自己破産手続きとは

自己破産が分からなくて頭を抱える

(1)自己破産手続きとは、借金を返済できない人が行う債務整理手続きのこと

自己破産とは、個人の方でも、法人(会社)でも、借金・債務の返済ができなたいために、自ら(自己)が行う破産であるため「自己」破産と呼ぶのです。

①自己破産と債権者破産

この逆に、借金・債務の返済を受けることができないため債権者が申し立てる破産を「債権者」破産と呼びます。

稀に、破産と自己破産の違いが分からないという方がいますが、同じことです。

破産は、「自己破産」と「債権者破産」に分けることができるのですが、件数的には圧倒的に「自己破産」の方が多いので、「破産」と言えば「自己破産」をさすものと通常は考えられています。

②債務整理と自己破産の違い

いずれにせよ、「破産」というのは「破産法」という国が定めた法律にのっとった手続きです。

債務整理というのは、正確には、法律上の用語ではなく、破産や再生(個人再生・民事再生)、債権者との個別交渉(任意整理)等々、借金・債務の整理を行う様々な手続きのことを総称して、「債務整理」と呼んでいるのです。

債務整理法という法律があるわけではありません。

(2)自己破産をするとどうなる?

自己破産をすると、さまざまが破産法上、定められて手続きを経て、最終的には、「免責」と言って、その個人の方の借金・債務の返済義務が免除されます。

逆に言えば、個人の方が破産する目的はこの免責を得るためです。

(3)自己破産ができる人、自己破産ができない人

自己破産ができない場合があるのか、とか、自己破産が認められないことがあるのか、という疑問・心配を持つ方がいらっしゃいますが、正確には、「自己破産手続きが開始しない」場合と「免責が認められない」場合というのがあります。

「自己破産手続きが開始しない」というのは、いわゆる破産宣告がなされない場合です。

例えば、財産があって借金の返済ができるという客観的な状況がある場合には、自己破産手続きがそもそも開始しない場合があります。

他方で、自己破産手続きは開始したが、ギャンブル・浪費・破産を七年以内に一度しており二度目の破産である等で免責が認められない場合もあります。

ですが、多くの個人の方は、免責のために自己破産をするのですから、破産できる、破産が認められない等という話をする意味は、免責が認められるかどうかを心配しているのです。

ですが、ギャンブル・浪費等があっても免責が必ず認められないというものではありません。

(4)自己破産が2回目の問題

ただし、自己破産が2回目というのは、それが7年以内ですとどうにもなりません。

7年を経過しているのであれば、自己破産が二回目ということ免責の調査は厳しいでしょうが、破産を2度目に行うに至った理由をきちんと説明することで、2度目の自己破産でも免責が認められることはあります。

ですので、二回目の自己破産は免責がでないというわけではないのですので誤解しないでください。

実際に2度目の自己破産で免責を認められた方は当事務所でも何人もいらっしゃいます。

破産が二回目でもまずはご相談ください。

なお、法人の破産の場合には、法人の免責というものはありません。

法人は破産手続きが終了すれば法人自体がなくなってしまうからです。

自己破産手続きのメリット・デメリット

自己破産を解説する外人女性

自分は浪費もギャンブルもないし破産も二度目ではないから自己破産ができる。

個人の自己破産で免責が認められるならそれでよい。

という方は、それでよいですが、自己破産にも免責というメリットのみならずデメリットも存在します。

(1)個人自己破産手続きのメリット

①破産免責

これが何よりものメリットです。

免責が認められれば一部の非免責債権(税金、健康保険料、罰金、養育費等)を除けば、借金・債務の返済義務が免除されます

②債権者からの請求・督促がなくなる

免責されたという事は法律的に借金・債務の返済義務がなくなったということですから、以降はカード会社・銀行・消費者金融等の債権者は請求・督促をすることはできません。

(2)個人自己破産手続きのデメリット

個人の自己破産手続きで免責というメリットがあれば、その反面、自己破産のデメリットもないではありません。

①財産は一部を除いて、破産管財人の報酬と債権者への配当に充てられる

家や車をお持ちの場合、生命保険に加入している場合、その金額によりますが、基本的に、財産とよばれるものは、売却なり現金化されて、破産管財人の報酬と債権者への配当に充てられることになります。

