金
(ローンの対象であるお車を売却済みである場合や借り換えの対象となるお借り入れのご返済がすでに完了している場合、また残存返済期間が1年未満のお借り入れなどにはご利用になれません)
◆お借入形態
証書貸付
◆お借入金額
10万円以上1,000万円以内
◆お借入期間
1年以上10年以内
◆金利
変動金利
◆ご返済方法
元利均等返済
6か月ごとのボーナス時の増額返済も併用できます
◆保証人
不要です。保証会社が保証します
◆担保
不要です
◆保証料
不要です
~商品概要説明につき以上~
以上のように担保不要ですので、所有権留保という担保もつきません。
ただし、保証会社の審査があります。
債務整理(任意整理)をすると車のローンはどうなるのか?
債務整理(任意整理)というのは、現在の月々の約定に従った支払いが困難な場合に、個別に債権者と交渉の上、月々の支払い負担をなるべく低くして、長期間で無理なく返済するように交渉して和解する(リスケする)ことを言います。
任意整理の場合には、将来の利息は支払いません。
(1)車のローンそのものを債務整理(任意整理)の対象とする場合
①所有権留保がある場合
この場合には、こちらから、
「今の月々の支払い負担が重たいので、もう少し、支払期限を延ばしてもらえませんか?」
と申し出ても、まず受けてもらいません。
「将来の利息も貰えないし、それなら、もう引き揚げるので結構です。」
と契約解除の上、車を引き揚げられてしまいます。
ですので、こんなことを一か八かやるぐらいであれば、上記のところで説明したマイカーローンに乗り換える方がよいかと存じます。
マイカーローンは、『◆お使いみち』にもあったように、
『新車・中古車(乗用車、オートバイ)の購入資金等』
のみならず、
『他社自動車購入資金ローンのお借り換え資金』
にも使えるのです。
『◆金利』のところにもありましたように、『変動金利』ですが上記の銀行では、
お借入金額「500万円~1000万円」の場合 ⇒ 適用金利年1.25%
お借入金額「200万円~499万円」の場合 ⇒ 適用金利年1.60%
お借入金額「10万円~199万円」の場合 ⇒ 適用金利年2.30%
だそうです。
また、大事な借入期間ですが、『◆お借入期間』は、
1年以上10年以内
ですので、10年近いところまで期間がとれるのであれば、かなり月々の負担は減ります。
②所有権留保がない場合
所有権留保がない場合には、車自体は引き揚げられたりしません。
引き揚げる根拠がありませんから。
ただし、車のローンの債務整理(任意整理)と言っても、当然ながら過払い等は生じていないので、元本は減りませんし、もともと、そこそこ長い期間でローンを組んでいるでしょうから、任意整理をしたところで、そんなに月々の支払金額は減らないかもしれません。
(2)車のローン以外を任意整理の対象とする場合
車のローン以外に他にも借金(キャッシング、ショッピング、カードローン、消費者金融等)があり、それらを債務整理(任意整理)したいのだという事であれば、車は何の影響もうけません。
「お宅は、クレジットカードの支払いができなくて債務整理をしたらしいですね。」
「そういうお客さんは危険なので車を引き揚げさせていただきます。」
などとは言われません。