ギャンブルによる借金で個人再生しますが学資保険はどうなる?

【ご相談内容】個人再生における学資保険の取扱い

「絶対、競馬情報【関係者のみ】というメールが来て以来、どんどん、競馬にハマってしまいました。

最初は、外れはしたのですが、

「今度こそ、本当かもしれない」

「JRAからの極秘情報」

などと、一発逆転を狙って、借金までして馬券に次々と、つぎ込んでしまいました。

ですので、ここで区切りをつけて借金の整理をしないといけないです。

ただ、住宅ローンを抱えて、子供の学校の問題もあるので、家は手放せません。

個人再生を勧められておりますが、1つ気になるのは、子供の学資保険です。

この学資保険の取扱いはどうなりますか?

私の名義の契約ですが、現実に保険料を支払ったのは私の母(子供にとっては祖母)です。

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【ご回答】~弁護士(宮城・仙台)から

個人再生ではギャンブルによる借金でも免責は問題にならない

これが自己破産ですと、ギャンブルでできた借金という事ですので、免責(裁判所からの支払い義務の免除)がおりるのかどうかが問題になりますが、そもそも、住宅ローンの関係で自己破産ではなく、個人再生をするということですので、それはそれでよいです。

個人再生の特徴

自己破産は、いまある財産を手放す代わりに、借金の支払い義務をすべて免除してもらう手続きであるのに対して、個人再生は、財産はすべて手元に置いたまま借金の全額免除ではなく、借金の圧縮をして分割払いする手続です。

ですので、預金、不動産、車、「保険」、いずれも手元に置いたままです。

保険も種類を問いません。

生命保険

医療保険

損害保険

火災保険

地震保険

のほか、ご懸念の

【学資保険】

とて例外ではありません。

どれも解約する必要なく、継続をすることが可能です。

個人再生における保険の継続保有と清算価値

しかし、個人再生を保有しながら、債務を大幅に圧縮することができるということは、例えば、高額な家や車を保持しながら他方では、借金は返せないのでと債権カットをすることもできそうに思えます。

ただ、それでは、

「資産はあるのに借金を大幅にカットするなんてズルい!」

と債権者から言われてしまいます。

「資産を手放す必要がない」

「財産を手元に残したまま」

というのは、

「財産を手元に残したままで売却したり、解約したりはしなくてもよいけど、その相当額は最低返済する」

ということが前提の話です。

そして、これを「清算価値の保障」といいます。

個人再生における清算価値の保障の具体的な意味

例えば、あなたのギャンブルでできた借金が400万円とします。

それで、あなたの財産は全部で200万円相当であるとします(学資保険を入れて)。

400万円の借金の場合に個人再生をすると、その返済額は100万円になるのが原則です。

ですが、清算価値の保障をしなければならないので、結局、最低200万円は支払うことになります。

逆の場合もあります。

同じく、あなたのギャンブルでできた借金が400万円としましょう。

だけど、あなたの財産は全部で80万円相当であるとします(学資保険を入れて)。

400万円の借金の場合に個人再生をすると、その返済額は100万円になると言いましたが、清算価値は、その100万円よりも低い80万円です。

そうすると、この場合には、返済額は100万円になります。

100万円に80万円を足して180万円になる、というわけではありません。

学資保険は名義人のものか、出捐者のものか

ただし、あなたの名義の学資保険は、実際に保険料を出しているのは、あなたの母親だということですよね。

そうすると、あなたが個人再生をする際に、あなたの財産として清算価値に計上する必要がないのではないかという気もしますね。

裁判所が名義人で判定するか、出捐者で判定するか、については一義的に決まっていません。

裁判所は、その場その場でスタンダードを変えます。

例えば、預金の名義のケースで、子供名義で積み立てている場合とかってありますよね。

個人再生の申立人が自分の子供で定期預金をしている場合(実際には申立人が積み立てている場合)には、絶対に申立人の清算価値に計上させられます。

ただ、逆の場合、申立人の名義の保険なんだけれども、実は父親がお金を出しているって言っても、なかなか、

「ハイ、そうですか」

「だったら、清算価値に入れなくてよいです」

とは言ってくれません。

要するに、まとめますと、その時々で、なるべく、清算価値に入れよう、入れようとしてくるのです。

これは、自己破産の場合も同じです。

破産管財人は、なるべく、破産者の財産に入れよう、入れようとしてきます。

そして、そのお金を回収していきます。

ですが、基本は出捐者が基準です。

名義以外は、出捐者がお金も出しており、例えば、実質的な管理も出捐者が行っていれば、出捐者のものであると裁判所に主張しましょう。

まず通る話です。

もちろん、先ほど述べた通り、清算価値にいれても、最低返済額に満たないのではあれば、あまりこの議論は意味がないですが。