要するに、手元の財産を保全することができません。

②手続きが煩雑

裁判所に出頭したり、書類を書いたり、通帳・保険証書・その他の書類を探して提出する等の手続きが必要となります。

弁護士に依頼して行うならまだしも自分で仕事を抱えながらやるとなるとかなり大変です。

③一部の職業に資格制限がある

破産をすると、警備員・保険の外交員・会社の取締役等は一旦、その職業を辞めなければならなくなります。

④官報及びブラックリストに掲載される

官報という国の広報誌にみたいなものに破産したことが掲載されますが、官報を目にすることがある人は普通はあまりいません。

ブラックリストに掲載されると5年ないし10年間、信用情報機関にその旨が登録されるので、その間はクレジットカードを作れなかったり、ローン・クレジットが組めません。

(3)個人自己破産手続きのデメリットに関する誤解

ただし、巷には、間違った破産のデメリットについての情報があります。

①破産するとパスポートをとれない(海外に行けない)

破産手続き中は、住所を離れるときはたしかに事前にその旨を申し出ないといけませんが、破産が終了すれば、どこにでも行けます。

②破産すると戸籍にのる

官報には掲載されますが、戸籍には破産したとかいうことは一切、登録されません。

③破産すると会社を解雇される

そもそも、会社が破産をしたことを知ることはあまりありませんし、万が一、会社にそのことを知られても首にはできません(気まずい思いをするかもしれませんが)。

④破産すると子供が学校を辞めなければならなくなる

子供の学校がそもそも親が破産をしたことを知ることあり得ません。

もちろん、お金がないので私立を断念するという事はあるかもしれませんが、それは破産をしてもしなくても関係ありません。

⑤破産すると選挙権がなくなる

なくなりません。

⑥破産すると銀行口座を開けなくなる

開けます。

(4)法人自己破産手続きのメリット

①法人(会社)の閉鎖

法人自己破産が終了すると法人はそこで消滅します。

ですので、銀行等の債権者からすれば借金・債務を請求する相手がいなくなるわけです。

②銀行や業者等からの請求・督促がなくなる

これは個人と同じです。

社長や総務、その他担当者が銀行や業者等からの請求・督促され続けるという事態がなくなります。

(5)法人自己破産手続きのデメリット

①財産は全て、破産管財人の報酬と債権者への配当に充てられる

個人と同じですが、個人と異なるのは法人は消滅するので、残される財産というものは1円もありません。

②法人破産は手続きが難しい

個人の自己破産以上に手続きは大変です。

弁護士に依頼して行わないとまず無理でしょう。

自己破産しない方法

自己破産したくないと悩む女性

仮に、自己破産がなんらかの事情でできないけど、借金・債務の整理をしたいという場合もあります。

債務・借金を自己破産以外で整理できる方法があるかというと、そんなに多種多様ではないですがあるにはあります。

(1)個人再生と破産の違い

個人再生とは、財産は手元に置いたまま、債務・借金の金額を圧縮する債務整理の手続きを言います。

財産は手元に置いておけますが、その財産相当分は借金・債務の返済に充てる必要があります。

こちらは、民事再生法という国が定めた法律に規定された手続きです。

自己破産をしようとしたが認められない(認められそうにない)ので自己破産から個人再生に切り替える人もいます。

自己破産と再生の大きな違いは、債務が全額免除か一部免除かという点と財産を手放すか手放さないかの違いです。

(2)任意整理と破産の違い

任意整理とは、債権者との個別の交渉により月々の返済額をなるべく低くして返済回数を伸ばした和解をする債務整理の手続きを言います。

自己破産や再生と違って元本債務の免除は、ほぼ認められません。

ただし、随分、昔からやっているキャッシングや消費者金融取引の場合には、昔は利息が高かったので、その分を過払い分として借金・債務を減らすことができる場合があります。

破産と任意整理の大きな違いは、それが裁判所を介する手続きであるか否かという点と債務が免除されるか否かの違いです。

自己破産の手続きの流れ(方法・流れ・期間)

自己破産手続きの流れを疑問に思う

個人破産(自己破産)の手続きの流れは、大別すると、実際に自己破産を申し立てる(申請する)前の準備と裁判所に自己破産を申し立てた後の破産法上の手続きということになります。

(1)受任通知を自己破産の前に送る

①自己破産における受任通知とは

受任通知とは、破産申立前に債権者に通知することを言います。

自己破産は受任通知を送らないでいきなり申し立てる場合もありますが、通常は、まずは受任通知を送って、債権者からの督促や取り立てを一旦ストップしてから、破産手続きの申し立ての準備をします。

