~彼女ができた喜びから、デートで奮発してしまうこともあるかもしれませんが、それが継続的になってくると、デートなのか、借金地獄なのか分からなくなってしまいます。いずれにせよ、身の丈に合わない交際は悲劇でしかないというそういうお話について、弁護士(仙台、宮城)から解説させていただきます~
【ご相談内容】いわゆる貢ぎ行為と破産・個人再生について
借金まみれです。
現在、IT系の会社の平社員なのですが、とある女性にはまってしまい、彼女の要求に従って、デート、旅行、ショッピングなんでも、カード払いでやってしまいました。
しかも、私は、特に、服装とか持ち物にも興味がなく、車も別にこだわりはないのですが、彼女がショッピング中に
「○○君ももっといいもの着なよ」、
「車は○○でないと」
とか言われるので、それも彼女に恥ずかしい思いをさせたくない一心で、車も無理してローンを組み、自分の服等も当然、彼女が買ってくれるわけではないので、やはりカード払いで買っておりました。
カードの支払いも、リボ払いにする程度では、到底、追いつかず、銀行系カードローン、消費者金融、果ては借入枠がいっぱいになると、友人・知人・両親・妹からも借りまくってしまいました。
そういうストレスと闘いながらも彼女には優しくしていたつもりでしたが、ある日、彼女が、私がちょっと安めの居酒屋チェーンで飲もうと、提案したら、表情がサッと暗くなり、お店の中でも飲み物一杯で、何も頼まず、挙句の果てには、
「私のことを大事に思ってくれていない」、
「私と付き合うのは安く上がるからでしょ!」
などと、泣いて怒って、さすがに私も付き合いきれないと思い、借金のことはぶちまけませんでしたが、
「そういうつもりではないけど、申し訳ないけど、もう付き合いきれない」
と言って別れました。
いい彼女でしたが、別れてホッとしました。
しかし、多額の借金が残ってしまい、どうすればよいのか、困っております。
ネットでいろいろ調べましたが、どうも、私の借金を作った経緯は浪費に当たるような気がします。
そうすると、自己破産はできないと書いてありましたがそうなのでしょうか?
自己破産ができないとすると個人再生はできますか?
それから、ネットを見ると私と同じような体験をした人もいました。
彼女に貢いだお金を取り戻したいなどと言っている人もいるようですが、私はそれは無理だと思っていますし、取り戻したいとは思っておりません。
ただ、個人再生や自己破産をするときに、弁護士や破産管財人が彼女に何らかの請求をするのでしょうか?
それはそれで別に構いません。
そもそも、破産自体が無理なのかもしれないですけど、その場合には、個人再生をするということは可能でしょうか?
その場合には、この彼女に貢いだことはどのようになるのでしょうか?
【ご回答】
買い物による浪費と自己破産における免責の判断
浪費ですね。
しかも、ご自分も車を買ったり、服を買ったりしているので、やはり、これを浪費でないと言うのは難しいとは思います。
浪費の場合の破産手続きでの取り扱いですが、浪費だから破産手続きにおける免責が認められない、ということではありません。
ただ、「反省してます」と反省の意を示せば済むというものでもありません。
破産管財人から、いろいろ事情を聞かれ、しかも、金額があまりに多いと、財団にお金を組み入れることで、反省の意を示せ、と指示される場合もあり得ます。
その場合には、反省を示すためのお金を工面しないと、最悪の場合、破産手続きは終了するものの、免責は得られない、ということもあり得ます。
ただ、実際には、これまでも浪費→破産のケースは多数扱ってきましたうちの事務所では、そこまでの最悪な結果になった事件は経験したことはないです。
脅しのようになってしまいましたが 、とにもかくにも、すんなりとはいかないということは間違いないです。
買い物による浪費が個人再生手続きに与える影響
個人再生においては、免責不許可事由というものは定められておりませんので、借金を作った経緯が彼女に貢いでしまったことであっても、それ自体で再生手続きが進まない、ということはありません。
ただし、その浪費自体があまりに直近だと、その浪費金額を清算価値として組み入れられる、すなわち、その浪費した分額以上の返済額を定めなければならないということはあり得ます。
破産管財人は貢いだ彼女に対して、貢いだ金額を請求するか
それから、浪費の場合に、破産管財人がその分を元彼女さんから取り戻すことがあるか、ということですけど、ないですね。
交際当時は、プレゼントとして彼女は受け取っており、それは贈与として契約上は返還義務がないものとみることが相当ですし、そもそも、彼女があなたが借金まみれになってプレゼントしていると知らなかったのであれば、破産管財人としても取り戻す根拠がありません。
~見栄を張ったというべきか、彼女にみじめな思いをさせたくなかったというべきか、いずれにせよ、かなり無理してしまいましたね。そんなデートをしていても、内心辛かったでしょう。彼女も悪気があったのではないかもしれませんが、別れるしかなかったのではないでしょうか。安めの居酒屋チェーンで泣かれてしまうのでは、付き合い続けるのは難しかったでしょう。そういう金銭感覚が不一致だとお互いにとって悲劇です。ただ、もちろん、借金の問題も悲劇ですが。これをどう処理していくべきかについての、弁護士(仙台、宮城)からの解説でした~