個人再生をすると官報に載る?官報って何?~官報とは

~《仙台発》弁護士が個人再生・官報にまつわるご相談について回答します~

【ご相談内容】個人再生と官報の公告(掲載)について

個人再生をすると官報にのるって聞いたんですけど、官報って何ですか?

個人再生にしようか、任意整理にしようか、迷い始めてしまいました。

弁護士に相談したところ、

「個人再生は官報にのるけど、任意整理は官報にのらない」って言われて、

その場では、それなら、任意整理でお願いしますって言ってしまいました。

ですが、そもそも、官報ってなんのことかよく分からないし、

官報にのるとどうなるのかもよく分かりません。

それに、官報って、生まれてから一度も目にしたことがないのですが、

官報ってどこにあるものなのでしょうか?

【ご相談内容に対する回答】

官報とは

官報とは何かといいますと、官報は法律に規定がありまして、

官報には、

憲法改正、詔書、法律、政令、条約、内閣官房令、内閣府令、省令、規則、庁令、訓令、告示、国会事項、裁判所事項、人事異動、叙位・叙勲、褒賞、皇室事項、官庁報告、資料、地方自治事項

及び公告等

を掲載するものとする。

とされているのです。

【官報及び法令全書に関する内閣府令】(昭和二十四年六月一日総理府・大蔵省令第一号)

要するに、

憲法改正、詔書、法律、政令、条約、内閣官房令、内閣府令、省令、規則、庁令、訓令、告示、国会事項、裁判所事項、人事異動、叙位・叙勲、褒賞、皇室事項、官庁報告、資料、地方自治事項

及び公告等

が記載されているものを

「官報」

と呼ぶのです。

???

分かりましたでしょうか。

なんだか、インターネット上では、「国が発行する新聞のようなもの」などという説明が書かれているサイトがいくつかありますが、

「新聞のようなもの」って、何なんでしょうか?

ますます、理解不能になっていきますよね。

とにかく、官報というのは、上記のようなものが掲載される刊行物であって、それ以上でも以下でもないということです。

官報の記載、公開場所、公開性

そして、ご相談内容に関していえば、

例えば、

・官報にどのような感じで掲載されるのか?

・官報ってどこで見れるのか?

・官報って誰でも見れるのか?

ということなのではないでしょうか?

官報への掲載のされ方

それで、上記のようなご質問についての回答は、実際に見るのが一番です。

・こんな感じ↓で掲載されます

官報はインターネットでも見れる

・インターネットで見れるというのは驚きでしょうか?

【インターネット版官報】というものがあり、

https://kanpou.npb.go.jp/index.html

このサイトでは、『平成15年7月15日以降の法律、政令等の官報情報』と、『平成28年4月1日以降の政府調達の官報情報』が、PDFデータで無料で公開されています。

また、直近30日分の官報情報(本紙、号外、政府調達等)が、全て無料で公開されています。

官報は誰でも見れるが探すのは困難

・(【インターネット版官報】というものがあるので)誰でも見れる

ですが、この無料の範囲で、普通の人が『あなた』の情報を探すことができるか?

となると、かなり疑問です。

・まず、個人再生や破産に関しての官報公告が問題となるのは、

「官報情報(本紙)」のデータですが、それは、直近30日分しか閲覧できません。

・しかも、「官報情報(本紙)」のデータに掲載されている情報は、

個人再生や破産関連ばかりではありません。

例えば、とある日の官報情報(本紙)は全部で32頁あります。

そして、

「目次」から始まり、

「政令」

「告示」

「国会事項」

「人事異動」

「皇室事項」

「官庁報告」

を経て、ようやく、

「公告」

にたどり着きます。

そして、

「公告」にたどり着いても、

さらに、

『諸事項』

『相続財産管理人の選任』

『相続権主張の催告』

『公示催告』

『失踪に関する届け出の催告』

『失踪宣告』

『失踪宣告取消』

『除権決定』

を経て、ようやく、

『破産手続開始』

『破産手続開始及び免責許可申立てに関する意見申述期間』

『破産手続開始・破産手続廃止及び免責許可申立てに関する意見申述期間』

『破産手続終結及び免責許可決定』

『破産債権の届け出期間及び一般調査期日』

~以上、破産 関連~

『特別清算開始』

~以上、特別清算 関連~

『監督命令』

『再生手続き開始』

『再生債権特別調査期間』

~以上、民事再生 関連~

※こちらの民事再生は、企業(会社)の民事再生です。

そして、ようやく、

『小規模個人再生による再生手続開始』

『小規模個人再生による書面決議に付する決定』

『小規模個人再生による再生計画取消』

『小規模個人再生による再生手続廃止』

『給与所得者等再生による再生手続き開始』

『給与所得者等再生による再生計画案についての意見聴取』

『給与所得者等再生による再生計画認可』

~以上、個人再生 関連~

に至るわけです。

しかも、いつ掲載されるのかも分からないですし、毎日、こんなチェックを出来るわけがないです。

お金を払ってまで官報を見る人がいるか?

ただし、この【インターネット版官報】は、〈有料版〉があります。

そして、この有料版ですと、

直近までの官報の内容を

「日付」

「キーワード」

を指定して、

検索・閲覧できることになります。

料金は、

上記のような感じで、

【官報(紙)を定期購読されている方】

・日付検索のみ      無料(月額・税込)

・日付検索+記事検索   518円(月額・税込)

【新規お申し込みの方】

・日付検索のみ     1,641円(月額・税込)

・日付検索+記事検索  2,160円(月額・税込)

興味本位で、有料版を申し込もうとする方がいるとは思えません。

ただし、例えば、

法律(弁護士)事務所

とか

金融関係の企業

とか

官公庁

等は、会社(組織)として、この有料サービスを利用しているかもしれません。

もちろん、その方の職場環境にもよりますが、

「官報」にのるかのらないかだけを基準に債務整理の方針を決めるのはよろしくないです。

もう一度、弁護士さんとよく話し合ってみてください。

~以上、弁護士が個人再生・官報にまつわるご相談についての回答でした《仙台発》~