【ご相談内容】個人再生と株投資について
個人再生をする理由が株の投資の失敗です。
当初は、数万円の利益がでありましたが、クレジットカードのキャッシングをして株を買ったところ、急に
値下がりしました。
株の投資は浪費なので個人再生になりますか?
個人再生ならば、株の投資の失敗でも免責がでますか?
やはり、今の手持ちの株はすべて売却になりますか?
株が将来、値上がりすることもあり得ますので、できれば今は売りたくありません。
【ご回答】~弁護士(仙台・宮城)から~
株の投資と浪費判断
株の投資の失敗が浪費になるかどうかは微妙なところです。
株の投資が投機的な側面を有するところは確かですが、職業的な側面を有するところもありますので、
株の投資に失敗したからと言って、直ちに、浪費とまで言えるかは、
株の投資に使った金額であるとか、
株の投資のやり方(自己資金と借り入れの割合等)であるとか、
を総合的に判断する必要があります。
浪費判断と自己破産における免責不許可事由
ですので、株の投資が浪費とも言い切れない、
あるいは、
株の投資が浪費に当たるとしても、その程度であれば免責が下りると判断される場合、
には、自己破産の手続きも考えられます。
ただし、自己破産手続きをとる場合には、原則として、手持ちの資産はすべて手放すことになります。
ですので、もし、株式もその売却金額が少額である等の場合でなければ、
破産管財人によって、売却処分されてしまいます。
個人再生と免責不許可事由
他方、個人再生の場合には、そもそも、免責不許可事由というものがありませんので、
たとえ、株の投資が浪費に当たると判断されたとしても、個人再生の手続きをすすめることが可能です。
また、個人再生手続きは、破産とは逆に、手持ちの財産を保有したままの状態で、経済的更生を図ることが目的であるため、手持ちの株を売却されてしまうということはありません。
個人再生と清算価値保障
ですが、清算価値保証といいまして、手持ちの資産・財産に相当する金額は最低限返済しなければならないという決まりがあります。
例えば、本来は返済総額が100万円とされる場合であっても、株式を売却した場合の金額が150万円であるという場合には、その150万円が返済総額になります。
逆言えば、株を売って150万円の現金化をしなくてもよい代わりに、150万円相当の返済をしなければならないということです。
個人再生の返済期間は、3年ないし5年(原則3年)であるため、たとえ、返済総額が150万円になったとしても、一か月あたりの返済額は、4万ないし2.5万円になります。
もちろん、個人再生を進めていく中で、売却してしまうことも可能です。
~いかがでしたでしょうか。以上、弁護士(仙台・宮城)から、個人再生における株の投資の取り扱い、浪費の判断、売却の要否についてご説明いたしました~