なお、いきなり申し立てた場合には、債権者は自己破産を裁判所からの通知で知ることになります。

法人(会社)等の場合には、すぐに自己破産したい、という場合もありますので非常手段的にこのようなやり方をすることもあるにはあります。

(個人の方でも、「すぐに自己破産したい」という方はいらっしゃいますが、よくよくお話を聞くと、「すぐに自己破産したい」というよりも、「すぐに債権者(クレジット会社等)に連絡して督促をストップしてもらいたい」という方がほとんどです。)

ただし、自己破産の通知、というものは送りません。

実際に債務がどのような状況であるのか、財産(家・車等)の状況が分からないのに、先走って、自己破産します、と言ってしまい、後で、それを撤回して、やはり自己破産しません、というと債権者に無用な混乱・不審感を与えるからです。

「自己破産の受任通知」というよりも、その前の段階のこれから債務整理を行う上でまずは、債権の調査をするとい通知になります。

なお、自己破産を実際に申し立てれば裁判所から通知が行きますが、その時点では債権者はすでに弁護士から辞任通知を受けて取っているという場合がほとんどです。

②自己破産にあたっての財産調査(破産調査)

そして、受任通知を送ると債権者から続々と、うちの会社は○○円を貸している(立て替えている)という内容の債権届という書類が来るので、それにより債権の詳細を確認します。。

並行して、財産(家・車・保険)の調査や破産できるかどうかの免責に関する調査を弁護士の方で事前に行います。

(2)自己破産の申し立て(申請)

①自己破産手続き方法

自己破産の申請方法は、管轄の裁判所に対して、申立書及び付属書類を提出することにより行います。

②自己破産に必要なもの(必要書類)

自己破産に必要なものは、提出書類一式と官報公告費用と郵便切手になります。

(3)破産開始手続き(裁判所破産宣告)

提出書類に不備がなければ裁判所より破産手続きを開始する旨の「破産手続き開始決定」が出されます。

いわゆる破産宣告です。

自己破産する旨が裁判所から通知されるのもこのタイミングです。

(4)自己破産同時廃止手続きの流れ

実は、破産手続きには、2種類あり、それは破産管財人がつく事件かどうかで大別されます。

そして、破産管財人がつかない事件のことを「同時廃止」手続きと呼びます。

破産管財人がつかないということは、破産管財人による調査・処分がないため、同時廃止の方が手続きが簡単ということになります。

自己破産で同時廃止の流れは、申し立て時(手続き)と最終の免責手続きの2つになります。

(5)自己破産管財手続きの流れ

①自己破産と破産管財人

管財人とは弁護士がなります。

裁判所の職員ではありません。

自己破産管財事件の流れは実はこの管財人弁護士によるのです。

従いまして、自己破産管財事件の期間がどれくらいかかるのかも管財人弁護士によります。

ただ、管財事件の期間については、おおよその目安というものはあります。

管財人が破産事件について配点されてから大体3~4カ月です。

②自己破産調査(財産・免責)

管財事件で期間が3~4か月で終わらず、期間が長くなるのは、自己破産を申請した個人・会社に何か財産があるかもしれないと調査することにより長くなる場合が多いです。

自己破産における調査方法としては、いろいろですが、郵便物の開封、破産者からの聞き取り、申立書類(特に通帳の写し)等からの追跡等が主な方法です。

ただし、自己破産の調査方法に制限はありません。

③自己破産(管財事件)債権者集会

債権者集会というのは、自己破産管財事件において、破産管財人がそれまで行った財産調査の結果や財産状況を報告し、手続きの進行・免責の可否について意見を述べるとともに、参加した債権者も意見を述べることができるというものです。

個人の自己破産債権者集会の流れとしては、破産管財人からの説明、債権者の意見陳述、そして、個人の免責についての破産管財人の意見、という流れになります。

個人の自己破産債権者集会の流れの中で、債権者の意見陳述については、債権者が出席することがそれほど多くないので意見を述べることも少なくないです。

④自己破産手続き期間まとめ

自己破産申し立てからの期間は、まとめとしては3~4カ月というところですが、自己破産申請からの期間は破産管財人によります。

また、調査はすぐに終わるが自己破産の免責までの期間ないし免責決定までの期間が長くなるという事もあります。

例えば、ギャンブル・浪費があり家計簿を一定期間つけさせられるような場合です。

ただし、自己破産の時間的問題、すなわち自己破産にかかる期間を気にされる方は、単に、自己破産申請からの期間、自己破産申立からの期間ではなく、全体として自己破産にかかる期間を知りたいのだと思います。

