~異国の地から、はるばる日本にやってきて、日本語を使って、日本で商売をしているなど、考えただけでも、並々ならぬ苦労がおありかと思います。借金の整理の方法も当然ながら、よく分からないでしょう。外国人の自己破産や個人再生(民事再生)について、弁護士(仙台、宮城)からなるべく分かりやすくご説明したいと思います~
【ご相談内容】外国人と個人再生・破産について
私は、ネパールからやってきて、現在、仙台と会津若松 (福島)日本でカレー屋さんを営んでいます。
日本経済は景気がよいなどと言われているようですが、正直言って、実感はないです。
毎日、路上でビラ配りをして、材料費がどんどん高くなっている中で、カレーの値段もどんどん下げていますが、お客さんは増えません。
いろいろな支払いや税金の滞納も増えてきています。
ですが、もう、今年1年間が持つかどうかが分かりません。
日本では、自己破産とか民事再生があって、そうすると借金がなくなるというシステムがあると聞きました。
でも、ネパール人も大丈夫ですか?
借金がなければ、大丈夫です。
ネパール人もできるのであれば、お願いします。
本当に、貯金もありません。
会社じゃありません。
私が個人でやっております。
【ご回答】
民事再生法・破産法上の外国人の地位
結論として、まず、ネパールの方でも自己破産ないしは民事再生(個人再生)をできるかどうかについてですが、
また、民事再生法には、このような規定があります。
(外国人の地位)
”第3条
外国人又は外国法人は、再生手続に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。”
破産法には、このような規定があります。
(外国人の地位)
”第3条
外国人又は外国法人は、破産手続、第十二章第一節の規定による免責手続(以下「免責手続」という。)及び同章第二節の規定による復権の手続(以下この章において「破産手続等」と総称する。)に関し、日本人又は日本法人と同一の地位を有する。”
このような規定の仕方を、「内外人平等主義」と言います。
つまり、その外国人の本国法の規定がどのようになっているかにかかわらず、日本の裁判権に服する外国人であれば、日本人と同等な権利を認めるやり方を「内外人平等主義」というのです。
したがって、民事再生法上、 破産法上、 日本の裁判権に服する外国人であれば、誰でも、自己破産、民事(個人)再生を申し立てることができるのです。
ちなみに、その外国人の本国が日本人に同等の権利を認めている場合にのみ、 その外国人にも同等の権利を認めるやり方のことを、「相互主義」と言います。
民事再生(個人再生)と破産の違い
なお、一般的なお話をしますと、
(1)たしかに、自己破産の場合には、免責が認められれば、借金がなくなるということになりますが、民事再生(個人再生)の場合には、全額借金がなくなるというわけではありません。
また、いずれの場合も税金はなくなりません。
つまり、税金に関しては、自己破産、民事再生(個人再生)いずれの手続きによっても全くなくなるということはないのです。
(2)自己破産するということは、原則として、一旦、お店を閉じなければなりませんので、営業再開をするとしても、また、1からのやり直しになります。
民事再生(個人再生)の場合には、営業は継続できるかもしれませんが、そもそも、仕入れ代金を再生債権にする、つまり、債権カットしてしまうと、当然ながら、その後の仕入れは止められてしまう可能性が大きいです。
自己破産又は民事再生(個人再生)には費用がかかる
さらに、
「本当に、貯金もありません。」
とおっしゃるからには、本当に貯金がないのでしょうが、自己破産や民事再生(個人再生)の依頼を弁護士や司法書士に依頼すると、費用が少なからずかかりますので、その費用を捻出できないと手続き自体も依頼できません。
やるにしても、様々な書類を準備する必要もあり、頼んでしまえば、あとは何もしなくてもよい、というわけにはいきませんので、それなりに大変です。
加えて、もし、自己破産を選択し、経営管理ビザが在留資格だとすると、自分の経営している事業がなくなってしまうわけですので、ビザ更新の際に問題になる、というか、経営自体がなくなってしまっているので、ビザは更新されないと思います。
ですので、まずは、自分の状況を詳しく説明したうえで、弁護士なり司法書士に相談する必要があるでしょう。
その場合、入国管理の問題にも詳しい人ではないと、債務整理はできたけど、VISAがなくなったなどということもあり得ますので十分に気を付けてください。
両方に詳しい弁護士はそんなにいませんので、その場合には、入国管理に詳しい行政書士にも確認してみてください。
~以上、分かりましたか?大事なポイントは、弁護士か司法書士に相談してみることです。よく、なんとかコンサルタント、とか、あるいは行政書士さんからアドバイスを受けたら、こう言われたというケースをお聞きしますが、彼らが実際にあなたの自己破産・民事再生(個人再生)をやってくれるわけではありません。
ただ、難しい話なので相談に行くときは、お一人ではなく、日本のことをよくわかっているご友人等に付き添ってもらうのもいいかもしれません。以上、外国人の自己破産や民事再生(個人再生)について、弁護士(仙台、宮城)からの分かりやすい(つもり)のご説明をさせていただきました~