借金減額シュミレーターって大丈夫ですか?
何気なく聞いてくるんだと思いますが、
「借金減額シュミレーターってあるんですけど、どうなんですかね?」
って聞かれることがあります。
以前、「街角相談所」っていうタイトルで、「借金減額シュミレーター」の運営に携わっていた人達は逮捕や家宅捜索されたみたいです。
その後は、どうなっているのかは、ちょっと分かりません。
ですが、さすがに、その関係者は、もう「借金減額シュミレーター」の運営はしていないと思いますけど、また別の形でやっているのかもしれません。
ただ、「借金減額シュミレーター」って、知らなかったんですが、あっちこっちでやっているみたいですね。
「大丈夫か?」というのは、「借金減額シュミレーター」の内容が大丈夫なのか、その「借金減額シュミレーター」を使ったことにより営業をかけられたりしないのか、のどちらか、あるいは、両方だと思いますが、
「大丈夫か?」
と気にするぐらいなら、やめておけばよいのではないでしょうか?
どうしても「借金減額シュミレーター」を使わなければならない理由があるのでなければ (そんな理由があるケースって思いつきませんが) 。
逆に、どうしても「借金減額シュミレーター」を使わなければならない理由があるのであれば、やってみるしかないです。
営業かけられたくなければ、メルアドや電話番号を登録しなければいいんです。
(登録しないと駄目なんですかね。)
借金減額シュミレーターでどれだけ減額できるのかが計算できるのか?
(1)借金減額の意味
借金減額と言っても、いろいろな減額があります。
①自己破産の場合
自己破産による減額は、基本的に債務はゼロ(0円)になります。
ただし、養育費だとか、税金、社会保険は減額されません。
また、何らかの事情で免責不許可事由に該当して、かつ、免責の許可がおりなければ全く減額されません。
②個人再生の場合
こちらは、借金の総額に応じて減額されます。
例えば、借金が500万円あるという場合には、100万円にまで借金が減額されます。
ただし、養育費だとか、税金、社会保険は減額されないのは自己破産の場合と同じです。
個人再生の場合には、免責不許可事由というのはないのですが、清算価値保障というのがあります。
これは、個人再生の場合には、自己が有している資産は自己破産と異なり手放す必要がないのですが、その代わり自己が有している資産以上を最低返済額としなければならないという原則があるのです。
先の例で、「借金が500万円あるという場合には、100万円にまで借金が減額されます」と言いましたが、仮に、預金でも保険の解約金でも車でも、何か資産があり、その額が200万円であるとすると、最低返済額は、100万円ではなく、200万円になります。
つまり、500万円の借金は、200万円までしか減額されないということです。
③任意整理の場合
任意整理による減額は、基本的に、過払い利息がなければ減額は難しいです。
過払い利息というのは、貸金業者に払いすぎた利息のことで、利息制限法に定められた利率以上の利息です。
なんで、貸金業者が利息制限法以上の利息をとれるのかということですが、出資法という法律があり、その法律では、利息制限法以上の利率を定めていたのです。
両方とも法律です。
そして、所定の要件を満たせば、利息制限法を超えていても、出資法の範囲に収まっていれば、利息を取っていいと以前はなっていたのですが、2010年に出資法が改正されて、結局、利息制限法以上の利息をとることは出来なくなりました。
ですので、基本的に、2010年(7月)以降の借り入れについては、過払いは利息は発生しないということになり、過払い利息が発生しないので、元本を減らす根拠がない、ということで、任意整理では、元本は減りません、ということです。
もちろん、任意整理は、債権者の個別交渉になるので、究極言えば、債権者が、
「もう、お金がないのは分かりましたので、元本は半分返してくれればいいですよ。」
と言ってくれれば、それはもちろん和解として成立します。
ですが、それは成立しません。
債権者がそんな提案を飲まないからです。
「半分にしてくれれば払うけど、それがNOなら破産しかない」
と訴えても、
「じゃあ、とりあへず、半分払ってください」
と言われるだけです。
もし、元本を半分に出来る事務所があるのなら、絶対、そこに頼んだ方がいいです。
うちの事務所のそちらに任意整理は紹介したいです。
ですが、元本半分に出来ます、などという事務所はありません。
(※以上は、個人の債務整理のお話です。会社関係は全く別物です。)
借金減額シュミレーターで減額を計算するのは無理
以上、要するに、2分とか5分とかの、そんな簡単入力で借金がどれだけ減額できるのかなどというのは計算できない、というのが結論です。
いろんな事情が絡み合ってきますので、減額幅を事前に予測するなど不可能です。
目安ぐらいにはなるのでは?
というのであれば、わざわざ減額シュミレーターなんか使わなくても、
・自己破産 → 0円に減額
自己破産の場合であって、養育費だとか、税金、社会保険は滞納がなく、免責不許可事由にあたることがなければ、たしかに、自己破産の免責は得られる可能性が高いので、その場合には、借金がゼロに減額されるでしょう、とは言えると思います。
・個人再生 → 2割に減額(※ 負債 が1500万以下として)
借金の総額と手持ち資産との関係で決まりますが、そんなに財産はなく、かつ、1500万をこえる負債を個人で抱えているケースも多くないので、目安としてはこれでよいでしょう。
・任意整理 → 2010年以前の借入れなら、減額の可能性はある
程度を知っておけば十分です。
これで減額シュミレーターと大差ないと思います。
まあ、減額シュミレーターと言っても、そんな程度ですので、無料相談をしている事務所で、実際に弁護士ないし司法書士に相談してみてください。
その際に、
「借金減額シュミレーターでは、この金額にまで減額できるって言っていました」
と言わない方がいいと思います。
「だったら、そのシュミレーター通りでやってくれる事務所さんで減額してもらえば?」
と言われちゃいます。