自己破産に管財人が付く場合の期間と同時廃止の場合の期間の違いというのもありますが、さらに重要なのは、自己破産の申し立てまでの期間です。

自己破産の申請までの期間がかかってしまいますと、全体として自己破産の時間がかかるという事になります。

自己破産の流れや期間を気にされる方は、 最初の弁護士との面談において自己破産の免責までの期間の目安を教えてください、と聞いた方がいいです。

自己破産の期間は早ければ早いほどよいので、破産申立までの期間をできる限り早くすることが重要です。

(6)司法書士依頼、自営業、法人(会社)の自己破産手続きの流れ・期間

①司法書士依頼の場合の自己破産の手続き

以上の自己破産の流れや期間についてのご説明は、弁護士に代理人を依頼した場合のご説明です。

そもそも、司法書士は自己破産手続きにおける代理人になることができず、書面作成等のサポート業務になるので、手続きの流れの主体は、申立人自身です。

債権者や裁判所・破産管財人とのやりとりは、司法書士がやってくれるわけではありません。

②自営業、法人の場合の自己破産の手続き

また、自営業者の破産及び法人の破産については、自営業の規模、法人の規模によって、管財人が行う業務が多岐にわたったり、時間がかかったりと、自己破産手続きの流れ、期間は通常の場合と異なる場合がございます。

自己破産の特徴

自己破産手続きの特徴知りたい

(1)自己破産できる額に制限があるのか

借金の額が多すぎる、逆に、借金の額が少なすぎる、ということで、自分の場合には自己破産できる場合に該当しないのではないか、と気にされる方がおりますが、いくら以上なら自己破産ができないとかいくら以下なら自己破産できないという制限は設けられておりません。

ただし、自己破産の額が極端に少ないと(例えば、1万円)、債務超過や支払い不能にあたらない、つまり、そもそも、破産するおそれがない、と判断されることはあり得ますが、通常は、何らかの理由で現実問題として支払いができていないのですから、破産するおそれがないとは判断されません。

なお、自己破産の額が多い分には制限がありませんが、破産するための費用(予納金)が多く必要になる場合がございます。

(2)自己破産すると財産は?

自己破産した場合の財産への影響ですが、一定額までの財産は手元に置いておくことが認められております。

例えば、現金であれば99万円以下、車や生命保険については、その価格が20万円以下であれば手元に置いておくことが可能です。

ですが、様々な理由をつけてなんとか、その財産を拠出させようとすると破産管財人もいるので、事前に、申立てを依頼する弁護士に見通しを確認することが重要です。

また、住宅は、通常は、住宅ローンがついていたり、なんらかの担保に入っている場合が多いのですが、その場合の価値は、オーバーローンといって、その家の値段よりも住宅ローンの価格の方が多いという場合もございます。

ですので、破産管財人はその住宅を放棄しても、住宅ローン会社から競売にかけられることも多いです。

(3)自己破産と銀行口座

①自己破産と銀行口座の凍結(相殺)

自己破産をしたからと言って、銀行口座が凍結されたり、差し押さえされたりするわけではありません。

銀行口座が凍結になるのは、その銀行からお金を借りている場合です。

例えば、第四銀行カードローンを借りているとして、第四銀行に給与口座(給与の振込先を第四銀行に指定している)を設けておりますと、そのカードローンの返済が滞った場合、そのカードローンの返済につき弁護士から債務整理の通知をした場合等に、その銀行口座(給与口座)に残っているお金が差し押さえられます。

正確には、銀行から相殺されてしまうのです。

そして、以降、銀行の通帳が使えなくなってしまいます。

②自己破産と銀行口座の開設

また、その問題とは別に、自己破産をすると銀行口座を持てなくなってしまうのではないか、給与口座を開設できなくなってしまうのではないか、という心配をなされる方もいらっしゃいますが、その心配はご不要です。

自己破産をしたとしても、銀行口座を開設することは可能です。

例えば、上記の例で、第四銀行カードローンを返済できなくなって、結果として自己破産になったとしても、改めて第四銀行に銀行口座を開設して、それを給与振込口座に指定することは可能です。

その後に、給与が銀行口座に振り込まれたら、また差し押さえ(相殺)されるのではないかと不安に思う方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。

