【個人再生 借金無料相談】給与差押えと個人再生・破産
自業自得ではありますが、給与が下がったにもかかわらず、生活レベルが落とせず結構いい車を買ったり、誘われれば飲みに行ったり、ゴルフに行ったり、旅行に行ったり、と人付き合いを改められなかったために、結局、カードキャッシングや消費者金融を使って、経済的に無理してし続けてしまったので、借金が膨れ上がってしまいました。
それで、先日、裁判所から、封筒に入った書類が来ていたのですが、開封する勇気がなくて、放っておいたところ、カード会社から「強制執行予告通知」という書類が来て、「あなたの給与や預金を差し押さえます」と書いてありました。
預金は何もないのですが、給与が差し押さえられて、借金があることが会社にばれたら困ります。多分、首になってしまいます。
何かで見たのですが、破産すれば給与が差し押さえられないけれども、個人再生だと給与が差し押さえられるということでしたが、どういうことなのでしょうか?
【回答】
個人再生(民事再生法)だと給与が差し押え?
「破産すれば給与が差し押さえられないけれども、個人再生だと給与が差し押さえられる」というのは、正確な言い方ではないと思います。
破産でも個人再生でも、それらの手続きが開始した後であれば、給与が差し押さえられるということはありません。
逆に、言えば、破産でも個人再生でも、それらの手続きが開始される前であれば、まだ、なんでもない状況ですので、給与の差押えはあり得ます。
給与差し押さえには「判決書」が必要
ただし、まず前提として、給与の差押えなどの強制執行をする場合には、裁判所の判決が必要です。
「強制執行予告通知」が来たというからには、おそらくですが、ご質問者の方が勇気を出してみることができなかった裁判所からの通知に「判決書」が入っていたのではないかと思います。
さらには、ある日、突然、判決書が届くということはあり得ませんので、その前に、「訴状」が届いていたはずです。
裁判所からの連絡である「訴状」に一切応答しないで、無視していると、裁判所は、被告(訴えられた側)に争う意思がないものとして、いわゆる欠席裁判(判決)が下されてしまうというわけです。
民事再生(個人再生)か、自己破産かで強制執行についての債権者の対応は異なる
それで次に、破産をするか、個人再生をするかで、給与の差押えがあるかどうかに違いがあるかですが、多少、違いはあります。
それはどういうことかと言うと、
1)破産の場合には、「偏頗(へんぱ)弁済による否認」によって、債権者が一旦は受領した金額を返済しなければならない
ということがあるのに対して、
2)個人再生の場合には、「偏頗(へんぱ)弁済は清算価値に組み入れられる」だけだから、債権者にとっては痛くない、
ということなのです。
「債権者にとっては痛くない」というのは、ちょっと、分かりにくいですよね。
例えば、ある債権者が、債務者の給与を差押えして10万円を回収したとします。
そして、その後に、その債務者の方が破産をしたとすると、その債権者が受領した10万円は返さなければならなくなる場合があります。
ところが、その債務者の方が個人再生をしたとすると、その債権者はその10万円を返せとは言われません。
代わりに債務者の方が、
「給与差押えというのは、要するに、特手の債権者にだけ返済したものであるから、公平性を欠く、として、その差し押さえられた10万円分はあなた(債務者)が支払え」
と言われるのです。
「えっー!私は、別に支払いたくて払ったのではなく、債権者が勝手に給与を差し押さえてきたんです!」
と言っても通じないのです。
すごい違和感がありますよね。特に、破産の場合と比較すると。
ですので、債権者側からすると、破産を申請するのであれば、後で返さなければならなくなるから、差し押さえても無駄だな、と思うことが多いですが、個人再生だと、取った(回収した)もん勝ち(?)になるので、安心して給与を差し押さえに行けるのです。
個人再生の開始決定後の強制執行の禁止
ただし、くどいようですが、破産でも個人再生でも、それらの手続きが開始した後であれば、給与が差し押さえられるということはありません。
これは、開始決定による強制執行の禁止の効力によるものです。
ですので、給与差し押さえの危険が迫っている場合には、いかにすばやく裁判所から開始決定を出してもらうかが重要なのです。
破産なり個人再生なりの申請書類を裁判所に送ったら、
「手続きが開始した」
と勘違いする方がいますが、そうではありません。
申請書類が出されても、いろいろなチェックがなされて、裁判所から、補正・補充を求められる場合もあります。
仙台地裁の場合には、大なり小なり何らかの補正・補充が必要となります。
そして、それらの補正・補充が終わると、ようやく「手続き開始決定」というのが裁判所から出され、そこで初めて
「ああこれで給与を差し押さえられる心配はなくなった!」
と安心できるようになります。
なお、仮に、万が一、給与が差し押さえられたとしても、それだけで会社は解雇ないしは首にはできません。
もっとも、恥ずかしいとか居づらくなるということはあるかもしれませんが。