各債権者への受任通知(介入通知)からスタート
債務整理として、自己破産をしようと決めたとして、まずは、各債権者に対して、
「これから自己破産の準備をするので支払いをストップしますが、債務者に方に直接連絡しないで、代理人弁護士に連絡してください」
という内容の通知を送ります。
(本当は、もっと、かっちりした表現ですが)
そこから、自己破産の準備を開始します。
費用の積み立てがある場合には、並行して、費用の積み立てを行っていただきます。
自己破産の準備というのは、
・債権者から現在の債権(債務)の額を聞き取り債権者一覧表を作る
・依頼者の方から、必要な書類の提供を受ける
※必要な書類としては、以下のようなものがあります。
住民票
源泉徴収票又は確定申告書
給与明細(給与がある場合)
通帳の写し(過去2年分)
生命保険の証書と解約返戻金の証明書
退職金証明書(退職金制度がある場合)
車検証
家計簿(家計の収支)
等々
・依頼者の方から、必要な情報の提供を受ける
※必要な情報としては、以下のようなものがあります。
お金の使い道
車や家の情報
借金ができた原因
浪費やギャンブルがある場合の情報
株やFXをした場合の情報
等々
それで、自己破産の準備が整ったら裁判所に申し立てをします。
申立てまでにどれくらい期間がかかるかという事ですが、書類が早く集まれば、基本的には、2ヶ月ぐらいです。
ただし、超特急(※)で1週間で申し立てた事例もありますし、逆に、積立期間が長くなり2年近くかかった事例もあります。
※超特急の例は、破産管財手続きと言って、破産管財人がつく手続きです。
そうでない同時廃止という手続きがあるのですが、こちらにしたい場合には、1週間では債権調査が間に合いません。
裁判所への自己破産の申し立てと開始決定
裁判所に自己破産の申請書類を提出しても、それで破産手続きが開始したとは言えません。
法律上は、「開始決定」という決定が必要なのですが、なかなか決定がでない場合があります。
理由は補正・補充です。
裁判所の書記官から、ここを補正してください、あれを補充してください、と細かく指示される場合があり、それをしていると1か月ぐらいかかる場合もあります。
なるべく、この補正・補充を受けないように準備したいとも思うのですが、それをしていると今度は準備期間が長くなるし、ありとあらゆるものを準備しているとキリがないので、ある程度の段階で申し立てるというのが、全体として現実的です。
破産手続きの開始決定が出てから約3か月が目安
破産手続きの開始決定が出ると、約3か月後に、債権者集会(管財手続きの場合※1)若しくは免責審尋(同時廃止の場合※2)が決められます。
免責審尋は1回で終わりますが、債権者集会については、事情により、もう1回、もう1回、と2カ月後、3カ月後に続行期日と言って、2度目の債権者集会、3度目の債権者集会がいれられる場合があります。
理由の多くは配当をするためです。
つまり、何か債権者に対して配当できる財産がある場合には、その配当手続きを行うために、債権者集会期日が1回で終わらないのです。
ただし、通常は、配当できるほどの財産はないので、1回の債権者集会で終わるというのがほとんどの場合です。
※1 「管財手続き」というのは、文字通り、破産管財人がつく破産の手続きです。
債務者に何か財産があるのではないかと調査する必要性がある場合や、それを処分(売却・回収)する必要がある場合、あるいは、債務者に浪費・賭博(ギャンブル)・投機行為などがあり免責して良いかどうかを調査する必要がある場合に破産管財人がつけられます。
また、自営ないし会社(法人)については管財人が必ず付きます。
※2 「同時廃止」というのは、逆に、破産管財人がつかない破産の手続きです。
債務者に何も財産がなく、また、免責の関係でも、問題になりそうな点がない場合には、申し立てと「同時」に手続きが終了(廃止)となり、あとは、最終的に免責の点を再確認するだけになるので、「同時廃止」と呼ばれます。
免責許可の決定が出れば実質的にはそこで終了
債権者集会ないしは免責審尋が終わり、裁判所から、なんとか「免責許可決定」の通知が来れば、通常はそこで終わったと考えてよいですが、まれに、債権者が異議を述べる場合があります。
その場合には、その債権者からの異議に対して対応していく必要があります。
ただ、そこまでされることはまずありません。
法律上の復活と実際上の経済的復活は別
自己破産手続きで、免責の許可がおりて、法律上、借金がなくなったとしても、それはゼロ地点に戻っただけです。
以降は、どんどんプラスにしていかなければなりません。
これから、お勤めするにも、自営でやるにも、頑張って、せっかく、自己破産手続きで一度は清算できたのですから、なんとか、そこから生活を再建して復活してもらいたいです。
そして、実際、自営だったけど、自己破産を契機に、お勤めに切り替えて会社の役員になった人、あるいは、お勤めだったけど転職して給与アップした人、再度、自営を初めて新規開拓で売り上げ確保した人、そういう例というか、そういう方はたくさんいらっしゃいます。
自己破産したから全てお終いということではありません。
自己破産は、復活のための通過儀礼だと思ってください。