きちんと自己破産の手続きをして、免責が出ていれば、それ以降は、第四銀行もあなたの給与を差し押さえたり、相殺したりする事はできないのです。

(4)自己破産と住宅(家)とローン

①自己破産すると住宅はどうなるか

自己破産をするとその住宅は破産管財人によって売却されるのが原則です。

具体的には、破産管財人がどこかの不動産業者(東急不動産とか、住友不動産とか、地元の業者とか、どこに依頼するかは破産管財人が決めます)に売却を依頼して、その不動産業者が買い手を見つけてきて売却するのです。

これがいわゆる「任意売却」です。

売却したお金から、必要経費や抵当権者や差押債権者がいればそちらへの返済をして、残りからまず破産管財人が自分の報酬を確保して、さらに余剰があれば、他の債権者に配当します。

②住宅ローンを返済できなくて自己破産する場合

住宅ローンがついている場合には、その住宅ローン会社、銀行、支援機構、あるいは保証会社が破産管財人の任意売却に協力してくれないと家は売れません。

ですが、破産管財人の任意売却ができないからといって住宅が破産した人のものになるというわけではありません。

そのうちに、住宅ローン会社、銀行、支援機構、あるいは保証会社が競売の申し立てをしてきますので、最終的には、第三者の手元に住宅(家)はわたってしまいます。

なお、競売しても、さらに住宅ローンの残債務が残る場合もありますが、その残債務は、他の借金と同様に、やはり自己破産の対象となります。

③自己破産しても住宅(家)に住み続けられるリースバックとは

リースバックとは、住宅(家)を第三者に売却して、以降は、当該第三者に家賃を支払いながら、当該住宅(家)に住み続ける形を言います。

そして、当該住宅を何年か後に買い戻す権利がついているのです。

住宅ローンは支払い続けられないが、子供や家族のために今の家に住み続けたい場合や、住宅ローンは付いていないが他の借金が多くて自己破産すると家を破産管財人に任意売却されてしまう場合等にリースバックのニーズがあります。

ただし、リースバックはどんな場合でも利用出来るわけではなく、住宅ローンの状況、住宅(家)の市場価格等により、リースバックを引き受けてもらえない場合もあります。

また、リースバックをしたものの家賃を支払えなければ意味がありませんし、将来の買い戻しの額もいくらになるか気になるところです。

ですので、そもそも利用できるのは、利用できるとしてどのような条件になるのかを、事前によく確認してください。

また、リースバック制度は近年、出てきた新しいサービスですので、リースバックと自己破産の関係について熟知している弁護士に依頼しないと、後日、リースバックを組んだことが破産管財人から否認されるおそれもありますので、十分にご注意ください。

④自己破産をした後は住宅ローンは組めないか

こちらもよくあるご質問ですが、一度、自己破産をすると住宅ローンは一生組めないのでしょうか、とか、何年すれば住宅ローンが組めるようになるのでしょうか、とか、疑問・不安を抱えている方がいらっしゃいますが、基本的には、10年間、住宅ローンが組めないと考えるのがよいかと存じます。

その後は、その10年後のご自身の経済状況(年収、財産、頭金の額)によって審査されますので、10年たったから確実に住宅ローンの審査が通るというものでもありません。

そして、この10年というのは、全国銀行協会において、自己破産した旨の官報情報が登録されている期間になります。

⑤競売後の残債務が支払えない場合には自己破産できるか

自己破産の対象となる債務には、住宅ローンが返済できずに競売になってしまい、しかも、競売されてもなお、住宅ローンの支払いが残ってしまったという場合、いわゆる残債務も対象となります。

自己破産の家族への影響

自己破産の家族への影響

(1)自己破産等債務整理の家族への影響

自己破産に限らず、債務整理をすると家族への影響は少なからずあります。

例えば、住宅(家)を売却しなければならないとなれば、当然ですが、ご自身のみならず、ご家族もその住宅(家)には住み続けることができなくなります。

そのため、場合によっては、転向を余儀なくされるなど、子供の学校にも影響がでる可能性があります。

(2)自己破産等債務整理は法律的には家族に無関係

ただし、家族への影響というのは事実上の問題であって、法律上、例えば、自己破産した人の代わりに家族が支払いをする義務を負うようなことはありません。

債権者も家族に対して、代わりに支払えなどと請求することはできません。

そんな請求をしようものなら刑事事件になります。

家族が連帯保証人になっているということであれば格別、法律上の債務は人が違えば家族といえども全く無関係なのです。

どうしても、家族の仕事に影響がでないか、家族の学校に迷惑がかからないか、家族の結婚の障害になるのではないか、という不安があるかもしれませんが、全く関係がないので、家族への影響はありません。

