宮城県大崎市の方が
「できれば、嫁に内緒で自己破産したいんですけど、、」
というご要望。
自己破産の申し立ては地方裁判所に行う
宮城県には、仙台地方裁判所、仙台家庭裁判所、仙台高等裁判所、その他簡易裁判所がありますが、自己破産の申し立ては、「地方裁判所」に対して行います。
地方裁判所には支部管轄がある
そして、仙台地方裁判所は地域ごとにさらに本庁と各支部に分かれます。
その地域の人は、該当する裁判所に申し立てなければなりません。
これを裁判「管轄」といいます。
仙台地方裁判所本庁は、
仙台市、
塩竈市、
名取市、
多賀城市、
岩沼市、
富谷市、
亘理郡(亘理町 山元町)、
黒川郡(大和町 大郷町 大衡村)、
宮城郡(松島町 七ヶ浜町 利府町)
という広大な地域を管轄しますが、【宮城県大崎市】は入っておりません。
宮城県大崎市は仙台地方裁判所古川支部が管轄
大崎市、
遠田郡(涌谷町 美里町)、
加美郡(色麻町 加美町)
にお住まいの方は、仙台地方裁判所古川支部が管轄になりますので、こちらに自己破産の申立書を提出することになります。
申し立てる裁判所によって必要書類等が異なる
破産や個人再生というのは、破産法とか民事再生法とか法律で規定されている制度でして、自己破産の場合には当然ながら破産法に基づいて手続きが進むのですが、裁判所ごとに運用が異なります。
また、さらに言うと、担当する裁判官や書記官によっても細かな点まで言うと、書類の記入の仕方や提出が必要な書類が異なります。
例えば、東京地方裁判所本庁などでは、即日面接などという制度がございますが、同じ東京地方裁判所でも、東京地方裁判所立川支部では、そのような面接のやり方はありません。
ですが、仙台地方裁判所本庁と仙台地方裁判所古川支部では大体、同じです。
自己破産申し立てに当たっての必要書類を自分で集められるか
嫁さんに内緒でと言いますが、内緒でやるためには、内緒で自己破産の準備ができなければなりません。
もっとも、例えば、
自己破産手続きにおける裁判所とやりとり、
債権者(クレジットカード会社、銀行、消費者金融等)とのやりとり
については、弁護士があなたの代理人になりますので、直接、裁判所から自宅に何か書類が届くとか、債権者から自宅に連絡がいくということはありません。
連絡窓口は弁護士事務所です。
ただ、問題なのは、あなたが破産手続に必要な書類を集められるかが問題です。
あなたご自身の給与明細とか源泉徴収票とかは大丈夫でしょう。
ご自身のことですから。
よく問題になるものとしては、
預金通帳
があります。
たとえ、あなた名義の通帳であっても、
「嫁さんが普段は管理しているから分からない」
という方がいらっしゃいます。
そうなると、なかなか手続きとしては難しいです。
しかし、銀行口座がある支店と印鑑が分かれば、ご本人なので、窓口に行って、再発行を求めることができます。
あわせて、過去の取引履歴も再発行を依頼することができます。
さらに、嫁さんの名義の通帳とか給与明細とかまでが必要となると、かなり難しい感じにはなってまいります。
ただし、当事務所でも、
「どうしても嫁に内緒でないと困るんです」
という方が過去にも何人もいらっしゃりまして、その方々の個別の生活状況をお聞きした上でいろいろな対策をとって、今のところ、
「嫁に内緒のまま出来なかった」
ということはないので、絶対大丈夫、とまでは保証できませんが、一度、ご相談してみてください。
何か代替手段とかよい方法が見つかるかもしれません。
ご自身も書類管理はしっかりと
ただ、あなたご自身も書類の管理をしっかりする必要がございますよ。
なんかの拍子に、自己破産に関する書類を放置してしまって、それを見られてしまった、というケースも実はあります。
さすがに、そこまでは、当事務所でも管理しきれませんので、よろしくお願いします。
中には、そういう書類は、絶対に自宅には持ち帰らずに、実家や会社に保管するということを徹底していると言っている方もいました。
ですので、事前にこういうことを頭に入れておいてください。
実は嫁さんは知っていたというケースも
何回目かの打ち合わせの際に、一緒に嫁さんも同行されていたので、
「えっ?なんで」
と驚きましたが、なんでも、嫁さんは、とっくにご存じだったとのことで、自己破産後の生活がどうなるのかを直接、弁護士の口から聞いておきたいという事で同行されたとの話でした。
「なんで分かりましたか?」
とお聞きしたところ、
「分からないわけ無いじゃないですか。」
「アコムとかプロミスとかからハガキは来ているし、先生の名刺はカバンに入っているし、この人、嘘つくと挙動不審になるんです。」
とのことでした。
「怒ってますか?」
とお伺いしたところ、
「当たり前じゃないですか!」
「だけど、ただ怒っていてもしょうがないじゃないですか」
ということで、旦那さんは、終始、苦笑いでしたが、嫁さんも、弁護士から破産の説明をしたところ、不安点を解消して、その後は協力もしてくれました。
こういうケースもあります。