自己破産は属人主義
自己破産というのは、要するに、今、手持ちの資産・財産以上の返済は無理なので、それらの財産はあきらめるけれども、それを超える借金は全部免除する手続きです。
ただし、持っているものをことごとく全部放棄すると、生きていくことができないので、現金ならば99万円、保険ならば20万円以内、車ならば5年以上経過したものは、持ち続けることができます。
その他に、細かな家財道具とか衣類とか家電とか、そもそも、そういうものは全部持ち続けることができます。
そして、破産管財人に引き渡さなければならない財産というのは、名義により判断します。
つまり、例えば、夫が自己破産する場合には、夫名義の財産が破産管財人への引き渡しの対象になるのであって、妻名義の財産や子供名義の財産、はたまた親名義の財産は対象にはなりません。
もっとも、このことを利用して、破産直前に、夫が妻名義に、親が子供名義に、と財産の名義変更をする人がいますが、こういうのは、財産隠しの一環とみられてしまいます。
ただ、こういうことがなければ、夫の破産手続きにおいて、他の家族名義の財産がとられたりすることは一切ありません。
財産名義以外の家族への影響
よくある心配は、次のようなものです。
夫が自己破産した場合には、妻の信用情報に影響があるのではないか?
全くありません。夫が自己破産したから妻がクレジットカードを使えなくなるとか、ローンを組めなくなるとかいうことはありません。
夫が自己破産した場合には、子供の就職に影響があるのではないか?
全くありません。そもそも、親が自己破産したかどうかなんて、面接で言わない限りは分かりようがありません。
夫が自己破産した倍には、子供の進学に影響があるのではないか?
そもそも、子供の学校も知りようがありません。ただし、当然、学校に対して、父親が破産したことを理由に奨学金を申請したり、学費の延納・分納を求めれば学校が知ることにはなるでしょう。
夫が自己破産した場合には、子供の結婚に影響があるのではないか?
これも、調べようがないので、結婚相手に言わなければ分かりません。ただし、そのことを理由に結婚費用が応援してあげられないなどと経済的な影響はあるでしょう。ただ、これは、自己破産するしないの問題ではなく、お金があるないの問題です。
自己破産申請書類の協力
夫が自己破産すると言っても、家計が一緒の場合には、裁判所に提出する書類として、妻の給与明細とか、妻の預金通帳の写しとかを求められる場合があります。
ただし、これは、妻の給与をおさえてやろうとか、妻の預金を取り上げようとか、そういうことではないのです。
例えば、家計の状況を明らかにしたり、
夫から妻に不当に預金が送金されていないかを調べたり、
こういう目的の参考書類にするだけの話です。
家計のやりくりは妻に任せっきりで夫は、自分がどんな保険に入っているのかも分からない、という場合もありますので、その場合には、妻の協力が必要となります。
その限りでは、手間をかけさせられるという影響はあるのかもしれません。