そもそも、家族の職場・学校・結婚相手が自己破産したことを知る術はありません。

自己破産の効果

自己破産の効果

(1)自己破産手続きをすると債権者はどうするか

自己破産手続きをすると、債権者に通知が行きます。

ただし、通常の場合には、自己破産手続きをとる前に、弁護士が代理人についていることが通知されているので、債権者としては、自己破産手続きが正式に始まったのだということが分かるというくらいの意味しかありません。

ただし、事前に、自己破産手続きはとらないで支払いを継続する等と言っていた場合には、自己破産申し立ての通知を受け取ると驚くでしょう。

ですが、いずれにせよ、自己破産手続きが開始した以降は、債権者も破産法にのっとった行動・手続きをすることが求められますので、自分勝手に破産した人から取り立てをすることはできなくなります。

そして、自己破産手続きが進んで、裁判所から免責が下りたとすると、債権者から見れば請求すべき債権が消滅したという事になりますので、取り立てや督促することは永久に不可能になります。

自己破産すると債権者が怒るのではないかと、心配される方がおりますが、たしかに、怒るは怒ると思います。

ですが、日本国で経済活動をしている以上、日本の法律である破産法を無視するわけにはいかないのです。

自己破産をして免責されれば返済義務がなくなるというのが決まりです。

それが自己破産手続きにおける債権ないし債権者との関係になります。

(2)自己破産手続きと競売

自己破産手続きをすれば、債権者は何もできなくなるのですが、住宅ローンの銀行等、担保をとっている債権者は別です。

住宅ローンの債権者は、返済が滞った場合に備えて、住宅を担保にとっているので、自己破産手続きをとった場合には、住宅を競売にかける場合があります。

住宅を競売にかけて、その代金から滞った住宅ローンを回収するのです。

これはたとえ、裁判所でも破産管財人でも止めることはできません。

これもまた破産法で認められている債権者の行動なのです。

(3)自己破産後の借金返済

せっかく大変な思いをして自己破産手続きをとり、ようやく裁判所から免責を認められたにも拘わらず、様々な理由によって再び借金を抱えてしまう人もいます。

自己破産後の新たな借金は、自己破産とは無関係ですので、自己破産後の借金として返済する義務があります。

しかも、自己破産を一度、行うと2度目は7年を経過しないと自己破産できませんので、自己破産後の債務整理としては任意整理をすることになります。

任意整理とは、自己破産と異なり、支払い義務の免除ではなく、分割払いをするという債権者との和解です。

自己破産後任意整理をして何とか借金を返済している人もいますが、任意整理で分割払いもできないということになると、個人再生という手続きを検討しないといけないかもしれません。

この個人再生というのは、自己破産のように借金全額の免責・免除はされませんが、借金のうち約8割程度の金額が圧縮される手続きです。

要は、借金の総額の残りの2割の金額を支払えば免責される手続きです。

もちろん、個人再生の手続きを利用するには、様々な条件があります。

自己破産の免責(自己破産手続きの完了)

自己破産免責

(1)自己破産による免責許可

自己破産手続きが完了するということは、最終的に裁判所から債権者に対する債務が破産により免責されることです。

したがって、自己破産後に請求が債権者からなされても破産免責を主張すれば、それ以上は債権者も追及できません。

もっとも、自己破産手続きは債権者にも知られているので、そもそも、自己破産後の債権者が請求してくることがありません。

(2)自己破産が認められなかったら

自己破産には免責不許可事由というものがあります。

この自己破産の免責不許可事由が認められると、自己破産しても免責されないという結果になります。

せっかく自己破産をしても免責が不可とされると辛いです。

ですが、自己破産の免責不許可事由があっても「裁量免責」と言って免責が許可される場合があります。

(3)自己破産しても免責されない非免責債権とは

ただし、注意すべき点は、自己破産しても免責されない請求権というものがあります。

例えば、自己破産しても税金は免責されません。

税金は、自己破産の免責が不許可になったため免責されないということではなく、そもそも、自己破産の免責の対象ではないのです。

また、自己破産では罰金も免責されません。

罰金も自己破産手続きの非免責債権とされています。

その他に、養育費等も自己破産の非免責債権です。

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