老人が借金を抱えている状況は危険
ただでさえ、老後は年金以外に2000万円ないと暮らせないとか、いや2000万円でも足りないとか、さらには、年金制度が崩壊するんじゃないか、とか不安になるっようなニュースばかりですが、その上、借金まで抱えていたら、どんな老後を過ごせばよいのでしょうか。
もちろん、自己破産には年齢制限はありません。
老人であっても自己破産をして、借金を整理することは可能です。
ですが、自己破産をするということは、そこで、手持ちの財産は原則、手放して、またゼロからの再スタートを切らなければならないということです。
自分の年齢と財産状況で破産・再生・任意整理を検討
債務整理の方法の中で、何と言っても、自己破産は、今ある債務の返済義務が原則、全て免除されるということで、はやく債務から解放されます。
そういう意味で、収入等があまり増えることが見込まれない高齢者は、自己破産で早く債務をなくしておくのがふさわしいと言えます。
ただし、借金もあるけれど、家もある、車もある、保険もある、という状況下においては、自己破産をするというのは、生活環境に与えるインパクトが大きいです。
自己破産手続きではなく、(可能であれば)個人再生手続きを選択して、財産は手元に残したまま、借金からの再生を図った方がよい場合があります。
また、任意整理であれば、自分の判断で、どの債務(債権)について任意整理の対象とするかを選ぶことができます。
ただし、元本を長期分割で支払い続けるだけのことになり、原則として元本は減りません。
よく検討しましょう。
ただし、自分の個人的なこだわりとか、よく分からない風説・噂・イメージ・誤った情報に左右されないようにしましょう。
(1)車のローンと任意整理
例えば、車。
車のローンが終わっていなくて、自己破産や個人再生を選択すると、せっかく新車で買った車が引き揚げられてしまうので、自己破産や個人再生を選ぶことはしない、と任意整理を選ぶ方がいます。
任意整理とは、単に、元本の支払い期間を長めにとって月々の支払額を少なくする手続きです。
リボ払いと似ておりますが、リボ払いと異なり、利息ゼロです。
ですので支払えば支払うだけ元本が減っていきます。
(2)連帯保証人と任意整理
次に、連帯保証人。
親族や知人に連帯保証人になってもらっているので、どうしても、自己破産や個人再生を選ぶことはしない、と任意整理を選択する人もいます。
(3)配偶者や親や子供に迷惑をかけたくない
風説に近いものでは、自己破産や個人再生をすると親や子供に迷惑がかかるから、何としても支払い続けますという人もいます。
自分が破産すると、自分の代わりに親や子供のところへ債権者が支払いを迫りに行くとでも思っているのでしょう。
そんなことはありませんし、債権者も、単に、親だから、子だからという理由で請求をかけたら、それは不法行為であり、場合によっては犯罪にも該当します。
車のローンについてできること
たしかに、ローン中に自己破産をすると車を引き揚げられてしまう場合があります。
ですが、車にこだわるのもよいですが、自己破産・個人再生をしたら車を持ってはいけないと言われているわけではないですよ。
まず、基本的に、車の価格が20万円以下であれば、自己破産でも車を保有し続けることが可能です。
ですので、車が引き揚げられるとしても、他の債務も含めて免責されるのであれば20万円以下の車を買ってそれを利用することも検討した方がよいです。
「20万以下の車なんて、中古の相当古い型式で、走行距離も相当いっている車しかない」
と言われるかもしれませんが、その通りです。
そういう車でたいして価値がないということから、自己破産をしたとしても、売却しなくてもよいとされているのです。
連帯保証人についてできること
連帯保証人に請求が行っちゃって、連帯保証人が支払わなければならないのなら自分が払うのと同じことだから、自己破産ないし個人再生できない、というのはちょっとよく考える必要があります。
今の債務の中に連帯保証分が混ざっているから、他の債務も含めて、自己破産できないので、全ての債務について払い続けるという事は本当に可能でしょうか。
例えば、一旦、自己破産して、連帯保証人の分については、任意整理してもらった方がいいのではないでしょうか?
「連帯保証人が任意整理したらブラックリストに載ってしまう」
というのはその通りかもしれません。
ですが、今なら、連帯保証人が任意整理した分の支払いを自己破産の手続きを終えた後に、弁償することができます。
自分で支払うと言っているくらいですから同じことです。
なお、自己破産手続きが終了すれば、その後に、誰にお詫びの支払いをするのかは自由です。
ですが、もし、将来、年食ってから、自己破産になってしまったらどうですか?
少しでも連帯保証人に迷惑かけたくないという気持ちは分かりますが、あなたが年をとればとるほど、危険は増すわけです。
配偶者や親や子供に迷惑の意味
「迷惑」の意味にもよりけりですが、借金をきちんと清算しないまま、ずっと無理して支払い続けるのもこれまた迷惑なのではないでしょうか?
もちろん、繰り返しになりますが、まだ若いのであれば、これから人生がどう変わるかもしれないので、支払いをしつつ、人生の逆転をかけて頑張るという事も考えてもいいかもしれません。
しかし、ある程度の年齢になって、
「人生はまだこれからだ!」
とも言えなくなっている状況下で、さらに長期にわたっての返済を抱えることの現実性をよく理解する必要があります。
少なくとも、法的には他の親族や知人に支払い義務があるわけではありません。
事実上の影響として、引っ越しとかマイカーがなくなるくらいはあるかもしれませんが、トータルで考えてください。