家があるけど借金もある場合どうしたらよいかを弁護士に相談する
弁護士さんに相談してなんて言われるかを気にしておりましたが、いざ話してみると、自分でも驚くくらいすらすらと話をすることができたのは不思議です。
そういえば、夫が亡くなって以降、子供や親族以外の誰かと話をするのは、お店のお客さん以外は久しぶりでした。
ズバリ、
「そういうことなんで、先生ならどうしたらいいと思います?」
と聞いてみました。
弁護士さんは、
「まあ、今後、いつくかの選択肢というか分岐点があると思いますが、家も欲しいけど、借金を背負うのは嫌だ、ということで、頭がぐるぐる回っているのではないですか?」
「これは、実は相続の局面ではよくあることなんですよ。」
相続はオールオアナッシング
「相続って言うのは、するか、しないか、しかないんです。」
「もちろん、限定承認と言って、仮に相続したとしても、相続財産以上に責任を負わない、という制度はあるんですが、財産は相続したいけど、借金は相続したくない、っていうのはできないんです。」
「まず、これが大前提です。」
「ここで、『そこを何とかならないでしょうか?』と言われてしまうと、もうこれ以上話は進まなくなるんです。」
「そりゃあ、誰でも、借金だけ放っておいて、住宅ローンがなくなってきれいになった家に居住できるというのならそちらを選択しますが、その選択肢はないんですよ。」
「ただ、客観的に考えて、家が借金以上の価値がある、つまり、もし家を借金の額以上の値段で売ることができるのであれば、相続を放棄するというのは無いと思うんですよね。」
相続財産が不動産のみの場合の借金の返済方法
「考えるべきは、借金の清算方法として、家を売って、その売却代金で借金を返済するのか、家を売らずに借金は借金として別途、返済していくのか、という選択になると思います。」
なるほど、自分の悩みのポイントや自分が何を決めればよいのかというのが、あっという間に整理されました。
こうして弁護士さんから説明を受けると、なんだか当然のようなことばかりですが、自分で考えるとどうしても考えがまとまりませんでした。
ただ、その日のうちにどうすればよいのかは、結局、決まりませんでした。
相続による借金の場合は過払い・時効調査と不動産の査定が必須
なぜなら、弁護士さんが、
「ご主人のお金の借り入れについては、取引明細を見て、いつごろから借りたり返したりしていたのかを確認して、もし、昔の高金利時代からの貸し借りがあるのなら、『過払い』って言って、利息が払い過ぎの部分があるかもしれません。」
「それで過払いがあれば借金の額が減るわけですが、そもそもあるかどうかも分からないし、減るにしてもどのくらい減るかは見てみないとなんとも言えませんので、先に調査だけしてあげますよ。」
「あと、不動産についても、知り合いの不動産屋にどれくらいの金額で売れそうなのかを簡単に査定してもらってあげますよ。」
と言ってくれました。
そしてしばらく経ってから、弁護士事務所さんから、調査が終わったので、改めて弁護士さんから説明したいという連絡が来ました。
借金の額についてはどうなるのだろう、家は実際のところ、幾らぐらいなんだろう、そして、弁護士さんからは何て言われるのだろうと、と最初の相談の時よりも気になって、前日はよく眠れませんでした。
当日は、不動産については、弁護士さんが2社の不動産屋に査定を依頼してもらったらしく、査定書が準備されていました。
そして、その2社とも、不動産の売却予想価値についてはそんなに変わらず、一つは1450万円で、もう一つは、1520万円でした。
借金の額については、クレジット会社と消費者金融会社の2社分にいわゆる過払いという利息の払い過ぎがあったため請求されていた額よりも借金が安くなるとのことでした。
また、消費者金融の1社については、時効になるということでした。
債務額が確定したら相続・借金返済をどうするか決定しなければならない
結果として、当初の夫が請求されている借金は、約500万円だったのですが、いろいろ計算していただいて、約350万円になるということでした。
ただし、その約350万円は当然ながら私が返済していかなければなりません。
一番の問題は、毎月幾らぐらいになるのかということですが、7年間払いにすると、月々4万ちょっとで済むとのことでしたが、5年払いとなると、月6万近くになるということで、これは弁護士さんと各会社さんとの協議によるものなので、やってみないと分からないと言われました。
いずれにせよ、家を手放さない以上は支払っていくしかないので、
「なんとか頑張りますので、交渉の方はよろしくお願いします」
と言いました。
ただ、愚痴と言いますか、弁護士さんには、
「夫はなんで家族に内緒で借金なんかしていたのか、本当に悔しいです。」
という気持ちを述べたところ、
弁護士さんからは、
「そういう風に思ってしまいますか。ですが、ご主人が生きているうちに家を購入したから、少なくとも住む家だけは確保されています。」
「家を売らないためになんか借金だけが目立ってしまいますが、今は、プラスマイナスで言うと、1000万以上のプラスの財産があるのですよ。」
「借金しかなくて、相続放棄するというケースもあるのですから、上を見ればキリがありませんよ。」
「例えば、家がはもともと賃貸で、遺産として現金1000万円があれば、そこまで悔しい思いにはならなかったと思うですが。」
と言われました。
たしかに、上を見ればキリがないというのはそうかもしれません。
相続できるものがあるだけ、夫には感謝して、ご苦労様と言うべきなのでしょう。
死んで仏様になってしまった以上、その人に恨みを持っても仕方がないことです。
それに、気がつけば、今回の騒動では、子供がしっかりと成長していたことを確認できたことについても感謝しなければなりません。
しかも、子供は、
「もし、家がなければ毎月、家賃は発生するんだし、毎月6万ぐらいは仕方ないんじゃない?」
「その代わり、この家は、将来、もらえるんでしょ?」
と励ましてくれました
弁護士さんにも、いろいろお手数をかけて頂き、借金も500万以上あったものが、350万円になりましたし、これからは、子供と頑張って、借金を返済していきます。
ですが、なるべく、子供には負担をかけないように、人生最後の踏ん張りを見せたいと思っております。