破産前の東京ミネルヴァ法律事務所の状態は不明
過払い金の返還請求やB型肝炎訴訟など多く手掛けていた「弁護士法人 東京ミネルヴァ法律事務所」が、弁護士会からの破産申し立てを受けて、6月24日に東京地方裁判所において、破産手続きが開始しました。
負債総額は51億円と言われておりますが、そのうち、意味のある負債や約30億円程度で、残りの20億円というのは、その東京ミネルヴァ法律事務所の広告会社が請求しているというもので、そもそも、その広告会社から派遣されてきていた人間が東京ミネルヴァから預り金を持ち出して広告会社に送金していたというのですから、そのようなものを通常の債権者と同様に考える必要はありません。
重要なのは、その過払い金をとられてしまった債権者の方々ですが、30億というのは、弁護士法人としては過去最高額なのは間違いないでしょう。債権者の人々は、同事務所に過払い金返還請求を依頼したものの、東京ミネルヴァ法律事務所は返還を受けた過払い金を依頼人に返還せず、広告会社にとられるがままになっていたということです。
それで、その広告会社をやっていたのが元武富士の社員ということで、その者がミネルヴァを支配していたと、そのようなことが言われているわけです。
ただ、乗っ取られていたのかと言うと、その乗っ取られていたの意味にもよりますが、一般的には、代表経営者は弁護士であるけれども、乗っ取った会社(人)が部下を送り込み、銀行印も弁護士印も本来の代表者・役員弁護士から取り上げて管理する、事務所経営に必要なお金が入った預金口座についても通帳もキャッシュカードもログインIDもパスワードも全部取り上げる、とこういうイメージでしょうか。
また、一部報道では、東京ミネルヴァ法律事務所が自ら破産の申し立てをすることができなかったため、わざわざ、弁護士会に破産を申し立ててくれるようにお願いしたなどとも言われています。
ただ、その前提として、弁護士の印鑑がないから破産の申し立て手続きができない、通帳がないから破産に必要な書類が揃わない、だから、弁護士会さんの方で申し立てをお願いします、というのであれば、ちょっと何を言っているんだろうという感じがしますね。
弁護士の職印(実印)は、当然ながら、その弁護士のものです。それをその弁護士本人の承諾なく他人が勝手に使うことは許されません。勝手に使って文章を作成すれば偽造文書です。勝手に持ち出したら窃盗です。ですので、こう言えばよいのです。
「俺のハンコ返せ」
それだけです。
銀行の預金も同様です。最終的には、弁護士法人の銀行預金は、その弁護士法人の代表者が管理権限を持ちます。ですので、普段、経理事務の人間に預けていたとしても、
「会社の通帳とキャッシュカードを返せ」
と言われれば、その経理事務の人間は返さなければなりません。ほかに選択肢はありません。
もし隠されてしまったら、銀行に直接出向いて、
「すいません。銀行の通帳とキャッシュカードがなくなってしまったので、一旦、凍結してください。」
と言えばよいのです。
そうすれば、その預金から勝手にお金が引き出されたり、勝手に広告会社の口座に振り込まれたりすることはなくなります。
なぜ、それが出来なかったのか、それが分からないんです。
しかも、弁護士は、代表の川島弁護士のみならず、ほかにも弁護士がいたのです。
複数の弁護士がいながら、まさか、怖くて言えなかった、とか、言うと相手が怒ると思った、とかはないと思うんです。
他方で、猿轡を嵌められ、目隠しされ、手錠されて、本当に、監禁されていたというのであれば、そもそも身動きができないのですが、弁護士会には行っているし、事前に、まだ弁護士費用の請求が出来そうな案件は樫塚弁護士に移しているしで、解散・破産前の状況が分からないんですよね。
だから、本当は何があったのか?
川島弁護士とその広告会社の会長という人が泥をかぶって、樫塚弁護士の法律事務所で改めて仕切り直しをさせようという話が裏で成立しているのか?
まだ、不明瞭な部分が多いのです。
今後の樫塚法律事務所の対応を見ればわかる
樫塚法律事務所は、依頼者に対して当時のミネルヴァの内情につき説明しないまま、大量のミネルヴァ案件を自分のところに移管させております。
依頼者を保護するため、という説明です。
依頼者のため、依頼者の利益を考えて、という理念から、正義のために移管・承継してくれたわけです。
ですので、今後は、その個々の依頼者の方にとってどのような対応をするのが最もその依頼者の方の意志に沿うのか、本当に依頼者の方が望むことは何なのかを考えて、ましてやミネルヴァの一員として、すでに依頼者の方にご迷惑をかけてしまったので、普通の弁護士以上に丁寧な対応をしてくれるはずです。
スピーディーかつ的確なレスポンス、丁寧な説明、遠方・地方の依頼者のことを考えた辞任・承継・返金対応等、期待しています。