債務整理と年金の関係(老人破産を防ぐため必要なこと)

債務整理(自己破産)をすると年金はもらえない?

年金担保融資 年金手帳

債務整理(自己破産)をすると、財産をとられちゃうから、年金も財産の一種として、差し押さえられてもらえなくなるのではないかと不安に覚える方が少なくないようです。

ですが、安心してください。

たとえ、基本的に手持ちの財産をとられてしまう自己破産であっても、差押え禁止財産まではとられません。

そして、年金はまさに差押え禁止財産なのです。

年金が差押えされないか不安

(1)差押え禁止財産とは

差押え禁止財産とは、強制執行(民事執行)により差し押さえることができない財産のことをいいます。

債権者による債権回収の必要性と債務者の生活の維持のバランスをとるために、民事執行法や、国民年金法、厚生年金保険法により、一定の財産・債権は、差押え禁止とされているのです。

(2)年金は振込される前と後で異なる

ただし、年金が振り込みの場合には注意が必要です。

年金受給権そのものが差し押さえられて、債権者が根元から債権の回収を行う(したがって、自分の手元に来る前に年金がなくなる)ということはないのです。

それはないのですが、年金受給者の預金口座に振り込まれると、その後は、預金になってしまうので、預金は差押え禁止財産になっていないので、構わないだろう、と債権者が差し押さえできるのです。

ただし、例えば、年金支給額が15万円で、銀行の預金残高が15万円という場合、それがおさえらるというのは実質年金がおさえられるのと実質的に同じことになってしまいます。

そこで、場合によっては、差押えの取り消しを裁判所に対して、申し立てることにより、強制執行を取り消すことが可能な場合があります。

年金担保融資は手を出さないで

(1)年金担保融資とは?

年金担保融資とは、国民年金、厚生年金、又は労災年金を担保にとって公的な機関である独立行政法人福祉医療機構が融資する制度です。

独立行政法人 福祉医療機構HP 年金担保融資
https://www.wam.go.jp/hp/guide-nenkin-outline-tabid-251/
[独立行政法人 福祉医療機構HP]より引用

【資金使途】

保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品の購入に使えます。

【融資金額】

①10万円~200万円の範囲内

②受給している年金の0.8倍

③1回あたりの返済額の15倍以内

以上の3つの全ての条件の範囲内の額です。

【担保】

年金を受けとる権利(年金受給権)自体が担保になります。

さらに、連帯保証人も必要となります。

あるいは、公益財団法人年金融資福祉サービス協会による保証もありますが(信用保証制度)、その場合には、保証料を支払う必要があります。

【利率】

年金担保貸付:2.8% (平成30年10月3日現在)

労災年金担保貸付:2.1% (平成30年10月3日現在)

【返済方法】

独立行政法人福祉医療機構が借りた人に替わって年金支給機関から直接に返済分を先に回収します。

(したがって、借りた人は返済分を控除された額しか支給されません)

(2)年金担保融資は令和4年に廃止される

年金担保融資(年金担保貸付制度・労災年金担保貸付制度)は、すでに、平成22年閣議決定において廃止することが決定されております。

・厚生年金保険法及び国民年金法では年金給付を受ける権利を担保に貸付することは禁止されているにもかかわらず、公的機関が年金給付を担保に貸し付けるという仕組み自体が問題であること

・生活費に充てられるべき年金が返済に充てられ困窮化し生活保護受給に至るという弊害がでていること

・債務の一括整理等を理由とする借入も、年金担保貸付事業による返済をあてにした安易な民間貸し込みを誘発していること

等々の理由により、廃止に向けてどんどん貸出残を減らして事業規模を縮小しております。

このように、政府自身が事業仕分けにおいて問題がある、ないしは存続させる必要がない事業だと言っているのです。

(3)なぜ年金担保融資は借りてはいけないのか?

まず、政府自身がそう答弁しております。

老後の生活を支える貴重な原資である年金について担保に供することを禁止した原点に立ち返り、年金を担保にした安易な借入れを許容する本事業は廃止する。

というのは、まさにその通りです。

だから、借りる必要がありません、というか借りてはいけません。

特に、債務の一括整理等として、サラ金(消費者金融)やキャッシング・カードローンの返済分を年金担保融資で借りて返済したらどうなりますか?

利息が安いから、と言っても、返せなければ虎の子の年金がおさえられてしまうのです。

というか、最初から年金を切り売りしているのと同じことです。

債務整理しようにも、年金がごっそり根元からおさえられているので、どうにもならないのです。

そもそも、連帯保証人とか保証会社までつけさせているのに、年金まで担保にとるなんて、公的機関がやることではありません。

悪質金融業者から消費者を守るためとか言ってますが、悪質金融業者でも年金受給権までは手を出せません。

悪質金融業者から借りないようにすることと、年金を担保にとることが一体どう関係するのか理解できません。

それが、公的機関により堂々となされるのですから、逃げ場がなく、再起不能になります。

老人破産どころか、破産すらもできません。

生活保護に入るしかなくなるわけです。

繰り返しますが、年金担保融資をやるような状況だったらまず弁護士に借金の問題について債務整理相談です。