債務整理(任意整理)を選択の理由は車とブラックリスト

車を手放せない、ブラックリストに載りたくない、だから債務整理(任意整理)するという選択は正しいのか?

債務整理(任意整理)とは

車のローン

債務整理(任意整理)とは、基本的には、債権者との個別に交渉・合意により、現在の債務(借金)の元本を分割払いで返済していくことをいいます。

なお、言葉の問題として、この分割払いの交渉を「任意整理」と呼び、「債務整理」はもっと広い意味、つまり、借金を整理するための手段・手続きを指す言葉として使われることも多いです。

今回は、債務整理と任意整理とは同じ用語として使うこととして、借金の返済に困った人がとり得る対応としては、債務整理(任意整理)だけが全てではありません。

ご存知かもしれませんが、破産(自己破産)という方法もございます。

(1)自己破産と車及びブラックリストの関係

ですが、自己破産の場合には、

1)車が一定以上の価値(価格)の場合には手放さなければならなくなる

2)車がオートローン(自動車ローン)途中で所有権留保の場合には手放さなければならなくなる

3)自己破産をするとブラックリストに載ってしまうため、車のローンが組めなくなる

というデメリットがあります。

そこで、

「自己破産が駄目なら、債務整理(任意整理)した方がいいんじゃない?」

という考えが出てくるのです。

(2)個人再生と車及びブラックリストの関係

ただし、個人再生という手続きもあります。

個人再生の場合には、

1)車が一定以上の価値(価格)の場合でも手放さなければならなくてよい

2)車がオートローン(自動車ローン)途中で所有権留保の場合には手放さなければならなくなる(自己破産と同じ)

3)個人再生をするとブラックリストに載ってしまうため、車のローンが組めなくなる(自己破産と同じ)

「自己破産よりも個人再生の方がいいのはローンのない車を手放さなくてよい点だけだから、結局、債務整理(任意整理)がいいんじゃない?」

と考えてしまいます。

債務整理(任意整理)と車の関係

債務整理(任意整理)と自己破産・個人再生との違いは、任意整理の場合には、あくまで、各債権者との個別の交渉の話になるので、自分で債務整理(任意整理)をする対象を選択することができる点です。

例えば、

A社 キャッシング

B社 オートローン(自動車ローン)←所有権留保付き

C社 消費者金融

D社 銀行カードローン

という債務がある場合に、

A社 キャッシング

C社 消費者金融

だけを債務整理(任意整理)の対象として、その他は、何もせずに普通に支払いを継続するということが可能なのです。

自己破産・個人再生の場合には、そうはいきません。

債権者平等の原則から、全ての債務について、一斉に返済をストップしなければなりません。

特定の債権者だけに返済をすることは、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」と言って固く禁止されているのです。

ですので、

B社 オートローン(自動車ローン)←所有権留保付き

については、何もなかったように返済を続ける、ということができません。

そして、オートローン(自動車ローン)の支払いを止めれば、当然ながら、B社は、

「もともと所有権はB社にあるのだから、ローンの返済ができない以上は車を引き揚げる」

と言って来ます。

つまり、

「車がオートローン(自動車ローン)途中で所有権留保の場合には手放さなければならなくなる」

ということを回避したいのであれば、やはり、債務整理(任意整理)を選択するというのは理にかなっています。

債務整理(任意整理)とブラックリストの関係

(1)ブラックリストとは

「ブラックリストに載る」と言ってきましたが、ブラックリストという、借金返済滞納者(支払い事故者)リストのようなものがあるわけではありません。

「ブラックリストに載る」という事は、すなわち、信用情報機関において、返済遅滞ないしは法的整理等の支払い事故を起こしたことが登録されることを言います。

ですが、便宜上、信用情報機関に支払い事故情報が登録されることを「ブラックリストに載る」と言っているだけです。

そして、自己破産・個人再生をするとブラックリストに載るけれども、債務整理(任意整理)の場合には載らないのか?ということについては、どうなのでしょうか?

答えは信用情報機関によります。

(2)信用情報機関によって取り扱いが違う

信用情報機関には、

CIC

JICC

全銀協

の3種類があるのですが、

債務整理(任意整理)をしたというのが記録に残るのは、

JICC

のみです。

ただし、債務整理(任意整理)をする時点で、すでに返済が遅れていれば、その延滞情報は、全ての信用情報機関に掲載されることになります。

そこで、JICCに加盟していない債権者との間であれば、ささっと債務整理(任意整理)をすることによって、ブラックリストに載らない可能性があります。

ブラックリストに載らない場合には、信用情報をもとに車のローンの審査が通らないという事はないということです。

もっとも、車のローンが通らない理由は、信用情報だけではありません。

そもそも、収入要件で通らないとか、他社からの借り入れが多すぎるとか、急激に借り入れを複数に申し込んでいるとかいろいろな要素で審査がなされますので、

「信用情報は問題ないはずなのにローンが通らない」

ということは十分あります。

また、JICCには

クレジット会社、

信販会社、

保証会社

リース会社

のほかに、

消費者金融会社

等々、1300社以上の会社が加盟しております。

したがって、これから、債務整理(任意整理)の対象としようとする債権者がJICCに加盟している可能性は低くはないでしょう。