パワハラ夫と別居中でも個人再生で家に住めますか?

【ご相談内容】離婚における財産分与と住宅ローン付きの家

私は、医療系事務の仕事をしておりますが、パートです。

夫は、深夜の長距離の運転手をしておりますので、2人の生活リズムはバラバラです。

子供は、3人いますが、一番上の子がまだ小学校に入ったばかりです。

夫は、朝方帰ってきて、1日ないし2日はずっと家に居て、また夜出ていくという勤務体系なのですが、パチンコに行くか、家に居る間はお酒ばかり飲んでいます(いました)。

それで、私や子供に対しても、酔っぱらっては暴言を吐きます(吐いていました)。

特に、子供が片付けが出来ていないと、夫は自分の子供のころに、いかに親に厳しく育てられたかを語りだして、それを子供がキチンと理解しないで、大声で怒鳴り散らします。

そして、私が

「まだ、そんなこと言っても理解できないよ」

と子供を庇うと、

「デブ」

「ゴミ女」

「お前がいると家でくつろげない」

「食わせてもらっているのに感謝が足りない」

等々、ひどい暴言を浴びるパワハラ夫です。

ただ、どうせ言い返しても、面倒になるだけなので、無視していたら、

「黙ってんじゃねえよ!」

「馬鹿にしてんのか!」

とまだ中身が残っている酎ハイの缶を投げつけられたこともありました。

子供達は、怖がって大泣きです。

しかも、キャッシングやサラ金で借金まで作っており、最悪です。

そして、ついに、ある日、

「こんな豚小屋じゃ暮らせねえ!」

「パートしかしていないくせに家事やれよ!」

と大騒ぎして、家を出て行ってしまいました。

もう、出て行って1カ月ぐらい経ちますが、夫は、会社の仮眠所で寝泊まりしています。

そして、家に借金の請求書がたくさん来るので、まとまったら会社の事務の人に届けていますが、きちんとは支払っていないようです。

住宅ローンについては、私が連帯保証人になっているのですが、名義は夫です。

こちらは、給与口座からの引き落としで、なんとか支払いはされています。

1)DVやパワハラを理由に、夫と離婚する場合、家を私に名義を移すように求めることはできるでしょうか?

2)夫の借金については離婚で何か私に不利になるでしょうか?

3)夫の借金については、個人再生で家を守ることができるでしょうか?

【ご回答】弁護士(仙台・宮城)より

離婚の際に家の名義の変更を求められるか(財産分与)

結局、家の名義の変更というのは、財産分与の問題です。

もちろん、協議離婚が整って、財産分与として夫が名義を変更することに同意すれば可能です。

ただし、問題は住宅ローンです。

夫側が家を移すのはいいけど住宅ローンも名義を変更しろ、と要求してくるのは極めてよくあることです。

ですが、本件の場合、住宅ローン付きの家を奥さんに名義変更したとしても、住宅ローンの名義人である夫が住宅ローンの支払いを行わなければ、その請求は連帯保証人である奥さんに来ます。

奥さんが住宅ローンを引き受ける覚悟で名義変更をするというのであれば、連帯保証人として、今後の住宅ローンを支払いながら、最終的に完済になれば、奥さんが自由にすることができます。

離婚における夫の借金の取扱い(財産分与)

夫婦の一方に借金がある場合には、その借金も財産分与の対象になるのが原則ですが、それは、夫婦が家計については連帯して責任を負うという考え方があるからです。

お話の限りですと、パワハラ・DVもひどいですが、借金もギャンブル(パチンコ)でできた可能性も高く、このような浪費でできた借金まで、他方に責任を負わされるいわれはありません。

従いまして、その場合には、夫の特有の借金ということで財産分与の枠外と考えてよいです。

離婚した場合に居住していない夫が個人再生で住宅を守れるか?

結論としては、離婚すると守れません。

個人再生には、確かに、住宅資金(住宅ローン)特別条項と言って、住宅ローンを支払いながら、他の借金については大幅に圧縮することができる取り扱いがあります。

ですが、その住宅資金(住宅ローン)特別条項というのは、条件があるのです。

その条件は、その個人再生を申し立てた人が「居住する」ためのものという条件です。

離婚して、夫が出て行ってしまうとすると、その住宅は、夫にとっては居住用でもなんでもありません。

従って、個人再生で家を守ることが難しくなってしまうのです。

夫が自己破産する前に住宅ローンの借り換えを受けられないか

そういうわけで、夫が個人再生をすることによって住宅を維持するというのは難しく、逆に、夫は自分も住むことがない家なんかどうでもいいと、自己破産する危険があります。

そうなると、結局、住宅ローンの名義は旦那なので、住宅ローン会社・銀行も支払いがストップしたとして、一括の返済を連帯保証人である奥さんに求めてきます。

さすがに、奥さんも一括では支払えないでしょうから、結局、家を売却するか、あるいは、競売にかけられてしまうことになってしまいます。

ですので、一番いいのは、奥さんに名義を変更するとともに、住宅ローンもあらたに奥さんの方で組めれば、その後、夫が自己破産しようが何しようが家は守られます。

ただし、問題は、奥さんがパートですので、住宅ローンの審査が通るかどうか、それが一番のネックにはなるとは思います。

本件は、かなり、夫の借金、住宅、そして離婚と複合的ではあるので、今後、離婚の調停を申し立てるにしても、よく弁護士と検討して方針・作戦を練らないといけないです。

DV・パワハラも簡単には認めてこないですよ。

しかも、養育費もしっかり払わせないといけません。