~離婚の際の係争中に離婚の条件を決めるというのは、なかなか大変なことですから、途中で疲れちゃったり、面倒くさくなっちゃったりして、適当に決めてしまう人がいますが、これが後で大変なことになるのです。今回は、一度決まった養育費の減額と借金、元妻の再婚の関係について、弁護士(宮城・仙台)から、解説させていただきます~
【ご相談内容】養育費減額と債務整理(個人再生)について
数年前に離婚しました。
原因は、妻の浪費です。
ブランドバッグとか洋服とかそういう類の浪費ではないのですが、家具、食器、車その他がなんでも高級なものでないと駄目なのです。
しかも、食事も高級スーパーで、1個400円する豆腐とかそういうものばかりです。
あと、子供の服や靴もそうです。
習い事も、子供たち本人がそんなに望んでいるとは思えないのに、たくさん、やらせており、到底、普通の公務員の私にはそれらの要求にこたえるだけの経済力はありませんでした。
ですが、言っても無駄でした。
まず、テレビでよく、〔セレブの生活に密着!〕とか〔スターの豪邸を公開!〕とか、あんなものばかり見ていて、すぐに、感化されます。
当てつけのように、
「いいなあ、あういうお家に住みたいなあ」、
「毎年正月はハワイって、行ってみたいなあ」
等々ないものねだりが始まります。
ですが、それもなんとかするのが男の解消だと思い、クレジットカードのキャッシングから始まり、カードローン、消費者金融とどんどん、おかしくなっていってしまいました。
そして、もう限界だと思って、
「いい加減にしてくれ!」、
「テレビの有名人とうちを比べるのはやめてくれ!」、
「もう、借金で首が回らなくなっているんだ!」
とキレたら、妻は、泣き出す、逆切れする、で、そんなことを繰り返すうちに、結局、離婚することになり、妻は子供を連れて実家に帰っていきました。
離婚です。
離婚の際にも、すごく高額な養育費を約束させられており、しかも、公正証書という公証役場での一度でも養育費の支払いが遅れると、給与が差し押さえられるという厳しい契約になってしまっております。
「なんで、そんなの約束しちゃったのか!」
と自分の親からは怒られましたが、実は、親にも言っていなかったのですが、何度もあった夫婦げんかのうち、1回私が軽率だったのですが、頭にきて、ダイニングにあったコップを壁に投げつけたら、その破片が妻の腕に当たって、血が出たことがあったのです。
それで、
「警察に言うぞ!」、
「逮捕されるぞ!」、
「DV夫って世間に知ってもらいます。」、
「懲戒免職されたくなければ慰謝料1千万支払って!」
などと言われ続けて、怖くなったのと、早く終わりにしたいと思って、相手の言うがままの養育費を受け入れたのです。
加えて、一切の面会交流が禁止されております。
現在、私は、すでに公務員共済組合の住宅貸付(住宅ローン)を組んで自宅を購入してしまっております。
売ってもオーバーローンになるので売れません。
それと、共済組合に迷惑をかけてしまうと、たとえ、免職はされないまでも、将来、様々な不利益があるのではないかと心配して、住宅ローンだけは支払っております。
そして、もっとも今、気になるのは、どうも、妻が再婚したらしいのです。
妻の友人にそれとなく聞いたのですが、
「最近全然、合っていないなどと見え透いた嘘を言われてしまいました」
元妻が再婚したか調べる方法ってありますか?
調べてどうしたいのかというと、端的に、養育費を減額したいのです。
そのうえで、今の借金もきれいに整理したいと思っております。
ちなみに、借金があることだけでは、養育費って減額されませんよね?
【ご回答】
養育費減額について弁護士に委任すれば元妻の再婚の有無は分かる
元妻が再婚したかどうかを調べるのが養育費の減額目的だということであれば、それごと弁護士に依頼したらどうですか?
元妻が再婚しており、子供の扶養義務者に変更があるのであれば、当然、養育費の額は影響を受けるはずですから、弁護士が戸籍を調べるというのは、正当な業務になります。
それで、 注意してもらいたいのは、再婚していたとしても、調停とか審判とかで新たな養育費がきちんと決められるまでは、勝手に減額してしまうと、強制執行、つまり給与の差し押さえがなされるリスクがあるということです。
そもそも、どれくらい減額されるか、はたまた究極、養育費の支払い義務がなくなるかは、
・子供がその新しい再婚相手と養子縁組しているか、
・その再婚相手の収入がいくらであるのか、
等々に左右されるので、簡単に金額を決められない、ということです。
養育費はあらゆる事情を踏まえて決められる
子供が再婚相手と養子縁組をせず、単に母親が再婚しただけでは、子供の地位に変化はないため、養育費が変わることはないという話をしている人もいるようです。
しかし、実際に、その再婚相手が、新しい父親のように同一世帯において暮らしているのであれば、現実に、子供に対して経済的な援助がなされているわけで、養子縁組せずにさえいれば、養育費をいわば二重取りし続けることができるわけではありません。
あくまでも、養育費は、
「扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して」
決められることから、元妻の再婚により、子供の扶養関係に変更が生じたことも、立派な「一切の事情」です。
ですが、証拠は必要ですから、その生活実態を暴くのはなかなか容易ではありません。
一番いいのは子供に
「実際どうなの?」
と聞くことなのでしょうが、うがった見方をすると、だからこそ、あなたは面会交流させてもらえないのかもしれません。
借金があることは養育費減額の事由になるのか?
それから、借金があること自体は、これまた、養育費の支払いができない1つの重要な理由にはなります。
これまた、借金があろうがなかろうが、養育費は、収入の額のみによって定まると言う人もいますが、そんなことはありません。
実際、借金があれば、使えるお金、支払いに回せるお金が減ることが明らかです。
ただ、問題は、あなたの場合には、養育費を決めた当時から借金があったということです。
つまり、一度決まった養育費を変更するには、事情の変更が必要ですが、借金が後発的に増えたということではないので、端的に言うと、
「養育費を決める時からあなたに借金があるということは分かっていたはずでしょ?」
と言われてしまうということです。
まあ、再婚しているいないにかかわらず、当時は払えていた借金の返済が例えば利息が膨れ上がって返済額が大きくなってきたということであれば、なんとか、調停を申し立てることができるかもしれません。
そして、この際、養育費のみならず、面会交流の問題も含めてきれいに整理してはいかがですか?
借金の問題は債務整理で行うが養育費は免除されない
なお、いずれにせよ、借金の問題は、個人再生ないしは破産で整理した方がよいと思います。
ただ、養育費については、たとえ個人再生や破産をしたとしても、その債務を免除してもらうことはできません。
今更ですが、弁護士に相談するなり、依頼するなしりして、離婚の際にちゃんとしておけばよかったですね。
~後悔先に立たずですが、終わったことを悔いてばかりいても仕方がありません。養育費減額できるかどうかの調査、減額調整の調停の申し立て、あと、借金の整理と、人生を再建していきましょう。今度は弁護を頼んできちんとやった方がいいと思います、というのが弁護士(仙台、宮城)からのアドバイスになります~