自宅を維持するためには個人再生しかない?ローンがある車は維持できるの?

~住宅ローンが残っている場合に、個人再生を使って債務を整理する方法は知っている方もいますが、地方・田舎ですと、車も生活必需品ということで手放せない、でも、車のローンも残っている、どうしよう?と悩んでいる方も多いかと存じます。そもそも、マイホームを維持するためには個人再生しかないのか?車のローンはどうなるか?について、弁護士(宮城・仙台)がお答えします~

【ご相談内容】家及び車を手放さないで債務整理する方法について

消費者金融、車のローン、住宅ローンがあります。

車と住宅のローンはなんとか遅滞なく支払ってきていますが、消費者金融が遅れ気味になってきてしまいました。

持ち家を手放さずに行う債務整理の方法としては、個人再生手続きしかないと考えておりますが、間違いないでしょうか?

次に、車のローンについてですが、あと、半年ほど残っております。

こちらの車は、個人再生手続きをすることによってどのようになりますか?

今の仕事が車がなくては成り立たない仕事でして、車を取り上げられてしまうと、仕事ができず、したがって、個人再生と言っても、返済計画を考えられなくなります。

逆に、なんとか車を手放さないで維持し続けることができるのであれば、月の手取りとしては20万は確実にキープできるはずです。

ちなみに、車のローンがあと少しという情報に加えて、その車は初年度登録から10年が経過した国産車で、走行距離は75000キロです。

【ご回答】

家を手放さない手続きは個人再生だけではない

「持ち家を手放さずに行う債務整理の方法としては、個人再生手続きしかないと考えておりますが、間違いないでしょうか?」という点については、そのようなことはありません。

例えば、任意整理をして、債権者と個別に返済のリスケをして合意することができるのであれば、住宅ローンを支払いながらその任意整理(債権者との和解)に従った返済をしていくことで、持ち家を手放さずに済みます。

任意整理のやり方

なお、任意整理の一般的な和解内容としては、これまでの取引履歴に照らして引き直し計算をして、

つまり、過去に借りたり返したりしていると思いますが、過去の利息がもし利息制限法に定められた利率を超えている場合(過払いが生じている場合)には、その超えた部分を元本に充当して、再計算して

残債務を確定して、その額を例えば、3年とか5年とかという期間で分割して返済していくという内容になります。

ですが、個人再生のように大幅に債務が免除されるということはありません。

自己破産をしても家を確保する方法~リースバック

また、自己破産の場合には、全額、債務が免除されますが、その代わり、住宅ローンを含むすべての債務について支払いを停止しなければなりません。

ですので、当然ながら、その住宅ローン会社(銀行、保証会社)は、ローン返済がないために任意で売却するように要請してきます。

(要請に従わなければ、当然、 【競売】になります )

そこで、例えば、どなたか(親族・友人・その他協力者)に、自己破産の際の任意売却において、購入してもらい、購入者から借りて(賃借して)、お家賃を支払うということも場合によってはございます。

つまり、どなたかに大家さんになってもらうということです。

問題はそのような協力者が現れるかどうかです。

なお、このようなやり方を「リースバック」ということがございます。

ちなみに、リースバックにおいて、売却の際に、買い戻し特約をつける場合もございます。

買い戻し特約とは、「〇年以内に〇円で家を買い戻すことができる」という具合に、特別の条項をつけるのです。

ですので、一度は自己破産はしたものの、その後に経済力をつけて、あとから買い戻すということも可能です。

個人再生と車のローンの関係

「次に、車のローンについてですが、あと、半年ほど残っておりますが、こちらの車の方は、個人再生手続きをすることによってどのようになりますでしょうか。」

という点については、いろいろな情報を頂いておりますが、まず一番に確認すべきは、車の所有者名義です。

車の所有者名義が、いわゆる信販(ローン)会社になっている場合には、当然ながら、所有権留保がついているということになりますから、車のローンの支払いを止めてしまうと、その約款に従って、契約が解除されてしまい、車を引き揚げられてしまいます。

他方で、信販(ローン)会社になっていない場合には、それは所有権留保ということにはなりませんので、要するに、車を買ったけど、代金分割払いのはずが途中で支払いが止まっているということになり、したがって、契約は解除されるとしても、車を引き揚げることがはできません。

車の所有権は、あなたにありますから、たとえ、代金は未払いであっても、引き揚げる根拠がないのです。

ということは、個人再生手続きにおいては、その未払い分に関しては、再生債権となり、何割かがカット(免除)の対象になり、他方で車は、あなたの資産として手元に残しておくことができます。

車の資産価値と清算価値の計算

そして、車の資産価値ではありますが、「その車は初年度登録から10年が経過した国産車」ということですから、資産価値はゼロでしょう。

ですので、清算価値(個人再生手続きにおいて最低弁済額を決める際に、清算価値以上は返済しなければならないとされている)に組み込まれることはないと思います。

問題は、車検証を確認したけど、車の所有者が信販(ローン)会社になっていたという場合ですが、この場合にも、仮に、どなたか(親族・友人・その他協力者)が、あなたから残債務(ローン)の値段で、買い取ってもらい、その方に賃料(リース料)を支払いながら乗り続けさせてもらうという方法はあります。

車のリースバックです。

この時も、問題はそのような協力者が現れるかどうかです。

~家や車を一旦買い取って、しかも、その後も、自分に貸してくれて、しかも、その後に、買い戻させてくれるって随分と都合の良い話ではありますが、ご親族でそのような協力をしてくれる方がいる人はラッキーです。ただし、現在は、ビジネスとして、そのように買い上げ・リースバックをしてくれる業者もおります。破産や個人再生を専門に行っている事務所であれば、そのような業者を紹介してくれるかもしれません。弊所もいくつかはそのような業者を紹介しておりますが、最終的にはご依頼者様がその業者に依頼するかを決めることになります。以上、弁護士(宮城・仙台)からのご回答でございました~