不倫でたくさんの借金を作ってしまいました!~慰謝料と破産・個人再生

~不貞をすると、慰謝料の問題が生じます。慰謝料を払わずに済ませるというのはまず無理です。でも、払えない場合にはどうすればよいか?しかも、不貞交際中にできた浪費もあるとなるとかなり大変です。具体的にどうすべきかについて、弁護士(宮城・仙台)がお答えします~

【ご相談内容】不貞慰謝料・浪費と自己破産及び個人再生について

まったくの法律の素人です。

慰謝料と借金の破産について分からなくて困ってます。

実は、私は不倫をしてしまい、慰謝料を相手の配偶者から請求されています。

まだ、裁判にはなっていませんが、弁護士さんから内容証明が届いた後、一度、電話がかかってきました。

私は、

「申し訳ないと思っておりますが、払えるお金がないのです。」

と話したところ、

その弁護士さんから、

「不倫・不貞は、不法行為だから、破産したとしても、その支払いを免れることはできない」、

「絶対、一生かかっても支払うことになる」、

と言われてしまいました。

さらに言いますと、今回の不貞関係中の交際で、相当な借金を作ってしまいました。

彼は、奥さんからお小遣いを一切もらえないとのことで、

デートでの外食、

小旅行、

はたまた

彼へのプレゼント、

2人のショッピング等、

の費用はすべて私が出していたからです。

ですが、私自身は、現実は、安月給のOLの身ですので、結局は、カードキャッシングやクレジットを使ってしまったのです。

ですので、ちょうど、民事個人再生をすることを検討していたところなのです。

本当にお金がありません。

どうすればよいでしょうか?

ちなみに、彼には、ダメもとで、

「奥さんからの慰謝料請求はなんとかしてもらえない?」

「せめて、半分は支払ってくれない?」

とお願いしてみたのですが、

「もともと、家計の財布をかみさんが握っているので無理。」

「まさか、俺の口から慰謝料請求するなとは言えない。」

「お前も自分で弁護士を雇うなり何なりして対処してくれ。」

「俺には、もう頼らないでくれ。」

「連絡されるのも困る」

とすげなく断られてしまいました。

【ご回答】

不貞の慰謝料請求は破産しても免責されないというのは本当か?

不貞とはいえ、その交際自体が真剣な恋愛感情に基づくものだったのかどうかは分かりませんので、その当否ついてのコメントは差し控えますが、随分なダメ男と付き合いましたね。

こういう時に、金も払わないような男と付き合ったのは大いに反省すべきです。

それで、本題に戻りますが、今回の不貞行為が不法行為に当たることは間違いないのですが、不法行為に基づく損害賠償請求権がすべて、非免責債権(破産しても免除されない債権)にあたるというわけではありません。

法律上は、

『破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権』

が免責されない、とされているだけです。

つまり、非免責債権とされていますので、逆に言えば、悪意でなければ、免責されます。

あなたが、例えば、彼(ダメ男)との恋愛感情ではなく、『その奥さんをひたすら苦しめるため』に不貞に及んだ、などという事情がなければ、おそらく、免責されるでしょう。

彼とのデート代は、おそらく浪費となり免責不許可事由になる

その意味では、破産は可能と言えますが、むしろ、問題は、あなたが、その彼(ダメ男)との交際のために、こしらえた借金です。

これは、どう考えても浪費にあたるでしょう。

ですので、浪費が免責不許可事由とされていることにより、免責されない可能性があります。

そのあたりは、もっと、あなたとその彼(ダメ男)との具体的な交際中のやりとりなどを掘り下げて、分析する必要があります。

例えば、

「もうすぐ、今のかみさんとは離婚する」、

「離婚して一緒になろう」、

などと言われていたような場合には、あなた自身も騙されたようなものですから、もちろん、反省することは必要ですが、裁量により免責される可能性がございます。

ですが、必ず、免責されるとは言い難いです。

個人再生では免責不許可事由は問題とならない

そうしますと、個人再生を検討するというのはある意味理にかなっています。

個人再生においては、免責不許可事由を考慮する必要がありませんので、たとえ、浪費があったとしても個人再生が認められないということはありません。

個人再生では、債務額を確定することが重要

ただし、ここで問題が1つあって、現在のところ、まだ、慰謝料が請求されている段階ということで、具体的な損害賠償額が定まっておりません。

ですので、個人再生をするにしても、慰謝料が一体、50万なのか、100万なのかが分からないと、個人再生手続きにおいていくらの借金(損害賠償金)を免除して、いくらを返済すべきかの計算ができません。

これが破産と違う所です。

破産の場合には、配当がない場合には、借金がいくらあろうが借金(債務)の全額が免除されるのが原則なので、極端な話、いくらの借金(債務)があるのかの細かい計算をする必要がないのです。

個人再生では支払額が過大だと再生が認められない

ですので、個人再生をする場合には、まずは、慰謝料請求の問題を片付けなければなりません。

もちろん、相手(ダメ男の奥さん)の言い値で支払いを認めます、と言ってもいいですが、個人再生の場合には、破産の場合と異なり、全額返済義務を免除されるわけではないので、あまりに過大な慰謝料額を認めてしまうと、個人再生をとったとしても、返済額が大きくなり、再生計画が認められない、つまり、裁判所から

「そんな額をあなたの給与で支払うのは無理でしょう?」

って言われてしまうおそれがあります。

ですので、やはり適正な額になるように、弁護士を依頼した方がよいです。

しかも、その後、破産ないしは個人再生も検討しているということですから、セットで依頼した方がいいと思います。

1つ言っておくと、不貞というのは、共同不法行為と言って、必ず、2人が損害賠償義務を負うものです。

ですので、仮に、あなたが100万円支払ったとすると、50万円はダメ男に請求できるのです。

これを、求償といいます。

ですから、あなたないしはあなたの弁護士さんからも、予め、ダメ男に請求を立てておいた方がよいです。

「すげなく断られてしまっています」

で終わりにしては絶対にいけません。

~くどいようですが、もう、ダメ男と付き合ってはダメですよ。以上、弁護士(宮城・仙台)から、本件解決についての簡単なアドバイスになります~